映画「放射能廃棄物」3-映画「放射能廃棄物」感想(新1)

◇って、すごいタイトルですが(笑)
ほんとはずっと前に(1)(2)の感想を書いたのですけど、自分でも忘れてしまったので(おいおい)、あらためてもう一度、ちゃんと書きます。

◇あまりにもそのまままっとうな、あいそも何もないタイトルですが、それが以外としゃれてたりして。ところで原題は何なんだろ。たしかフランスの映画だったんですが。
で、中身はめっちゃ面白いです。まだ見てない方は即レンタルショップで借りて来て!と言いたいぐらい面白いです。そりゃ腹も立つし暗澹たる気分にもなる内容ですけどね。これだけ、事実を明確につきつけられると、そりゃもうかえって爽快でさあね。

冒頭からすごい映像。どこでもあるような小型の船からどさどさとドラム缶が海に投げこまれています。ちょっと前に法律が出来て放射能廃棄物の海洋投棄が禁止されたのですが、それまでは各国こうして、じゃかすか海にドラム缶につめた廃棄物を捨ててたらしい。ドラム缶っすよ、いずれは腐る、ごく普通(に見えた)の。

◇そういう実態を調査して撮影してあばいてるのが、おなじみグリーンピースで、小船っちゅうより、ただのボートで果敢にせまって、ドラム缶の下敷きになったりしてる(笑)。
グリーンピースって、日本のテレビを見てたら、クジラ捕りに切れて体当たりしてくるアブナイ集団って感じでしょ? まあたしかに、そういう人たちなんでしょうけど、そのイメージも案外ひょっとしたら、かなりかたよって作られたものだなあ、と気づきました。
この映画で見てる限り、グリーンピースの功績はすごく大きいし、ちゃんとしたまっとうな、頼りになる団体です。少なくとも、そういう役割も果たしてる人たちなんだって、あらためて実感しました。

それはグリーンピースだけじゃない。この映画にはたくさんの科学者が登場しますが、もちろんきちんとした組織や研究所や、高い学識や立派な経歴を持っている人たちでありながら、もう果敢に法をおかすすれすれ、ていうか、法をおかしながら、調査し、サンプルを採取し、危険を告発してるんですよね。

◇彼らがそうやって調査し、警鐘を鳴らしている対象は、国や大企業がおっそろしい規模でやっている原子力産業で、その廃棄物がどれだけ環境を破壊し、人命と未来を危機にさらしているかを、これまた聞いてもらえず取り上げてもらえず、でもうまずたゆまず調べては訴えつづけているわけです。
怒りとか悲しみとか恨みとか、そういう感情的なことばも表情も何もなく、淡々と、むしろ楽しげにさえ語り報告するこれらの良心的で勇敢な科学者たちを見ていると、頭が下がるとかいうより、「あんたら平気なのー!? よくまあそう落ちついて」と言いたくなるぐらいで、でも、だからこっちも落ちつくんですけど。

この人たちが、こんなにイラツキもせず悲壮にもならず「この川の泥は人が入ってはいけないレベルですね」とか「「私の指摘は完全に無視されました」とか「会社はこの土手を埋め立ててサンプルがとれないようにしてしまいましたね」とか言いながら、夜なかに川に行って魚をつりあげたり、埋め立てられた下の石を掘りだしたりしているのを見ると、もちろんたくさんの無念や虚無をかみしめた上でのこともあるんだろうけど、ひょっとしたら、この人たちは、金にも権力にも名声にも左右されない、真実を調査して知るという大好きなことを心おきなくやれている、その喜びと楽しさでぴちぴち生き生きしてるのかもしれないなあと、ふと思ったりもしてしまう。

えーと、まだまだ続きます。

Twitter Facebook
カツジ猫