映画「放射能廃棄物」1-映画「放射能廃棄物」感想
◇前にも書いたけど、DVDで見た「ナチス 偽りの楽園」はほんとに下手な劇映画よりよっぽどよくできていて、面白かった。じっくり感想を書こうと思ってたら、昨日見た「放射能廃棄物」っていう、みもふたもない、そのものずばりのタイトルのDVDが、これまた面白いの何のって。ああ、感想を書く時間がないよー!
キャラママさんが、このブログでもよく、「原発再稼働をもくろむ政治家や企業の精神が、はかりしれない。どう考えたって、普通にそういう選択肢、あり得んだろ」と、ふしぎがってますが、「放射能廃棄物」のラストに近く、ちょっとそれがわかるかもしれないセリフがありました。
言ったのはたしかフランスかどっかの、原子力企業の人で、「20万年も毒が消えない放射能廃棄物を、地中に埋めるとかそういうことして、未来の人類に対しても大丈夫なんでしょうか」って、まあとーぜんの質問に対して、その人品いやしからぬ紳士が言うには、
「人間が何かするにあたって、いつも必要なのは、何だと思いますか。それは『信頼』です。放射能廃棄物を貯蔵するにあたって、政治家や専門家や技術者に対して『信頼』を持つことが大切なんです。『信頼』がなかったら、人間は何もできませんし、前に進めません」
だって。あ、DVD返しちゃったから、細かいとこ確認できないんですが、まあこういったこと。
◇もう、一瞬ぽかーんとして、そのあと、あー、これが本音なんだろなあと思った。よせよもうとか、ふざけんじゃないよとか、つっこみたいこと山ほどあるけど、まあ、この人はそれなりに、これを口にしてくれるだけ、水準高いつうか、ましつうか。結局、こういう感覚なんだよねー。原発再開しようとか、憲法変えようとか、思ったり言ったりしてる人たちの心の底にある感覚は。そりゃーもう、あーた、私なんかと、話がかみあわんはずですわ。
私なんか、原発反対、憲法守れとは思ってるけど、同時に、そうじゃないと思ってる人の意見が聞きたいんだよね。疑問をぶつけて、説明もしてもらいたいんだよね。そしてさ、特に私が政治家や専門家や上に立つ人で、何かを決めようとか、やろうとか思ったら、「これでどうでしょうか」と皆にとことん説明して、納得して、理解して、事情を知って、妥協点を探して、ぎりぎり歩みよって、最後の最後の最後でしょ、「私を信頼して、やらせてっ!」と頼むのは。できたら、それも言いたくないけど。
この映画の訴えてる、見せつける大きな事実は、放射能や原子力関係のことは、どこでもいつでも、徹底的に秘密主義になっちゃうってことなんだけど、その結果か原因か、どっちか知らんけど、もう、この原子力関係のトップにいる人たちの頭の中に巣くってる、共通した腫瘍もどきの思考って、これなのね。「言えません、説明できません、信頼して下さい、まかせて下さい、とにかく先へ進ませて下さい」って。
◇すごいよねー、もう、唖然とするよね。どっからいったい出てくるの、その自信。映画観終わってからもしばらくずっと、私はひとりごとみたいに、そう言いつづけてました。
ごっちゃにして言うのも何だけど、安倍首相も日銀総裁も、東電も誰もかれも、最近の上に立つ人って皆、国民の数百人、ひょっとしたら数万人、どう少なく見つもっても数十人の命はまちがいなく奪いそうな政策その他を、平気でさっさと一人で決めてる。せいぜい仲間うちだけで。野田さんの消費税あたりからそうだったし、多分野田さんが刺激されてまねしただろう、大阪知事さんもそうだったけど、人の命や伝統文化や、環境や自然やその他、ものすごい範囲の大変な責任を、あっさり自分で背負って、それが立派なことのような顔をしてる。
ほんとに、いったい、どこから出てくるの、その自信。対立する政党とも、反対する国民とも、まともに話をしようともしないで、会議も総会もすべて、もめないで、短時間で終わるのが成功だと思ってる、要するに自分がしようとしてることに、まったく疑いを抱かない、抱かせられることを許さない、その自信って、私には、とことんの自信のなさにしか見えないし、とことんの責任のなさにしか、見えないんですけど。