映画「放射能廃棄物」4-映画「放射能廃棄物」感想(新2)
◇で、その原子力産業ですよ。旧ソ連、アメリカ、フランス、などの各国が取り上げられるんですが、もう見てると言いたいことは山ほど次々出てくるんですが、その一つは、こういう原子力関係の産業や研究の秘密主義やらめちゃくちゃぶりは、資本主義も社会主義も右も左もまったく関係ないってことでした。
アメリカじゃ、廃棄物を投棄してるものすごく危険な川に、会社の従業員の家族が泳ぎに行って遊ぶのを、まったく禁止もしていなかった。「楽しい職場です~♪」みたいな映像で、その様子がちゃんと残ってるから恐いよなあ。旧ソ連から今のロシアじゃ、工場の下流の川がすべて汚染され、沿岸の村の人々はきちんとした対策もないままに放置されている。汚染された川のそばで牛を育てて牛乳を飲み、ガンになる人が多くても移住できるほどの補償がないから皆そこにいる。これも見ているだけでつらい。
むしろ、アメリカとソ連の対決が、たとえば「社会主義は正しい」と信じていた人たちにはソ連のそうした実態を認めたら、社会主義が攻撃され弱体化すると感じたであろうように(私自身もそうだったろうと思う)、冷戦の対立がこういう事実を隠ぺいするのにすごく悪く働いたという感じです。
しかしなあ、007をはじめ、両国のスパイたちは何をしていたんだかなあ。せっかくなら、敵国の原子力政策の危険さをあばいて宣伝したら、相手国を倒すのに、すごく効果的だったろうによ。そうやって暴露合戦してくれてたら、もうちょっと早く人類も原子力の危険さに気づいたろうによ。
と思うけど、どーせ、今の日本でもそうであるように、原子力でもうけてる人たちの金と力が動いたんでしょうね。「たとえ、敵が崩壊しても、原子力産業がだめになって、私のもうけがなくなるんじゃ困る。国が滅びた方がまし」とか、きっと誰かがどっかで言ったんだわー。あ、この部分は私の妄想です。あたってるとは思うけど(笑)。
◇もうひとつ、いやっというほどわかったことがひとつあります。
ソ連にしてもアメリカにしてもその他の国にしても、まさかうそやろ、ちょっともうそんなと言いたいぐらい、原子力関係の工場や作業やその他もろもろは徹底した秘密主義で、もうね、まるごと誰も立ち入れない広大な範囲の町があったりして、そこでずっと何かしてるみたいな、映画「ミスト」みたいなことがいつ起こっても、ありゃふしぎはなかったんだよなーって、しみじみ実感するわけですが、何でそういうことになるか、何でそんなことが許されるかっていうと、ずばり、それが「軍事施設」で「軍事関係」だからですよ。
平和憲法じゃ国は守れないだの、軍隊と防衛がなければ云々とか言われますが、そういう時にじっくり、よくよく理解しておかなくてはならないのは、戦争ってのは、敵に秘密を知られちゃ絶対にいけないわけで、だから、こと軍事施設だ軍事機密だとなった日にゃ、情報公開もへったくれもないわけですよ。どんなに周辺住民の命をおびやかす可能性のあることでも、「軍事機密」「非常事態」の錦の御旗があったら、もう「知る権利」なんて抹殺されます。
そう言えば自民党の憲法草案には、そういった非常事態には国民の権利など何もなくなりますぜということが、あまりにも明確に書いてあるんですが、それがぴんと来ないのは、そりゃやっぱり平和ボケなんでしょうね、私たちも。
ええっと、まだまだつづきます。