映画「雨あがる」感想集映画「雨あがる」感想-7
私の友人知人の中には何人か、それぞれ程度の差はあるけど、人に何かを相談や依頼や、時にはただの連絡をするときに、異様にへりくだる人がいる。
その中の一人について、別の知人が何かのときに、「あれはきっと育ち方に問題があり、性格にどこか病んでいる部分があるのだ。あの不必要な腰の低さはそうとしか考えられない」と、別に特別なことでもない感じでさらっと評したことがある。話はそれっきりだったが、私はその時、何となくちょっと驚いた。
驚いた要素はいろいろだったが、つまり、そういう変なへりくだり方は、見る人の目から見たらかなり特別で異常なのだなということだった(ちなみに、そう評した本人も、きっと自分で認めているだろうが、そんなに平凡で普通で健全な人物ではない。笑)。
そういう不必要な腰の低さは私には何となく理解できたし、特におかしいと思ったことはなかった。私自身がかなりそうだったからかもしれないけど。
そして、ひとつ確実に言えるのは、私はそういうへりくだり方をする人たちのことを、自信がないとか弱みがあるとか劣等感があるとかは、夢にも感じたことがない。その逆に、この人は今はどうあれ、これまでの生涯の中で少なくとも一時期は、周囲からぬきんでたエリートであり、ちやほやされまくり、「民衆には愛をもって接するのですよ」という教えをたたきこまれたことがある人なのだろうなと感じていた。
私なんぞは、どういう観点から見ても自分はエリートなんぞじゃないと自覚した時点で早々に、山犬になりハイエナになり、死肉でも何でもバリバリくらうことに決めたが、まあたとえば伊兵衛などは、そこのところが全然切り替えられないままなのだろう。