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断捨離新世紀(17)二つの大事業

【蓄積した問題】

この年末までに片づけておきたい、庭関係の大事業が二つある。去年からそこそこ庭仕事にはまって、花を植えまくり、それ以前からあまり考えもせずに適当に木を植えまくっていた結果、いろいろ問題が起こってきて、それを解決するために、長期的な計画を建てたのである。

私の家の裏側は、屋根の高さぐらいの崖になっていて、土のままだった。亡くなった叔母が、「いつかがけ崩れが起こって、あなたが寝たまま埋もれてしまう」とずっと心配していた。

二年ほど前、崖の上に宅地が造成されて、ものすごく立派な擁壁を業者が作ってくれたので、叔母があんなに心配していた問題はおかげで一気に解決した。
しかし、擁壁のはずれには、一部分私の庭とつながる土のままの斜面が残っていて、これは地元の方の所有地なのだが、多分どう考えても使いようのない土地だし、無理もないが放置されている。すすきや茅が生い茂り、特にセンダンソウという草がはびこると、いがのある種がびっしりとくっついて来るので、もう恐ろしい状態になる。

何度か草を切ったりもしてみたが、けっこう広い崖だし足場は悪いし、相当な気力と労力を要する。去年から私も体調を崩して足もとも少々怪しく、ころげおちて手足でも折るか頭を打ってあの世行きになったら冗談ではすまない。
 手前のお宅が引っ越されて、更地になったこともあり、道路からもこの斜面は見える。私がその手前の庭にいくらバラを植えようがどうしようが、その奥というか上に背の高さも越える雑草が生い茂っているので、いかにも荒れ果てている気配で、見た目が悪い。

私の庭との境界に塀でも作るか生け垣用の木でも植えるかとも考えたが、そもそもお金がないし、塀や垣根の向こうにぼうぼうと草が伸び放題なのも、何となく気持ちがよくない。
 所有者の方はどうせ使われてないのだから、私がこの斜面を管理して勝手に花でも植えたろうかと思ったりしたが、今の自分の庭でさえ手が回りかねているものを、当面そういう余裕はなさそうだ。

【おっかぶせ作戦】

あれこれ悩んでいる内に一案が生まれた。
 庭の雑草や伸びすぎた花や木を切ったものが、いつも相当な量になる。最近では庭で燃やしたりはできない。ゴミに出すのでも量がかさんでゴミ袋がもったいない。腐葉土を作ってやろうと庭のあちこちに場所を作って積み重ねていたら、いつの間にかよいあんばいに腐ってなくなって行くのに気づいた。

ならば、あの斜面にこれらを上からおっかぶせて行けば、草の伸びるのを抑えられ、腐葉土の捨て場所にもなるのではないか。
 ということで、実行してみたら、これが思った以上にうまく行った。下敷きになった草は伸びないし、育たない。次第に崖の下から上の方に積み上げて行くと、すでに半分近くが自然と腐葉土の山になって、その部分の茅やすすきやセンダンソウは消えてしまった。

うれしいことに、フウセンカズラやジャスミンやハーブのさまざまや、ルリマツリやジンジャーなど、悪くはないけど何しろはびこって収拾がつかなくなる植物類は、ある程度増えたところで大々的に刈り込まなければならず、いくらでも斜面に持って行ける。
本当にあわよくばだが、これらの草が根付いて斜面を支配してくれれば(彼らの強烈な生命力を思えば決してないこっちゃない)、いつかこの荒れた斜面がジャスミンやハーブやフウセンカズラに包まれるかもしれない。そう思うと、庭の草取りや刈り込みにも一段と精が出るというものだ。

とは言え、これも時間との戦いで、まだ残っている斜面の上の方では、そろそろセンダンソウがいがいがの種をつけはじめている。年末までがんばれば、最高部まで全体をおおってしまえるという見込みはあるが、枯れて腐葉土になりかけの下の方の草もすべりやすくなりそうで、足をとられて転げ落ちないように気をつけなければならない。何ごとも最後の仕上げが肝心だ。

【枯れ枝の処理】

草や、まだ細くやわらかな枝は斜面に積めばいいのだが、長い年月の間には、樹木も相当伸びてきて、成長の早いものは、かなりこまめに枝を刈り込まなくてはならず、時には巨大な太い枝も切り落とすことになる。これは積んでおいても草とちがってなかなか枯れず、下から新たな草が生えたりして来て始末に負えなくなる。何らかのかたちで、庭の外に出してしまわなくてはならない。

立派な枝もあるので、室内でも庭でも支柱や横棒にして何かに使いたいのだが、それにも限りがある。しかし、捨てるにしても枝は広がっているのでゴミ袋は破れるし、まとめたり丸めたりがなかなかできない。
何度かそのまま強引に車の後部座席に積んで、市営のゴミ集積場まで運んで行った。しかし、さすがに車が痛むし汚れるし、あとの掃除が大変だ。

構想だけでまだ実行できていないが、結局はノコギリで細かく切って、ダンボールの箱が紙袋につめこんで、燃えるゴミの日に出すなり、集積場に運ぶなりするより他に手はなさそうだ。集積場に運ぶまで入れておく、大きめのゴミ入れも確保できている。

古いミステリで(以下ネタばれ)、死体を切り刻んで食ってしまうために、食欲を増す運動として日々、木を切っては薪を作っていた殺人犯の話など思い浮かべながら、古ぼけたノコギリを駆使して、この作業に励む予定である。

原発じゃないが、何ごとも最大の問題は美しく快適にするために、生まれざるを得ない廃棄物をいかに処理するかではあるまいか。そういう点ではさしあたりこのような展望ができているのは、ありがたいことではある。(2022.11.25.)

 

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