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正体不明のキーワード

日米会談について、いやな予感しかなかったが、具体的にどんなことになるのかという予測があったわけじゃない。まあ、見当もつかなかった。
 ただ、今朝のニュースでチラ見したのでは、一応無難に終わったようだが、何をアメリカと約束したのか引き受けたのかが、まださっぱりわからない。例によって、ぼやっとしている。こうなると、今言わないのだから、いつまでもこのまま曖昧模糊とぼやかしたまま、どこかでずるずるとか一気にか、国民はおろか国会にもろくにはからないで、「あの時決めてきていたことでして」とか言って、閣議決定だか身内の会議だかで、ものすごいことを、どさんと決めて一方的に実行するという、さきのインチキ衆院選方式を考えてるんじゃないかという図式が、なーんとなく目に浮かぶのは私だけなんですかね。

とか言ってたら、夜になった。
 あれからニュースや解説をちょこちょこ見てるが、私の印象は最初と変わり映えがしない。今回の会談はおおむね成功だったという解説が多い一方、あれだけトランプさんにごますって世界を救うのはあなたしかいないと持ち上げて、世界や中東やイランはどんな印象を受けるかと怒り憂える声も激しい。

私はもう高市首相が変な約束をひきうけたりしないで、いつものように逃げまくってごまかしまくって戻って来てさえくれれば、ぴょんぴょんはねようが、泣こうが何しようがかまわないと思っていたから、一応この結果にはほっとしている。「世界を救うのはあなたしかいない」も、そりゃある意味ではたしかにそうだし、そうでしかないし、あんた一人がバカをやめれば、すべては解決するんですと言ったつもりなら、悪くない。「日本の法律ではできることと、できないことがありまして、できることはやらせていただきます」も、デパートの苦情処理係のマニュアルもどきにすっからかんだが、すきはない。ボディランゲージやパフォーマンスについて言うなら、いきなりのハグも終始のにこにこも、見ていてとことん胸が悪くはなるが、まあこの際そんな贅沢は言ってられない。

問題は高市さんが、ほんとにトランプさんが世界を救う立派な人と思って言ってるのならさすがにどころじゃなく困るし、本気でできることはやらせていただきたがってるんなら、もっと困るということだ。トランプさんやら、アメリカ国民(トランプに反対している人も含めて)やら、イランやヨーロッパや中東やが、それをどう受け取るかということだ。それぞれが、自分に都合よくうけとってくれればめでたいし、その可能性もないわけじゃないが、どっちに転ぶかほんとに恐い。何より高市首相と現政権が、どういうつもりでいるのかがわからない。そして、肝心の具体的な手がかりはと言えば、まったくちっとも伝わって来ない。

江戸時代の連句(俳諧)を学生に教えていて、つくづく思うし口にも出すのは、この芸術は、皆で合作する(一人でやってもいい)ときの、続けていくつも詠んでいく句が、前の句といっしょにするときと、後ろの句といっしょにするときと、まるっきり別の意味で解釈できるというのが眼目で、それによって、がらりと意味や情景が変わって次々移り変わって行く。(これは連歌も同じ。というか、連歌からの伝統。)つまり、誤解曲解二重の意味の面白さを基本とするから、法律の条文とかとちがって、ぬるぬるもやもや動き回る。
 中世から何百年も、こんな芸術で遊んで腕をみがいて来たのだから、日本語だか日本人だかの、どっちつかずのどっちにもとれることばの使い方は強烈に正体不明になるはずだと、いつも思う。今回の「あなたしかいない」「できることはする」の二つも、いっそこれで連句でも読んだろかと思うぐらい、どっちにもとれるし、どうにでも使える。

というわけで、冒頭に書いた私の第一印象は変わらないし、不安は消えない。
 慰めというか、励ましは、これだけぬるぬる中身のわからない内容を、今後どのように実現させるかは、私たちの発言や行動や意思表明にかかっているということだ。これをやっちゃまずいぞとか、こうしても大丈夫そうとか、首相や政府に思い切り感じさせるしかないし、あの人たちは悲しいことに、信念や信条もポリシーも哲学もほぼなさそうだから、利害関係と世間の反応で、どうにでも動く。

さしあたりメディアも、国会前に一万人以上が集まって、イラン侵略への政府の対応に抗議してることぐらい報道しなはれや。どうせまた、この会見を成功とか報じて内閣支持率上げるんでしょうが、先の衆院選と同様、この会見も、中身は今後どっちにどう転ぶか、さっぱりわからないままなんですからね。

写真は、ようやく咲き出した庭の椿。

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カツジ猫