映画「侍の名のもとに」感想もどき1-最初の感想はこうでした

1 最初の感想はこうでした

仕事はさっぱり進まないし体調はいまいちだし、首相は裁判所まで私物化しようとしてるみたいだし、いろいろムカつくので、プロ野球のプレミア12を題材にした「侍の名のもとに」の映画を見に行ってきました。
しょうもないタイトルだし、あまり期待もしていませんでしたが、よく出来ていて面白かったですよ。

そんなに変に感動的に盛り上げるのでもなく、わりと淡々と描いていたし、ネットの批評を見ると、ドラマのような構成になっていたとか感心してる人も多かったけど、それは野球に限らずスポーツなんて普通にまとめれば、どれもドラマにはなりますからね(笑)。

ぼうっと見ていると、こういう試合をする時の手順とか手続きとか、なるほどこういうことしてるのかなどと全体像がひとりでに伝わって来て、私は満足できたし、たとえばむなかた九条の会や市民連合の成り立ちも、こういうノリで作れたらそこそこ映画として成功するんじゃないかななどと考えたりもしてました(笑)。

稲葉監督という人が、あまり強烈な個性の鬼監督とかいうタイプでは全然なく、細やかで穏やかで選手に対しても、いいのかと思うぐらい腰が低い、現代の新しいタイプの監督っぽい。それにおとなしく手綱をとられて、ちゃんと動いて結果を出す選手たちも、つくづくいまどきの若者なんだなと思いました。もう絶対、リング・ラードナーの野球小説に出てくる大リーグのはちゃめちゃプレーヤーとかいないもの。皆おとなしくて紳士的でいい子で。これは時代なのか日本なのか。決して悪口じゃないけど、羊の群れみたいでしたよ(笑)。そういう風に描いてたのかもしれないけれど。

選手全員を描くわけには行かないから、そこはばらつきがあって、野手や投手に比べてたとえば捕手たちは、ファンだったらものたりないぐらい登場しないとかいうことはあるんですけど、そういう気遣いがない分、逆に作品としての全体のバランスはよかったかもしれないですね。あくまで監督のチーム作りに焦点をしぼっているのが成功していたと思います。変に国威発揚にもなっておらず、韓国をはじめとした相手チームへのリスペクトもきっちりあって、そこも安心して快く見られました。

あんまり野球マニアや特定の選手のファンでなくても、いやむしろそういう人の方が、ぼやっと見に行ったら楽しめるかもしれません。時間も短いし、悪くないです。

あー、ただ一つ! 最初に甘ったるーいぺちゃぺちゃ声で、女性のナレーションから始まったときは、げっと思って気持ち悪くて椅子から転げおちそうになり、これが続くなら途中で帰ろうかとマジで決意しかけたのよね。全体として趣味もセンスもいい映画だと思うんですけど、何であんなバカなことしたんでしょ。幸い、だんだんその語りは少なくなって、最後は完全になくなったからよかったけど、だったらなおのこと、なぜあんなナレーション入れたのだろう。ただもう、気持ちが悪かった。

私は、女の人の声や朗読がきらいなわけじゃなく、それこそ「誰がために憲法はある」の女優さんたちの声なんて最高に痺れるし、プロ野球の映画を女性のナレーションでやるのが絶対に悪いとかいやだとかも思わない。ただ、その声と口調ですよ。何であんなにべたーっと気持ち悪い甘え声で話さなきゃならんの。名前覚えたから今後見るたびムシズが走りそうになるだろうなあ、気の毒だけど。

以前に「WATARIDORI」という、素敵な映画を映画館で見てべたぼれし、DVDも買ったところが、これまた、きちんと鳥の名前も字幕で説明して男性の声で冷静に語っていたフランス語じゃなくて、日本版のは妙に感情移入した気持ち悪い女性のナレーションで、好きな芸術品に糞尿を塗りたくられたような嫌悪感と衝撃で、しばらく食事もできなかったぐらいだったけど、あの時のことを思い出すなあ。どうして、こういう、普通にやってればいいものをぶちこわす、女性の語りを安易に入れたがるの。何かえらい人のコネでもあるんでしょうか。そうでも考えないと理解できないような気持ち悪いピント外れのセンスの無さなんだけど。

まあねえ、私はそもそも、きちんと普通の語りができない、変に個性を押し出してくる若いタレント風の女の声っていやなのよね多分。TOHOシネマズのキャラクターになってるのか、いつも予告編の紹介に登場してくるタレントさんのしゃべりも苦手。映画泥棒のCMの方がまだよっぽどまし。紙兎ロペは好きだから、まあ好みの問題でもあるんだろうけどね。
とにかく、あの女性の予告編の妙に癖のある語り方が耳に残るのがいやで、ぎりぎりに入ろうとするものだから、予告編見る楽しみがないし、下手すりゃ本編上映に遅れそうになるのだから、ほんとにもう迷惑なんてものじゃない。

ところで「侍の名のもとに」のパンフレットは作ってないらしくておいてなかった。代わりに選手のバッジを景品にくれて、私がもらったのはカープの菊池選手だった。何かのご縁だからつけてまわって見ようかしら(笑)。

一応映画の公式ページのリンクはしておきますが、予告編は例のいやな声のナレーションだし、大げさでどぎつくて、この映画のいい味をちっとも出していませんので、あまり参考にはされないで、ぼやっと見に行かれた方がいいですよ。しかし、これだけ映画の魅力を伝えていない予告編も何だかいまどき、久しぶりに見る気がするなあ。さすがに「マスター・アンド・コマンダー」ほどのすさまじさじゃないけどね。

あ、こちらにも少し感想を書いています。こちらあたりも、ぜひどうぞ。(2)から(6)まで書いていて、まだ続きそうなのです。

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カツジ猫