まぶしい菜の花
明日までは何とか暖かいようで、大学入試のためにはよかった。もうかれこれ六十年以上も前、自分が受験生だったころ、テレビや新聞が「受験生はがんばって」とエールを送るのを、誰かは望みがかなわない、勝ち負け勝負に、全体的に応援するのが、何だかとっても他人事で無責任に苦々しく思えて、大嫌いだった。そのころ友人たちと作った「鳩時計文庫」の「細菌群」という小説は、このホームページにも収録しているが、そこで書きまくった気分のいろいろは、何十年もたった今でも、ちっとも変わっていない。
大学教員になってからは、今度はメディアが大学の受験への対応を粗探しして喜ぶのが年中行事化しているのが、これまた不快でいまいましく、「大学入試物語」という、大長編の文章を書いていたりした。いずれのころとも今は事情がいろいろちがっているだろうが、どっちにしても、いい思い出がない。
そして、今年は、女子高生の服装が制服でなくてもかまわない、面接その他で不利になることはないというお達しが、あちこちで出たらしくて、何事かと思ったら、この時期、受験生をねらった痴漢がふえるのだそうで、その対策らしい。むしゃくしゃついでに書いてしまうと、もちろん、このお達しはよいことだが、それ以上に、女子高生の制服姿のおとり捜査官を大量に交通機関に投入して、片っぱしから逮捕して重罪にしてしまえ。私がもっとずっと若ければ、セーラー服着て電車に乗って、痴漢行為をする人がいたら、トマトケチャップでもぶっかけてやるのに。
とにかく明日はまだ暖かいようだからと、夕方買って来た安物の花の苗を植えた。来週の寒さをどう乗り切るかは、今から何か考えないと。
最近、午前中に仕事をしてはバテて、午後や夜はテレビを見ながら居眠りするという、その昔、祖父がしていたようなことをしている(笑)。それにしても、祖母はいつどこで眠ってたんだろうな。
そうやって、大相撲やらプロ野球選手たちの出る番組を見ていると、楽天の辰巳選手やソフトバンクの東浜投手は結局残留したのか、まあよかったのじゃないかいとか、東浜投手と巨人に移籍した板東投手(猫好きとのことなのでつい追っかけてしまう)は結婚したのか、それもまあよかったよねとか、何かよくわからんが巨人は今、監督周辺で何だかもめてるらしくて、板東投手は大丈夫だろうかとか、いろいろ気になる。気になると言えば、先日のバラエティーで、プロ野球選手たちが「妻に注意されること」について語っていて、録画出演したソフトバンクの周東選手が「早く食べ過ぎる、早くしゃべりすぎる、話の論点がずれる」の三つで怒られると言っていて、「ごめんと謝るけど、早く食べるのはしかたがないと思うんですよね」と弁解?していた。
彼は俊足で知られるのでネットでは、「速いのは足だけじゃないんだ」との感想が笑いをまじえて飛び交っていたが、私はむしろ三番目の「話の論点がずれる」が気になった。周東選手は本人も、人からの評価も「え?」と予想がつかない、めったにないことばが出てくることがあって、思わず耳をそばだてることが多い。柳田選手の磊落な奔放さとはまたちがう意外性があるから、目が離せない。
ファンの子どもが彼をほめるのに「美しい」ということばを使ったときも「普通言うか?」と思ったが、今回の奥さんの「話の論点がずれる」という批判も、あんまり聞かないような気がする。別のインタビューで、幼い息子から「それ違うでしょ、パパ」と指摘されて、ごめんと謝りつつ「おまえまだ三年しか生きてないだろ」と内心では思ったりする、と言っていたのにも相当笑ったけど。ホークスの映画を見たファンの方が、「彼はとても頭がいいのがわかる」みたいな感想を書かれていて、これはまあ頭がいいと言う言い方でいいのかどうかわからないが、本人もご家族もことばの使い方と言うか、会話の精度が妙に高いのじゃないかと、つい笑ってしまう。
ついでに、その同じバラエティーだったと思うが、日ハムの達投手が、恋人に求める条件に「強いメンタル」と言っていたのも、すごく気になった。知り合いに話すと大受けして、二人で「普通言いますか、そんなこと」「誰かきっと具体的な人がいるのじゃないですか」「気に入りました」と笑い合った。彼はときどき生意気とか言われたりするらしいが、ちらと検索したところでは、別にそんなところはなさそうだし、あてにならない情報だが彼女も今はいないらしい(笑)。
写真は買って来た菜の花。のっぽすぎて、うなだれて来たので、短く切って飾りました。いつの間にか立派に花が咲いていて、明るい黄色が、わくわくします。昔、田舎の家の畑で叔父の板坂元がこの花をちぎって萼(がく)のあたりをかんだら蜜が甘いよ、と教えてくれて、味わっていたのを思い出します。叔父はあのころ、まだ二十代ぐらいの若者だったのじゃないかしら。今日は午後いっぱい、この花の前で、数年ぶりに会うお客さんと、ありとあらゆるおしゃべりをして、おかげでだいぶ脳内をリフレッシュできました(笑)。
