映画「放射能廃棄物」8-映画「放射能廃棄物」感想(新6)
◇でも、これもまだ甘かったんですよ。脱力感と言うことでなら、まだまだ、とどめがありました。
陽気なお兄さんのピラミッド云々発言のちょっと後の、最後に近く、ここは私も意地でメモまで取ったんですが、フランスの原子力技術庁長官で政府科学技術顧問とやらのベルナール・リボという人へのインタビューがありました。この人がまた、陽気なお兄さんや赤い椅子のお兄さんとどっか似た、スマートで、こぎれいで、妙にこう、つるううんとした、とっかかりのない、感じのいい、軽いなめらかな外見の紳士なのよね。
◇これ、前の感想にも書いたことで、キャラママさんと、よくぼやくんだけど、私たちが原発推進派や、外国に原発売りまくる首相とかに対して一番イライラするのは、ほんとにもう、「何を考えているのかわからない」からなんですね。
あ、原発の周辺の人たちが「仕事がなくなる、町が過疎化する、生活ができない」と言ってる気持ちは、それはよくわかるんです。でも、それは、原発に頼らないやり方が充分あるのに、ちゃんと知らせない政府や報道機関や、まあ私たちの責任でもあるわけで、それはいくらでも議論も意思疎通もできると私は思ってる。
そうじゃなくて、上に立つ人、エライ人、政府や企業や、実権を握ってる人たちの考えが、ほんとに私はわからない。不勉強なのか、怠けものなのか、少なくとも国家や国民のことを普通に考えたら、どこをどう考えても原発依存にはなりようがないでしょ。あんな事故があって、まだ終焉にもほど遠い今。
自殺願望でもあるのか、それとも2ちゃんねる風に言うと、政府も電力会社も報道関係者(ずいぶんがんばってる部分もあるけど)も、日本を滅ぼそうと思ってるどっかの某国のスパイかよとしか思えないほど、どうして、ここまで原発再稼働に必死になるのか、その心情が私にはどうにも推測できなくて、これじゃ戦いようもないと不安になってしまうのです。
そもそも、こういう重大なこと、専門家の意見や国民の声を聞かないで決めますかね? 私なら、何か決定しようと思ったら、絶対に一番反対意見を述べている専門家や識者の見解をとことん聞くし、一番激しい抗議行動している相手を呼んで、その理由を徹底的に聞く。直接聞くのがまずければ、せめて文書や著書を読む。
何か書いたり行動したりする時に、私はまず一番ちがう意見の人の書いたものや発言をチェックします。そこを見て、何か自分に見落としがないか確認してからでないと、恐くて何かを決めたりはできない。
◇ところが日本じゃ企業も政治家も、なかなかはっきりものを言わないし、言ってもその理由をきちんと述べないから、根底にどういう思考があるのかが、ものすごくわかりにくい。その点、このベルナール・リボさんは、実にもうわかりやすく正直に、はっきり語ってくれたのは、皮肉ではなく立派です。
廃棄物の処理について、問題はないのか、不安はないのか、という質問に彼はこう答えました。
「こんにち我々が見るような、中世の大聖堂を建てた昔の人は、それが時の試練に耐えると信じていたのです。廃棄物の処理もまた同じです」
いやそれ同じじゃないし。中世の大聖堂の中に何万年もつづく毒物とか入ってないし。とか思うんですが、更に彼は続けます。
「放射能廃棄物を処分するとき、忘れてはならないことばは何だと思いますか?」
ほんとに、何だと思いますか? 皆さん。絶対に想像つかないと思いますよ。種明かしは5分後に(笑)。