1. TOP
  2. 岬のたき火
  3. 日記
  4. もうこれは執念としか

もうこれは執念としか

雨が降って四月なみに暖かくなると天気予報は言ってたが、朝から日が照って、薄ら寒いんだけど。せっかくだから、裏の崖の擁壁で、どのくらい暗くなっているか、上の家の仏間を見に行った。前のような輝く日差しはさすがになかったが、まあ薄暗い程度で、そんなにひどい状態ではなかった。仏間らしくてよいかもしれない。それと、もう少し日が昇って来たら、もっと明るくなるのかもしれない。ということは、一日か少なくとも午前中には仏間に詰めとかないといけないってことか。読みさしの本を読み上げるにはちょうどいいかもしれないけどな。

下の家の前庭をしつこくトイレにしていたノラ猫さんたちは、先日私が、上の家の擁壁工事でなくなった栗の木から庭に落ちて来ていたイガを拾い集めてまいておいたら、さすがに閉口したのか、ぴたっと来なくなった。それまで除草剤をまきまくったりして費用もはんぱなかったので一安心していたら、昨日久しぶりにチェックしたら、イガを押しのけるようにして、一箇所だけだが、またトイレにしようとしている。
掘り起こしたり用を足したりする時に、トゲが刺さらないのかと、こっちが心配になる。さしあたり掃除して、また新しく裏庭から持って来たイガをおいておいたけど、どうなるかしらん。

ふしぎなのは、中庭や奥庭や、あちこちに、トイレにしてもよさそうな(されても困るが)空き地は他にいくらでもあるのに、これだけの苦労をしてまで、わざわざいろんな鉢や石もあって用を足しにくいはずの、この一画にここまでこだわるのかということだ。もう本当に執念というか意地になっているとしか思えない。何の魅力があるのだろうね。

気になるのは、擁壁工事が終わったら、私の家との間に、わりと細い路地程度の空間がずっとできることで、下手したらここをまたトイレに選ばれたらかなわない。金をかけずに見た目も悪くなく、きれいにしておく方法って何かないものだろうかね。今からもう悩ましい。

昨日、用事をすませた後で近く(でもないか)のイオンの映画館に行ったら、「パラサイト」がちょうど上映前で、これも私がずっとテーマにしようとしている格差の話だからと、そのまま飛びこんだ。私は思想信条とは何の関係もなく、ただもう韓国映画や韓国ドラマが苦手で、肌が合わないとしか言いようがないほど、色も音もテンポもすべてが嫌いなのだが、これはさすがにまあまあ、いや大変面白かった。パワフルでぶっ飛んでいて物悲しく、まるで予測もつかず、登場人物の誰もがどうしようもないくらい善意の好人物で(悪事を働いていても無責任でも、それは皆中途半端で、きちんとモラルがあって、さすが儒教とキリスト教の国とさえ言いたくなるぐらい、皆基本的に人間としてちゃんとしていて、優しさや暖かさを失っていなくて)、だからこそ救いがなくて、いやはやもう。最後まで見ると、いっぺんに六本ぐらいの映画を見たような気分になった。そういう意味でも、お得かもしれない。

やたら強烈に切なかったのは「貧しさの匂い」だなあ。それを気づかれたことが実は一番、貧しい側の父の怒りを招いたのではないのかなあ。これといった詳しい説明も描写もないのに、その「匂い」がもうスクリーンから臭ってきて、映画館に充満したような説得力と迫力があったよ、少なくとも私には。

終って出たら、明日(つまり今日)で終わると言う「ダウントン・アビー」の吹き替えがちょうど始まるところで、そのまままた飛びこんだ。どんな風に作るのだろうと思っていたが、これもなかなか面白かった。ドラマが終わったあとの時期が舞台で、国王夫妻が一晩お泊りになるという大行事をどう乗り切るかという話。あとは、いつものメンバーの、いつもの話で、これはドラマを愛した人以外はあまり気にしないで作っているのかもしれない。その脇目もふらずに身内だけを相手にしている感じが、結局は成功しているようだ。初めて見る人はどうなのかわからないが、何しろやはり建物が魅力的で美しい。登場人物はそれぞれが、ああ年をとったなあと思う人も多かったが、それもまた楽しかった。マギー・スミスはかなり前からガンか何か患っていると聞いた気がして、「ハリー・ポッター」の最後までいてくれるんだろうかと心配していたが、変わらぬ姿を見せていた。でも死が間近いという設定も、とても優雅に幸福に描いてくれていて、こんな女優として最高の最晩年を送れるなんて、この人前世でどんないいことしたんだろう。私はテレビの深夜放送でたまたま見た映画「予期せぬ出来事」で、彼女が初々しく忠実な秘書さんをやっているのに会ってから、ずっと大好きだったのだが。

このハガキ、少し早いですが、紹介しておきます。古いハガキの中から見つかり、さっさと誰かに出すつもりだったのですが、よく見ると大石順教さんの絵で、けっこう貴重かもしれない。ちょっと汚れてもいるし、お雛様飾りのグッズの一つにして、手元においておこうかと思ったりしています。

Twitter Facebook
カツジ猫