梅の寺に初詣
隣町の映画館でやってる「午前十時の映画祭」が、今「キャバレー」を上映してる。一念発起して見に行こうと早起きしたのに、燃えるゴミ出しだの洗濯だの猫のブラシかけなどしていたら出かけるのが遅くなり、九時五十分になってしまった。無理して事故ってもつまらんと途中でいきなり予定を変えて、初詣に行くことにした。人混みがいやだから、私はいつもこのころに行く。どうかすると二月に行く。
例年通り、宗像大社と近くの山の上の鎮国寺に行った。帰りに玄海霊苑のちっこい個人墓にも立ち寄った。時期もだが時間が早かったからか、人も少なく、のんびりお詣りができた。宗像大社では何よりも去年「水の王子」を書き上げられたお礼を言い、勾玉の小さいお守りと、変になまめかしいウサギの絵がついた凧?を買った。もう植木市や食べ物屋などはなくなってたから、それ以上の散財はしなくてすんだ。池には今日も太った鯉たちが泳いでいたが、餌が売り切れてたので、やれなかったのがちょっと残念。化け物みたいにでかいのが、わらわら寄ってきてぱくぱく餌を食うのが毎年面白かったのに。また行こうかな。
鎮国寺は早くも梅が咲いていて境内は華やかだった。このお寺、建物の中まで入って拝めるのだが、広い内陣いっぱいにお札やお守りやいろんなものが売ってあって、それが毎年どんどん増えてる。数珠などもブレスレットのようにサンゴやオニキスなどさまざまで、ウサギの置き物なんかも多い。誘惑されそうになったけど、例年通りお酒と線香だけ買わせてもらって引き上げた。なぜかおみくじの自動販売機は昔のままの二十円のやつで、今年は大吉だった。ちなみに宗像大社の方は末吉だった。内容はどっちもそこそこよくて、あまり多くを望まず慢心せずに励めば無事みたいなご託宣だった。
そのころから日が照り始めて、梅の花はうらうらきらきら、朝日を浴びて素敵な初詣になった。帰りに近くの小道の脇にある、お洒落だが見つけにくくて閉まってることも多い、山口恵以子のゆうれい居酒屋みたいなお店を首尾よく見つけて、おいしいランチを食べて、そのまま居座って手紙や日記を書いてくつろぎ、三時近くに出ようとしたら、さっきのお天気はどこへやら、空は曇って雨が降り出している。しかし、ままよと思ってお墓にも寄った。私はどうせ自分の死後は誰も来ないからと、花活けも線香立ても何もない墓にしているのだが、回りは正月に来た人たちの供えた花でいっぱいで、雨の中、墓地全体がお花畑のようだった。しめくくりに、いつもの花屋さんで、すっきり爽やかな青いデルフィニュームと白いストックを買って、帰って飾った。
うーん、明日また早朝映画に挑戦するかな。二十六日までなんだよな。
今年の集中講義の予定も決まる。日付を手帳に書き込んだら、この私でもいっちょまえに、ちょっと心が引き締まる。