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「水の王子」完結して販売中

昨日書いた不思議な話をする前に、ずっと先延ばしにしていた、このお知らせを。

ここ数年かけて書いていた、小説「水の王子」が完成して、電子書籍と紙本で、現在出版中です。何度かお知らせしたように、もともとは三十代の終わり、今からほぼ五十年前に書き始めて、第四部まで書いて、ずっと中断していたのが、五十年ぶりにいきなり第五部が書き上がって、以後はあっという間に最終の十五巻まで書き上がり、全七冊(再開後は五冊)が完結しました。

五巻以降は挿絵のイラストも、勢いで私が描きました。最初はおっかなびっくりでしたが、だんだんいい気になって来て、最後はすっかり悪ノリして描きまくっています(笑)。

いまだに完成したのが信じられません。専門の江戸文学研究でも、教育の方面でも、それなりにささやかな達成感は持っていますが、誰にも知られないまま、一人でこっそり書き続けてきた、この長編がそれなりに思い残すことのないかたちで完結したのは、幸運としか言いようがないと、つくづく思っています。

「古事記」をはじめとした日本神話を題材にしていますけれど、これは一方で私や友人たちの自伝なのでもあります。第一部「森から」は私たちの幼年時代、第二部「草原を」は高校時代、第三部「都には」は大学時代の学生運動の体験、第四部「海の」は女性としての体験を、それぞれ寓話として語っています。第五部からは、私の現在の生活のさまざまな面を描いていると言ってもいいでしょう。

この長編の主人公は、タカマガハラの神、イザナギとイザナミが初めて地上に降り立ってたくさんの神を生む、最初の子ヒルコと、最後の子ハヤオです。ヒルコは失敗作で海に流され、ハヤオは母を死なせて父に殺されます。その二人がよみがえって、日本神話でおなじみの、あるいは名前しか残っていない、さまざまな神々といろんな活躍をする話です。

第五部以降の本を作るにあたっては「デュミナスライフ」の橋本氏に大きな協力を得ました。彼の豊かな知識とすぐれたセンスがなかったら、このように素晴らしいかたちでの完成は決して得られなかったでしょう。

Amazonで電子書籍は一冊500円で販売しています。校正以前の整わないかたちでよければ、この「いたさかランド」の「鳩時計文庫」コーナーと、「ミーハー精神」の連載ですべて読めます。
 紙本は、各冊2000~3000円代で、かなり高いのが申し訳ないのですが、でも、かけねなしに、とてもきれいな出来上がりです。全冊そろえて並べたら、実に魅力的だろうと思います。もちろん、どれか一冊買っても、前後とは関係なく、楽しめると思います。

最新刊の三冊の表紙と裏表紙を紹介しておきます。どうぞ、手にとって楽しんで下さることを心から祈っています。

世界も日本も私自身も、先が見えない霧や薄闇の中にいます。でも、それは思えばこれまでも、これからも、いつだってそうです。その中で、この十五巻七冊の作品が、どれだけ生き残るのか、読んでいただけるのかはわかりません。それでも今私は、満足して、幸福です。

登場人物(動物などもふくめて)百二十人余り。どうか皆さんが、彼ら彼女らと知り合って、家族や愛や国家や世界や、その他あらゆる問題について、楽しく味わっていただきたいと思っています。

Amazonやブログにあげた、紹介文もあげておきます。

第六冊

1) 正義の国タカマガハラと悪の国ヨモツクニの対立。その間にあって翻弄される地上の小さな町や村。その戦いも一段落した日々の物語。アマテラスやオオクニヌシなど、日本神話でおなじみの神々とともに、名前だけが残ってこれまでは語られることのなかったヒルコやハヤオ、ツクヨミなども活躍する、深刻なようで、どこかのどかな明るい世界を思いきり楽しんで下さい。

2) このシリーズの主役二人は日本神話で最初に地上に降りたイザナギとイザナミの最初の子ヒルコと最後の子ハヤオ。二人は外見も性格も正反対の少年で、アマテラスやオオクニヌシなど有名な神さまたちとともに、さまざまな冒険をします。夜の神ツクヨミも大活躍。奇想天外で波乱万丈な彼らの世界は、どこか現代や、あなたの心のなかにも似て、ちょっと無気味で得体がしれないようで、実はとても陽気でやさしく、あたたかです。

第七冊

1) ほぼ五十年をかけて書かれた、登場人物百数十人のシリーズ全七冊がいよいよ完成。この冊だけでも楽しめます。アマテラス、オオクニヌシ、スサノオといった、日本神話でおなじみの神さまたちとともに、名前だけしか残っていない、ヒルコやハヤオ、ツクヨミなどの神々も大活躍。今の時代にも人の心の中にも通じる、暗いようで明るく、繊細なようで力強い、ふしぎな世界を存分に味わって下さい。

2) ほぼ五十年をかけて書き継がれ、登場人物百二十人を超える大長編が完成しました。日本神話の世界を舞台に描かれる奇想天外なこの小説では、オオクニヌシ、アマテラス、スサノオなどの有名な神さまたちとともに、これまで名前だけしか伝わっていない、ヒルコやハヤオ、ツクヨミといった神々もまた活躍します。今の世界にも、人の心の中にも似ている、ちょっと気味悪いようで、とことん楽しく、明るいお話。空を飛ぶ船、しゃべる鳥、姿を変えて入れ替わる男女、その他ふしぎなものたちの数々を、たっぷりごらんになって下さい。

これで満足して脱力して、生きる屍にならないように(笑)、ひきつづき、映画「グラディエーター」の感想もどきの小説集「砂と手」シリーズ全八冊にとりかかります。あんまり無理をしないように、ぼちぼち進めたいと思っていますが、年内には一冊以上出したいとひそかに考えているところです。

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カツジ猫