もう一つの初仕事
年明けまもなく、地域の方との研究会で「ささやかな初仕事」をすませたと書いた。それはその通りなのだが、実はもうひとつ、とんでもない初仕事を敢行中だった。
去年「水の王子」という自費出版の小説を第五巻まで刊行して、これで完成と思っていたら、なぜかその後次々と続編が生まれだして、とまらない。書いても書いても終わらないのに、ありがたいと思いつつ、自分で恐くなった。本当にひとりでに、続きが書けてしまうのだ。
これはもう、死ぬまで書きつづけるしかないのかと、半分あきらめて流れにまかせていたところが、まったくひとりでに、作品が終末に向かって、とても自然なよいかたちで全作品が完璧にまとまって来た。
自分でもどうしようもない勢いで、年頭の計画も予定も放り出してとにかくこれをしめくくることにした。散らかりつくした家の中で、奇跡的な速さで九日に原稿が完成。しかし安心するのはまだ早い。パソコンに打ち込みながら最後の仕上げをしなければならない。絶対無理だと思いながらとにかく進めて、これまた信じられない速さで、今日、全巻が完成した。
まあどういうかそんなわけで、私の年はまだ明けていない。というか、今やっと明けた。
迷いも、思い残しもない。本当に自然にひとりでに、私はこの作品と別れを告げられた。これからどういう新しい仕事と人生に向かうかは、あまりに選択肢が多すぎてまだ未定だが、悪い予感はしていない。
さしあたりは、経済状態と相談しつつ、なるべく早く、「水の王子」全巻を電子書籍と紙本にしてしまいたい。なお、その予定は概ね以下のとおりだ。
第一部 森から
第二部 草原を
第三部 都には
第四部 海の
第五部 村に
第六部 山が
第七部 空へ
(一冊にして近く五部と同様に刊行予定。)
第八部 畑より
第九部 町で
第十部 丘なのに
(この三部はおそらく一冊にして刊行予定。)
第十一部 渚なら
第十二部 岬まで
つまり全七冊十二巻で刊行の予定。
よろしくお願いいたします。なお、第六部以下はすべてこのホームページに連載しています。
どうぞ気長にお待ち下さい。
実は書いていて、けっこう困ったのは、「貨幣」「文字」「ガラス窓」を登場させられないことでした。たいがい時代考証なんか無視してるとは言え、そこはさすがにためらっていました。
ひょんなことから、それが全部ほぼ使えるようになって来たとたんに終わってしまうというのも、ちょっと残念ではあるかもなあ。
連載中に、読んでいていただいているとわかった時の喜びが、いつも心を支えてくれました。どれだけ感謝しているか、とても言い表せません。本当にありがとうございました。あらためて幾重にもお礼を申し上げます。
2024年1月15日