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サンタが見つかった

昨日いやもう一昨日かは、むなかた九条の会の中心だったメンバーのお一人が八十四歳で亡くなって、お通夜でした。お葬式には予定が入ってて行けなかったので、お通夜の方に行きました。ご家族が愛情をこめて明るく「頑固で話が長くて面白くなくて皆さまにもご迷惑をかけたのでは」とごあいさつされましたが、何十年もいっしょに活動していた私の印象では、とてもひかえめで明るく、我慢強くて頼りになる方でした。福岡県の九条の会との連絡や交渉もいつもしていただいていて、他にも大変なお仕事をいろいろして下さっていたのに、弱音も文句も不満な顔も、何一つお見せになったことがなく、強い優しい方という印象とともに、幸せな方なのだろうとずっと感じていました。

私は数年前に体調を崩してから、むなかた九条の会の活動はほとんど休止しているのですが、「体調とか言い訳にできないんだよねえ、ほんとは。だって皆さん、手術やら療養やら闘病生活されながらがんばってる人ばっかりだから、体調不良なんてとても口実にはできない」と言いながら、それでもさぼっていました。

メンバーの皆さんは、ほんとに愚痴も言われずいつも明るいので、いちいち聞いてもいないし知らなかったのだけど、今回亡くなられた方も、実は十年以上前から闘病中で、片方残っていた肺を最近また手術されたようで、そんなご様子はちっともなくて、歌がお上手で楽しげで、思い出しても何もかも、頭が下がるばかりです。
 お葬式はキリスト教の式次第で、牧師さんが司会をなさいました。九条の会以外にも、さまざまの貴重な活動をされていたことも知りました。

多分、今年の夏だったと思うのだけど、行きつけの喫茶店でお茶してるとき、眼の前の道を通りかかられたのを、お声をかけて、いっしょにお茶を飲んでおしゃべりして、お客さんも少なかったので、二人でいろいろ歌を歌って楽しく過ごしたことがありました。お孫さんの話などされて、とても幸せそうでいらして、こちらもうれしく元気が出ました。お目にかかった、それが最後になりました。

初代の代表だった菰口治教育大学学長をはじめ、たくさんのむなかた九条の会の仲間が、もう亡くなりました。お人柄も所属政党も立場も思想もいろいろで、でも皆さん共通して、明るくて前向きで、がまん強くて、清潔で誠実でした。不正や不合理に怒り、戦うことを決してやめないし、忘れもひるみもなさいませんでした。
 お一人お一人を思い出すとき、私の中にこみあげるのは、悲しみでも寂しさでも喪失感でもなく、こんな方々と人生をともにできたという誇りと感謝と充実感です。こんな方々がいたのだから、まだ他にも、これからも、きっと同じような方が世の中にはおられるはずだという信頼と希望です。さまざまな悲惨な事件、許せない状況の数々が押し寄せても、眼の前にこんな方々の姿を見てきたことは、土台となり安らぎとなって、私を支えつづけます。

ところで、探していたサンタの人形は引き出しの奥から、めでたく見つかりました。明日(あ、今日?)には飾ろうと思っています。

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カツジ猫