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小磯良平展

葉っぱを虫に食われて丸坊主になりながら、がんばって咲いた、玄関先のピンクのバラを切ってきて、母の写真の前にかざった。これ全部ひとかたまりにてっぺんにまとめて咲いていたのがすごい。
 昨夜は雨が降ると天気予報が言ってたのに、降らなかったようで、でも今日も雨だと言ってたし、朝の水撒きをしたもんかどうか迷ってる。

「しんぶん赤旗」の文芸欄は、面白い作品が多くて(超失礼だが亡くなった母が昔、「共産党の議員の人はお金がないから、趣味は『散歩』って人が多い」とほめていた。今はどうか知らないが、文芸欄の水準の高さも、そういうお金を使わない趣味ということなのかなと思ってしまう。しかし、大新聞の文芸欄もいい作品が多いようだから、それも似たような事情かしらと、勝手に妄想したりする)、紹介しようと思っては忘れる。

昨日は福井県の黒戸さんという方の、

 僕は今日〈国旗損壊弁当〉で白いご飯に赤い梅干し

という短歌が(むしろ狂歌かなこれ)載っていて、私の先日の書き込みを思い出して笑ってしまった。ほんともう、ややこしい法案を作らないでほしい。

小人閑居

昨日はがんばって、福岡美術館の小磯良平展に出かけた。私はこの人の絵は好きで、特にまだ子どものころ、週刊誌の表紙にあった、今思えば山口百恵によく似ている少女の絵がいたく好きで、切り抜いて額に入れて壁にかけていたのを、ずっと持っていて、今も母家のキッチンに飾っている。

(98)残り香のように

でもさ、これ、今気づいたんだけど、少女の絵の右側の水蜜桃?の静物画も、昨日の展覧会で見た静物画と描き方がよく似てるんだよね。ひょっとして、これも同じ作者? ちがうかな?

開催されてかなりになるからか、展覧会場はものすごく空いてて、こんなことは初めてぐらいで、とても優雅にゆっくり見られて楽しめた。こじんまりした地味な雰囲気も快かった。ひょっとして人気ないのかしら。そりゃ最近行ったエジプト展やシルクロード展に比べればしょうがないのはわかるけど。

ただ、私が勝手に抱いていたイメージとは、作風がかなりちがっていた。もっとシャープで、素朴なのにスマートな冷たい感じがした。私が切り抜いて飾っている山口百恵に似た少女の顔に似た絵があるかと楽しみにしていたのだが、たくさんある女性像の中には、それに近いのは一枚もなかった。どの女性の顔も、すごく特徴が現れていて、道で会ってもすぐ気づくほど皆ちがうのに、まるで似たものがなかったのに驚いた。

その顔もそれぞれただの美人ではなく、美しいのに、ひとつまちがえば意地悪な風刺画になりそうなぐらい、どれも個性がよく表現されていた。大原女を描いた大きな絵が私は特に気に入った。顔だけでなく、両足を少し開き気味にがっしり座っているさまは、まるで女王か女神のようで、「水の王子」の挿絵にほしかった(笑)。

図録も小ぶりだったが内容は充実していて、巻末の解説に引用されている当時の画家たちの批評も、やたら面白かった。とにかく巧いともてはやされていて、そんなに大物だったのかと逆にこっちが驚いた。たしかに平凡で素朴で俗っぽいようにさえ見えて、複雑で微妙で一口に言えないような奥深さがある。ずっと全部の絵を見ていると、何だかさわやかに拒絶されたような気までする(笑)。

私はミュシャも好きなのだが、あの人も軽くてお洒落で都会的で繊細で安っぽいように見えかねないのに、どこか重厚で素朴で大地の香りがする。それと似ていて、「大原女」なんかもそうだが、労働者や社会派のような感じの絵も多い。男女の若者が集まっている「人々」の絵など、戦争画の走りらしいのだが、まるで学生運動家か革命家たちの群像に見える。

いろいろ、あれこれ、刺激的だった。六月半ばまでやってるらしいから、もう一回ぐらい見に行ってもいいな。

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カツジ猫