映画「ヒックとドラゴン」感想集ひゃー、だからそれはねー。（「ヒックとドラゴン」感想もどき）

ゆきうさぎさん。
それ書いたら私はもうきっと、全人類を敵にまわすわー（笑）。

ちらほら似たこと書いてる人はいますよね。「トゥースは自分を傷つけたのはヒックだってこと知らないんじゃないか」とか「ヒックがそのことに全然罪悪感感じてないようなのはどうなのか」とか、それに対して「トゥースは気づいてるけど黙ってると思う」という解釈もあったりしてさー。

でも私は、ヒックがそこでこだわってる顔したりすまなさそうにしたりしないのは、むしろ好きで、てきぱきトゥースの修復？にかかるのも、あれはあれで、とってもいい。しっぽがくねくねうねるのを追っかけるのなんか、見てて楽しくてしかたないし。
この映画、そういうとこもとてもよく、うまく描けてて、だから下手な描写や演技？したら、もう目もあてられない話になりそうなとこが全部きれいにするっと見逃されてしまう。

でも私も、たしかにそこはキライです。最初に見たときは、ちょっとあまりよくわかってなくて、途中で「あ、そうなってるのか」と気づいたのね。最初からはっきりわかっていたら、巨大ドラゴンの設定以上に気にして、こだわって、話にのりそびれたかもしれない。わかったあとでも何となく、そこには目を向けないようにしてました。だってこれ、この映画のかなり重要なポイントだもんなー。大抵の人はラストもふくめて、この過程に共感感動しているし、ここ否定したらもうこの映画のどこをおまえは評価するんだってなるもんなー。

でも、私はこの映画好きなんですよー。そこは断じて私の感想、アントニーの追悼演説じゃないったら（何だかわからない人は、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」読むか、ネットで検索してみてね）。あの世界も、あの雰囲気も、主人公の性格も、皆、大好きです。
それでいて、たくさんの人を感動させる、あの設定と過程はキライ。もう、どっちかというと大キライ。
ひょっとして私と同じに、あの設定はどーでもいいけど、あの映画は好きって人もかなりいるんじゃないのかなー。というのは虫のいい予測かな？

ネタばれをさけるためだけじゃなく、面とむかってちゃんと書くのもイヤだから、たとえ話ですませるぞ。
よく恋愛小説やドラマで（わー、「愛と誠」もそうだった、考えて見れば）、事故やなんかで誰かが誰かを傷つけて、病院に通ったりなぐさめたりいろいろしてる内に愛し合って結ばれるっていうの、けっこうあるでしょう？　現実にもあるかもしれない。
実際にいい人たちどうしの不幸だけど幸福な、そういう結びつきももちろんあるとは思うけど、ひとつまちがえば、それって、ものすごく気持ちの悪い関係になる。

おまえにそういう体験があるのかと言われそうだけど、たとえば私の恋人や、ちょっといい関係の男性が、クルマの事故で若くてきれいで貧しくて（金持ちでもいいや）薄幸な女性をはねてしまったりした場合、その女性がいい人でも苦しいけど、微妙に内面肉食系の外面そう見えない女性だったりしたら、もう最悪ですよ、絶対に私に勝ち目ないもん。
私がその場合の男性の立場で、ましてやその被害者の女性に一生治らない障害や傷を与えてしまったら、そして相手が肉食系で、その罪悪感や責任感にすがってしがみついてきたら、と思っただけで、なんかもう目の前がまっ暗になりそう。

そしてまた、逆にこっちが被害者だったとして、決定的な障害を負わされたとして、責任感や罪悪感を相手がつぐなうのに、金や補償でクールにすまされるのもイヤだけど、かと言うてだね、一生かけてこの罪はつぐないます、おそばにいます、あなたの目や手や足の代わりになりますとか言われても、とってもイヤだと思うのね。そういうこっちゃないでしょうと思うのよ。
私をもとには戻してほしい、それに限りなく近い状態にしてはほしい。でも、そういうことしてくれようとするあんたに感謝するのと、あんたといっしょにいたいかどうかは、また別の問題であって、とりわけ、あんたがいないと生きられない私にしてもらっちゃ困るんだけど、絶対に。そう思うのって、まちがってますか？