ぼくたちの、まちあるき(カツジ猫)
みなさん、おはようございます
なんにちかまえのことですが、かいぬしが、
「つかってない、つうちょうを、かいやくするから、
きょうは、まちにいかなくちゃ」といって、でかけるよういをしていました。
すごく、おてんきがよくて、あたたかくて、
ぼくもいっしょにいこうとおもって、
せんぱいねこの、きゃらめるさんと、あにゃんさんをさがしたけど、
どっちも、てんきがいいから、ちかくにさんぽにいったらしくて、
すがたがみえませんでした。
むかしは、このいえにも、なんびきも、ねこがいたんだけど、
きょねん、ぼくがしんでからは、もう、ねこはいません。
でも、ぼくたちは、かいぬしのめにはみえないけど、
まえとおなじように、いっしょにくらしていて、
かいものや、えいがや、てんらんかいにも、
かいぬしの、くるまにのって、ついていきます。
いきていたときとちがって、かなり、じゆうに、いどうできるので、
いろんなところに、ついていけます。
ほかのねこたちも、おもやや、にわの、あちこちで、
ねむったり、おけしょうをしたりしていたので、
ぼくは、ひとりで、ついていくことにして、
かいぬしと、くるまにのりました。
そうしたら、きむずかしくて、あいそのわるい、
はいいろねこの、ぐれいすさんが、「あたしも、いくわ」といって、
くるまにのってきたので、おどろきました。
「まちに、いったこととか、あるの」ときいたら、
「ないわ」といって、すましていました。
かいぬしは、くるまをとめて、ぼくたちもいっしょにおりて、
まちをあるきました。
みちも、まちも、あんまりこんでいなくて、
おおきな、かわのみずが、きらきらひかっていました。
ずっとむかし、ぼくは、まいごになって、
なんにちも、このかわのそばで、すごしたことがあります。
かいぬしは、ぼくのかごをもって、ちかくのじんじゃや、
こうえんや、おおどおりを、なんにちも、さがしてまわりました。
かいぬしが、たのんでいた、じんじゃのかんぬしさんが、
ぼくをみつけてくれました。
かいぬしは、それからも、このあたりをとおるたびに、
「おまえ、どうやって、くらしていたの。
よるは、かいだんをおりて、かわのみずをのみにきたの」などと、
いつも、きにして、あたりをながめていたみたいです。
かいぬしは、ながいこと、つうちょうをつかっていなくて、
ぎんこうも、むかしのばしょにはなくて、
ひとにきいたりして、かなりながいこと、さがして、あるきまわりました。
ぼくたちは、にひきで、かいぬしのあとをついて、あるいて、
なみきみちや、いろんなおみせを、けんぶつして、たのしかったです。
ぐれいすさんは、あるきながら、
「わたしは、こねこのときに、ちかくの、ふぁみれすの、ちゅうしゃじょうで、
かいぬしに、ひろってもらったんだけど、
かいぬしは、そのころ、いそがしかったらしくて、いつもきげんがわるくて、
よく、どなられたし、ぶたれたし、ほったらかされていたりして、
あまり、かわいがってもらえなかった。
はじめて、ちゃんと、だいてねて、しあわせそうに、はなしをしてくれたのは、
いえにきてから、だいぶたった、くりすますのよるだった」と、はなしました。
「かいぬしは、なにか、おとしものをして、まちの、けいさつしょに、
ひきとりにいって、そのかえりに、ちかくのびるのまえの、
きれいな、おおきな、くりすますつりーをみたのだって。
かえってから、そのことを、わたしに、たのしそうに、はなしてくれて、
そのとき、はじめて、このいえのねこになったきがした。
とても、しあわせだった。
それからも、あまりかまってはくれなかったけど、
あまり、おこったりはしなくなって、ごはんもちゃんとくれて、
わたしはけっきょく、だれよりもながく、にじゅうねんいきて、
ちいきで、ひょうしょうもされて、きねんひんももらった。
そんなにわるい、いっしょうではなかったけどね。
でも、かいぬしもとしをとって、いつまでいきるかわからないし、
わたしたちは、おぼえているひとがいなくなったら、
かんぜんに、このよから、きえてしまうから、
そのまえに、おもやをかたづけて、むかし、わたしがいたへやに、
かいぬしがもっと、ちょくちょくきてほしいのよ」と、いいました。
「なにかに、うまれかわったら、きえないですむんじゃないの」と、
きいてみたら、ぐれいすさんは、「そんなきは、ないわ」といいました。
ぎんこうは、やっとみつかって、かいぬしは、つうちょうをかいやくして、
かえりに、みちをきいた、とうきのみせで、
ちいさなすりばちと、すりこぎをかいました。
そして、また、かわをわたるとき、はしのうえから、
きらきらひかるなみをみて、
「このまちのなかに、おまえがきえてしまうかと、あきらめていたのに、
ほんとうに、よくかえってきてくれた。
よく、さいごまで、いっしょにいてくれた。
ありがとうね、かつじ」といって、
まるで、みえているように、らんかんのうえの、ぼくをだきました。
ぐれいすさんが、どうおもうかと、ちょっときになったけど、
すこしはなれた、らんかんのうえにすわって、とおくのほうをみていて、
なにもきづいてないようでした。
ぼくが「なにをみているの」と、ちかよってきいたら、
「かいぬしが、あのよる、みたといってた、おおきなくりすますつりーや、
けいさつしょのあるのは、たぶん、あっちのほうがくなのよ。
なんとなくわかるの。
いちど、いってみたいのよね。わたしの、さいしょのしあわせを、
うみだしてくれたばしょだから」と、いいました。
「いっしょに、いま、いってみようか」と、ぼくがいったら、
「まいごになったら、いやだから、きょうはやめる。
またいつか、かいぬしに、ついてきたら、いけるかもしれない」といいました。
「うん、また、いっしょにこよう」と、ぼくはいいました。
それから、みんなで、くるまにのって、かえりました。
ぐれいすさんのことを、かんがえていたら、かいぬしがなにかかんじたのか、
ぱそこんで、ぐれいすさんのふるいしゃしんを、みせてくれました。
ぼくも、かいぬしも、びっくりしたけど、ぐれいすさんの、しんだのは、
にがつようかで、もうすぐ、めいにちでした。
そして、ぼくもかいぬしも、わすれていたけど、
ぼくが、このいえにきたころ、ぐれいすさんは、まだげんきにいきてたようで、
ぐあいがわるくなって、しぬまでに、かいぬしが、ぐれいすさんを、
ちゃんと、かわいがっていたのも、わかりました。
ぐれいすさん、わすれちゃってたのかなあ。
それとも、ぼんやりおぼえていて、そのとき、すごした、おもやのへやを、
はやく、きれいにしてほしいんだろうか。
かいぬしは、ぱそこんで、そのころのきじをよんで、
「おまえのこともいっぱいでてくるじゃないか。
わたしは、けっこう、おまえとなかよくしていたんだね」と、
ちょっと、ほっとしていました。
ぐれいすさんのしゃしんと、きじを、のせておきます。
さいごは、ぼくのしゃしんで、しめます。



ぐれいすさんは、じっさいには、もっとはいいろっぽくて、
おきゃくさんからよく、「ろしあんぶるーですか」と、
きかれていたそうです。
