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映画「オデュッセイア」感想(2)

うざがられるかもしれないけど、「オデュッセイア」について、いろんな無駄話を。

その前に。

「オデュッセイア」って、「イーリアス」とセットになってる世界最古の文学です。叙事詩のかたちをとってるけど、まあ、面白い物語です。作者はホメロスという詩人で、作られたのは、何と紀元前八千年ぐらいと言われてる。今から一万年以上前ですよ。ぎゃあ!と思うけど、もっとぎゃあ!と言いたくなるのは、ここに描かれた人々の心や感情が、男女の愛、同性同士の愛、家族愛、友情、嫉妬、復讐、その他あれこれが、今のこの現代と、ほとんどまったく変わらないこと。人間って変化しないんだなあとつくづく驚嘆します。

二つの叙事詩は連続する内容で、現実にあった「トロイ戦争」を題材にしています。今のトルコあたりで栄えていた、堅固な城壁に囲まれた豊かですぐれた都というか国を、ギリシャの王たちが連合軍を作って攻めて、十年ぐらいかけて、ついに滅ぼした戦争です。

この段階でいろいろもう、つけ加えることがいっぱいあるのですが、全部すっとばします(笑)。

第一部と言うか前半の「イーリアス」は、両軍の城壁を境にした激しい戦闘がずっと描かれます。舞台はずっと同じだし、単調と言えば単調なんですが、オリンピックか野球やラグビーの試合を一シーズンみてるようで、これがなかなか面白い。それぞれの軍の個性的な英雄と活躍、チーム、じゃなかった各陣営の内部の対立や分裂、戦いの背景となった男女の愛、その他もろもろ、飽きません。ときどき、それぞれの軍をひいきにする神様たちが登場して、いろいろひっかきまわすのも予想がつかずに面白い。

この戦いを終わらせるのは、ギリシャ軍の智将で有名なオデュセウスが考えた「木馬作戦」で、いったんギリシャがあきらめて引き上げると思わせて、浜辺に巨大な木馬を残し、その中に将兵たちをひそませておいて、勝利を祝うトロイ方が、戦利品として木馬を城壁の中に引き入れて祭りをした、その夜、木馬の中から出てきた兵士たちが、中から城壁を開けて、そうなるともうトロイは一気に(いつのまにか戻ってきていたギリシャ軍に)攻め込まれて、あっというまに崩壊して男は殺され、女は捕虜にされます。

その前後の悲劇やら何やらも、いくつもの二次創作(それも名作)を生み出してるのですが(ラシーヌの「アンドロマック」とか)、そういうのもすべて、すっとばします。「イーリアス」はそうやって、トロイの滅亡、ギリシャの勝利で終わります。

あー、ここまでで、もう疲れた。そうそう、パソコンのウィルスの名前にもなってる「トロイの木馬」は、ここから来た名前です。相手の内部に潜り込み、中から崩壊させる、って意味ね。

で、後半の「オデュッセイア」は、がらっと雰囲気が変わります。映画「大脱走」の前半と後半みたいな変わり方(と言ってもわかる人いるかな)。明るくて千変万化で動きがあって、ゲームみたいに楽しい。

話は実は深刻なんですけどね。勝利したギリシャ軍の英雄たちは戦利品やら捕虜やらを持って、めでたく故郷に帰るんですが、あんまりハッピーになった人いないんですよ。それどころか、大変な悲劇にまきこまれてしまったりする。まあその話も省きます。
 中でも一番苦労して十年間も故郷にたどりつけなかったのが、「トロイの木馬」を考えついたオデュセウス。海の神ポセイドンに嫌われたせいとも言うんだけど、とにかく、あらゆる事故や災難が起こって、部下も皆死んでしまい、自分も長く女神カリュプソーにひきとめられて言ってみりゃ、ペット扱いされてしまう。

戦争の時期と合わせれば、二十年間故郷に戻れなかったわけで、この人イタカという島の一応王様なんですけど、留守の間に地元の貴族の若者たちが宮殿をのっとり、彼の妻と結婚して王になろうと画策するという、まあひどい状況になっている。

オデュセウスは神様たちの話し合いやとりなしもあって、何とか女神から解放され故郷に戻るんですが、そういう状況だから、いきなり名乗って帰っても返り討ちになると判断、乞食に変装して宮廷にあらわれます。そして、成長した息子とともに、ならず者の貴族たちをやっつけて皆殺しにし、めでたくふたたび王となり、男たちをしりぞけつづけて宮殿を守った立派な妻と、愛をたしかめあう。まあ、ハッピーエンドです。

あおん、今からがいいとこなんですけど、長くなりすぎたし疲れたし、続きはまた、なるべく早く続けます。ごめーん。

なお、オデュセウスは私の小説「馬の中」シリーズにも登場し、特に第二冊の「風」の巻の「おれにまかせろ」では、大活躍しています(笑)。紙本、電子書籍、Amazonで買えます。このホームページにも連載したときの記事がそのままだから、多分全部読めます。

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カツジ猫