人間らしい暮らし1-初詣

玉ねぎを買いすぎて、年末から苦労している。
この頃、台所グッズにはまっていて、「ラグラス・フィールド」というお店で買った「imane」というメーカーの素敵な黄色いマーガレットの花の模様が入ったクリーム色のホウロウのボウルを買って、それを冷蔵庫の上に載せて野菜とか入れて喜んでいたら、玉ねぎがその中にあったのに気がつかず、また一袋買ってしまった。
まあ、あっという間にいたんでしまう人参よりましか。人参を全部捨てずに新鮮なまま食べようと思ったら、相当の気合がいる。
ともかくそれで、毎朝、味噌汁に刻んで入れ、さらしてサラダに放り込み、ミンチと炒めてオムレツに、と玉ねぎづくしの毎日。でも、思えば、愛猫のキャラメルがいた頃は、猫には食べさせられないので、自然と私も玉ねぎを食べなくなっていたのだな、と回想にふける。

正月三日に車で出かけたら、近くの「ゆめタウン」などはもうすっかり開店していた。他に近場では行くところがないからか、客もなかなか多く、店内は活気に満ちている。花屋でオレンジ色のばらを三本買う。「五日になると、新しい花が入るんですけど、今日はまだ問屋が開いてなくて」と店の人は恐縮したが、今も台所できれいに咲いている。
初詣には、今年は珍しく早く、二日に行った。宗像大社と椿寺。後者はいつも、正月に気味悪いほど、境内の梅の大木が満開になるのだが、今年はまったく咲いていない。風も冷たく、非常に寒い日だった。線香と蝋燭を一本ずつあげてきた。
どちらも、おみくじは高いのもあるが、昔からの20円の自動販売機のが人気のようだ。私もこれしかひかない。神社は大吉、お寺は小吉。どちらも「勉学」のところには、「今だ、がんばれ」のようなことが書いてあって、妙に笑ってしまった。

おみくじに言われなくても、勉強しなくてはならない。今年の私のモットーは「あるものを大事に使え」である。今、引き受けている仕事や授業にとりくむことから始めようと思って、もう数年ほどかかっている「太宰府市史」の原稿を、どう転んでも今月中にはあげようと誓う。
しかし、この間からどうにも気になっていた「太平記」を読みたくて、正月は年賀状書きとこれに費やしてしまった。「太平記」は、日本古典文学大系では、総カタカナでどうにも読みにくい。小学館の全集を買おうかと考えていて、ふと、有朋堂文庫はどうだったかと見てみたら、これは平仮名で、本もコンパクトなのでベッドで寝て読める。それを今、読んでいるのだが、予想がかなりあたっていて、これでひとつ論文がでっちあげられるかもと甘いことを考えていたら、どっこい中盤からはそうでもなくなった。しかし、面白い。
私が今、この本に興味をひかれている点は三点あるのだが、その資料となる記事が出て来たところに付箋をはさんで行っていて、不安になるのが、しかし、また何かの仕事でこれが中断した日には、あとになって読んでも、何で付箋をはさんだのか、きっとわからなくなるぞということだ。一応、三色、色違いの付箋をはさんで行ってるが、それにしても、自分の記憶がどの程度残っているやら自信がない。論文も料理と同じで、間をあけると失敗する。でっちあげでも、なんとかまとめないといけないとあせる。しかし「太宰府市史」はどうなるのだろう。

四日には車で福岡に出た。道も駐車場も以外と混んでいなかった。高速道路の電光掲示板には「謹賀新年」の文字がちかちか光っていた。
今日はうってかわって、暖かないい天気。大学の前の道路には、宗像大社に初詣するのか、車の列が並んだり、途切れたりしている。

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カツジ猫