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七十年の時を経て

古い荷物の中から私の五歳ぐらいのときの日記が見つかった話は、前に書きました。
その記事から、私が小さいときにそれはもう、かわいがってくれた、お手伝いさんのようにして、うちに暮らしていた親戚の娘さん「とよべえ」の亡くなった日が、三月十四日だったことがわかりました。

母はクリスマスに亡くなるし、とよべえはホワイトデーに亡くなっていたし、本当に皆、私が忘れないよう思いやってくれてるみたい(笑)。

生まれて初めて彼女の命日を祀ることができるので、たった一枚しか残っていない写真を焼き増しして飾り、花とクッキーと、それに彼女が死ぬ前に食べたがったのに、あげられなかったバナナを供えました。いつもは絶対買わない上等のバナナです。

七十年間、彼女のことを覚えていながら、命日がわからなかったのに、今度こうして彼女に感謝し追想する日ができたことに、とてもとても感謝しています。その幸運が、何だかすべて夢のよう。いやはや日記って、つけとくものですね(笑)。

昼から、それで思い立って、彼女の名前の一文字を刻んである、近くの墓苑の私の個人墓にお参りして来ました。広い墓苑は夕方で誰もいませんでしたが、暖かい日が続いて訪れる人が多かったのか、どの墓も花がいっぱいで、楽しい眺めでした。

さらについでに、いつもは二月の旧正月に行くのですが、今年はそれさえさぼっていた、宗像神社と鎮国寺の初詣に行きました。こちらもどっちも人はまばらで、鎮国寺の梅もあらかた散っていましたが、静かでうららかな境内を満喫し、鎮国寺では例年のようにお線香とお酒を買って帰りました。
両方で引いたおみくじも、それぞれまあまあで、いい気分になれました。

心機一転、新年を迎えた気持ちで、また明日からいろいろ仕事にはげみます。

あ、鎮国寺の石の陰に、去年までいなかったと思う、かわいい馬があったので、ついついこれも写真に撮っちゃった。
後ろのガマたちも迫力ですけど。

あらまあ!
今、元記事を確認したら、とよべえの亡くなったのは十七日でした。
何がもうホワイトデーよ。私のおっちょこちょいにも程がある。
日記の始まりが十四日だったから、どこかで記憶がすりかわったな。

いいさ、十七日にはまた再度お祀りするから。花とバナナも追加して。
とよべえは、きっと笑っているだろうなあ。でも彼女なら笑ったりしないかもしれないなあ。喜んでくれるだけで。

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カツジ猫