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舞い上がったり落ちこんだり

後期の授業用のテキスト「江戸文学史やわ」が仕上がって来ました。きれいでスマートな表紙で、裏表紙のキャラメルとカツジの二匹の猫の写真もばっちり。うっとりとながめていたら、ぎゃあ、一文字の脱字を発見。私のミスです。最後の原稿、急いだからなあ。まあ、内容に抵触することはない単純ミスなのが、せめてもの慰めだけど。

とにかく本はとてもイメージ通りの仕上がりで、満足。今学期の受講生に買ってもらうので、申し訳ないけど、しばらくは、このホームページでの内容公開はしません。まあ、もと原稿は多分全部、このホームページのどこかにはあるんですけどね。
何年かしたら、他の金時計文庫と同様に公開します。ひょっとして、ほしいという方がおられたら、「お手紙」欄からメールを下さいね。

前にもちょっと書きましたが、「断捨離狂騒曲」が、「週刊エコノミスト」の「読書日記」でとりあげられました。美村里江さんが、なんと芥川賞受賞の小説と並べて紹介して下さってます♪
自分の研究の専門書とかではなくて、エッセイでこんな風に紹介されたのは多分初めてです。山とある、浜辺の砂より多いぐらいの書籍の中から選んでいただいたのが夢みたいにうれしい。

もうこうなったら、調子にのって続編もやっぱり出してしまおうかな。
実は、この本が発売される前後に、自分が好きな雑誌や週刊誌には送って、あわよくば紹介してもらおうと思っていたのですが、何しろ忙しくて、実際に送れたのは、発売後数ヶ月たってからでした。なので、もう紹介などは無理だとあきらめ、編集部の人に読んでもらえたらそれでいいやという気分でいました。

こんなに遅くなってから取り上げてもらえるなんて考えてもいなくて、でもそうすると、ひょっと他の雑誌や週刊誌でも取り上げて下さったところがあったのじゃないの?とか思って、もう確認もできないので、あーあとため息ついてます。

今日は街に買い物に出かける予定だったのですが、うかうかしていて、出そびれました。朝から環境美化作業で、ご近所の人たちと朝の八時からごみ拾いに地域を回ったりしたもんですから、早起きした分、午前中はわりと時間に余裕があって仕事もはかどったのですが。

「夜はやさし」の上巻を読み上げて下巻に突入。やばい、面白いじゃん。贅沢な富裕層の華やかな暮らしがなかなかきらびやかで、文章もそれにふさわしい軽やかさと華やかさで快適に読める。
一番ふしぎなのは、主人公の妻ニコルと、若い女優のローズマリーが、どっちもちっとも嫌いにならないところなんだよなあ。ローレンス・ブロックのマット・スカダーシリーズや、米澤穂信の古典部シリーズの女の子たちには、妙な敵意と反発をいつも感じる私なのに、この作品の女性たちには何の抵抗もなく受け入れて、愛せる。
主役の男性たちが好きなので嫉妬するのかなとも思ったけど、それなら「夜はやさし」の夫だって好きだし、ほんとに理由がわからない。もしかして私、強くて賢くて能力の高い女性が嫌いなのかな。不安定でかわいくて無邪気な子の方が好きなのかな。男女を問わず。

いや、そう一般化しちゃいかんのかもしれない。単にフィッツジェラルドの書き方がいいだけかもしれない。そしてブロックや米澤穂信は何つうのか、そういう賢くてすぐれた女性を魅力的に描く能力が低いのかもしれない。我ながら、いろいろむちゃくちゃ言うとるが。
そんなこんなで刺激的だ。これでニコルのモデルになった奥さんの小説読んだら、どうなることか。まったくわからない。自分の心理が予想つかない。

ただ本当に、どういうか、フィッツジェラルドの描く女性たちは、とても愛らしくて善良で好きにならずにいられないのだ。これは作者の目が心が、そういう風に描ける力を持っているのだとしか思えない。言ってみればしょうもない金持ち夫妻の、えげつないぜいたくや浮気の話だし、いろいろ、とんでもないことをしまくっているのに、すべてがとても美しく健全に見える。私はだまされてるんだろうか。うー、わからん。とにかく早く先を読みたい。

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カツジ猫