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三ヶ日みかんや大相撲や

ニュースを見ていたら能登半島ではまだ水道が復旧せず、水が出ない地域がそこそこあって、完全に復旧するのは四月以降になりそうだって。もう、信じられない。現代の日本と思えない。早急に最優先で何とかしろよ。「よく皆がまんしてるよ。私なら暴れる」と今日マッサージのお店でつい言ってしまったらスタッフのお兄さんも「四月はきついですよね。せめて二月なら」とか言っていた。

スーパーでは今みかんがたくさん売られている。小ぶりできれいで、食べるのにちょうどいいのが多い。今日も一袋買ってきたが、ひょいと、若いころ名古屋の大学に数年勤めていた時のことを思い出した。初めての正月を、親切なご夫婦の建てた新築のかわいい借家で、「雨の夜のある町から」に登場する初代猫のおゆきさんと迎えた。すぐ隣のアパートに、有名な中世文学の研究者の渥美かをる先生がいらして、私と入れ違いに大学を移られたから、お目にはかからないままだったのだが、おゆきさんはあいさつに行ったらしく、人なつこい猫が来たと、ご自身も猫好きな渥美先生がおっしゃっていたらしい。

その正月、近くの商店街で果物を買っていたら、三ヶ日みかんというのがたくさん売ってあって、私は何の疑いもなく、正月三が日用のみかんなんだと思って買って食べていた。かなり何年もたってから、三ヶ日というのは浜松あたりの有名なみかんの産地だったと知ったのよ(笑)。今ももちろんあるだろうが、ここ九州じゃまったくお目にかからないなあ。

大相撲ももう中日かな。「関取名勝図会」の翻刻のページのリンクがなかなかできなくてクサってる。まあ、ぼちぼちと、書きためておくか。

テレビでぼやっと見ていると、モンゴルなど外国の出身の力士が多く、変わらぬ熱烈な声援を浴びているのがうれしい。
 昔、私がまだ学部の学生だったころ、ドイツ文学者の高橋義孝という超偉い有名な先生がいらした。年に数回しか大学にお見えにならず、授業の単位がほしかったら受講登録さえしておけば優か良かどっちか忘れたが一律に下さるという噂があった。半信半疑で登録してみたら、本当に授業は一回もなかったのに単位が来た。他にそんな先生はおられなかったし、まあのんきな時代ではあったのだろう。
 その方は相撲ファンでもあって、その方面の立派な役職にもいろいろついておられた。まだ外国人力士はいなかった時代で、たしか先生は日本人以外が力士になることを大変いやがっておられた。今でも解説者の前の海氏(歯切れのいい解説は好きだが)はたしか同じ意見らしいから(日本人の横綱が出ないのは日本国憲法が悪いと言っておられたと聞いたことがある)、その時代なら当然かもしれない。日本の国技は日本人にしかわからんとか、そういうお考えだったようだ。

でも私の後輩の、口の悪い近代文学研究者の女性は、当時はまだ学生か院生だったが、その話を私に聞かせた後で、「そんならおまえがドイツ文学やっとるのは、どういうこっちゃという話よね」と目をキラキラさせて笑っていたっけ。

写真は「関取名勝図会」から。

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カツジ猫