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負け惜しみ

あずかりやさん」って文庫本を読んでます。文章もていねいで味があるし、物を擬人化するセンスはとてもよくわかるし、私の「断捨離」シリーズの気分と共通するところも多く、こういう本が広まって人気が出て売れるというのは、うれしいいです。

ただ最初、題名と帯の説明を見た段階で、他人のものをあずかる商売ということに本能的にびびってしまった、そのトラウマがまだぬけません。
質屋さんや貸倉庫とはまたちがって、人間や動物も預かるし、関わらないさわやかさを堅持するようで、どこか微妙に大胆に関わるというのも、いろいろどきどきして心臓に悪い。

これがファンタジーというのはよくわかるんですよ。それを読者に納得させる手続きも、きちんと慎重に配慮されている。だからとっても楽しめるんですけどねー。

多分、私がこの主人公の青年と似た生活を求め、めざして努力しているから、それがどれだけ不可能で非現実的か、妙にわかってしまうから苦しいのかもしれない。
無駄なものを排除した清潔で静謐な毎日と、そこでていねいに扱われ、再生し生きながらえる生き物や品物の数々。

それを実際にやろうとすると、これがもうどんなに大変か。まずこんなことはあり得ない。こんなていねいな、心をこめた静かな生き方をしようと思った日には、時間がどれだけあっても足りない。いや、そんなことに文句言ってもしょうがないんだけどさあ。

この主人公の朝からやる、お掃除や家事を本当にこんな感じでやってたら、あっという間に夕方になるのよ実際。品物を修理したり本を読んだり客の相手する時間なんて、絶対に残らない。時間の流れ方が圧倒的におかしい。いやー、何をむきになっているんだ私は(笑)。

そういうことに目をつぶれば、とても面白い、おすすめの本です。

さて、海外ドラマ「ハワイファイブオー」、あいかわらずぼちぼち見流しているんですが、シーズン8の回のほとんどがまるで記憶にない。多分、コノとチンがメンバーからはずれたのがつまらなくて、レンタルしなかったのかもしれない。今見ると、新メンバーもそう悪くないし、レギュラーがそれぞれ皆、魅力的。吹き替えもふくめて、皆、演技がうまい。

ただ、このメンバーが、閉じ込められた場所から、どうかこうかして脱出する状況が多くて、そのほとんどがほぼ絶体絶命からの脱出なので、先日バスに閉じ込められて三歳児が熱中症でなくなった、あまりにも痛ましい事件が、めちゃくちゃもどかしくて、三歳児でもガラスとかどうかこうかして割れなかったのかと、理不尽にもほどがあるようなことを、つい考えてしまう。

そう言えば、「水の王子」第五部のラストを書こうとしていたときも、北海道の船の事故があって、幼い子どもが海の中を流されて亡くなったかもしれないと思うと、どうにもこうにも書けなくて困ったんだよなあ、少し似たような場面があって。

家の片づけにはげんでて、古紙の処理がじわじわとしか進まないことを白状しましたが、それはつまり処分していい紙の中に、いつぞやの名古屋金鯱軍のサインみたいに、ちょっとよさげなものもずいぶんあるからです。

その金鯱軍のサインを名古屋の知人にさしあげるとき、ごみみたいに扱われていただけに、立派な衣装を着せて送り出したいとついとち狂って、近くのお店で色紙額を買ったら、サイズが合わなかったので断念し、もっと簡単な額に入れて送りました。

そんで額があまっていて、どう使おうかと思っていたら、叔母のお墓があるお寺から、叔母がいただいていたらしい、えらいお坊さんの色紙が出て来ました。叔母がいつぞやの蓮の花の写真同様、大切にしまっていたらしい。

あらためてじっくり見たら、なかなかかわいらしい絵だし、額に入れてみたらぴったりでした。ね、いいでしょう!?

これは私が昔カルチャーセンターでお知り合いだったご婦人からいただいた、きれいな書で、いつか額に入れようと大事にしていました。でもよく見たら、きちんと懸けられるように簡単ですが表装してあって、ちょうど飾りたい場所もあったので、とてもいい一角になりました。

へやはまだまだ大ちらかりなのですが、こういうのを見て、うっとり悦に入ったりするものだから、どうしても時間が足りなくなるのです。

と、ちょっと負け惜しみ。さあまた仕事に戻ろうか。

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カツジ猫