2022年度前期集中講義用掲示板(1)
遅くなってすみません。
長くなりすぎたので、掲示板(2)を作りました。
これからは、そちらを参照して下さい。
以後はそちらに書き込みます。こちらの記事は増えません。
なお、わからないことがあったら、何でもすぐにメールで聞いて下さい。
一応最新の更新には★をつけています。
★「村をはなれたいか?」についての意見メモ
「ふるさとは失いたくない、知らない世界も見たい。一定期間の滞在とかが望ましい」
「安定したら動きたくないが出て行けばそこでも安定できる。桜庭一樹の小説『荒野』でも外をめざす者と故郷にとどまり待つ者が対照的に描かれる」
「出たくない。新しい場所に行きたくない。安定した現状を求める」
「好奇心がある。大学進学のときも遠くを選んだ。いつでも帰れる場所があればこそ。親に望まれたら残ったかもしれない。よそを知らないのは恐い」
「地元が田舎のせいもあって、外の世界が見たい。区切りをつけて新しい世界を見たい。帰る場所があることも大事」
「とどまる方だ。今の生活に何も不便がない。リスクを考えると出るのをためらう。『サライ』の歌詞のように、夢をかなえたいという気持ちもある」
「田舎だし、県外で見聞を広めたかった。結局は故郷に戻る。地元はすぐに帰れる所」
「はなれたくない。生まれた場所に今もいて、それ以外の土地を知らない。よそで今より楽しいこともあるかもしれないが、今の生活に満足。それを下に見たくない」
「故郷から出たい。進学で都会に来た。出られる時に出ておきたい。一回出ると、自分の故郷を外から見られる」
「住みなれた土地がいい。出てもいいが、帰るところはあればいい」
「出たくない。通学できるのが条件で大学を選んだ。よそでしかやれないことがあれば、またちがうだろう」
「同じところにはいたくない。バイトなどでもできるだけ多くのことをしてみたい。1~2年で変わりたい。同じ場所に慣れるのが恐い。飽きてしまうのがいや」
「安定を願う。新しいものを開拓するのはめんどう。レストランでも気に入ったらずっと同じものを注文しつづける」
「故郷にとどまりつづけたい。旅したいとは思わない」
「出たいと思うが、どっちでもいい。時間が飛ぶような体験をしてみたくて、出るのを望んでもいる」
★コンラッドの短編小説は「青春」でした。岩波文庫ですが、みごとに絶版。
★最終プレゼンは6月5日の最終日を予定していますが、都合がつかない人は6月4日でもいいです。希望の日や、レポートの課題など、決まっていたら教えて下さい。
「情け深い番人に親切にされたら」についての意見メモ
「その相手には好感を抱くが、ゆずれないものはゆずれない。お返しはしない」
「裏があるかと身構える。不信感を抱く」
「裏があるかもしれない。返してなるかと思う」
「相手に迷惑はかけたくないが、署名とかはしない。態度はよくしても」
「主人公が番人につけこんで利用するというケースもあるだろう」
「疑うかもしれないが、親切にされるとうれしいし、情にもろいから、転ぶかもしれない。行動が変わる恐さもある」
「相手の人間や雰囲気にもよる。年寄りかどうかとか。若い人だと疑う」
「親切にされたらうれしい。いい囚人でいようと思う。利用されていると思うと…」
「優しくしてくれる番人はありがたいが、通常の状況ではないから、疑う」
「ありがたいと思うし、何でもしてあげたい。何かを要望するエネルギーはない。利用されても従うしかない」
「優しくされたら誠意をこめてふるまう。あわよくば上に伝わっていいことがあるかもしれない」
「親切にされたらうれしいし、自分もちゃんとしたいが、半信半疑でもある」
「やさしくしてもらっても状況を考えると心は許さない。好感度は上げておく」
「優しさをつっぱねる。相手も不幸にすると思うから。相手との線引きをきちんとしておく」
「そういう番人もいるんだなあと思う。相手がもし本当に優しい人なら見返りは求めないだろう」
(毎回ものすごく適当にまとめているのでごめんなさい。目に余ったらメールして下さいね。)
「人間の条件」原作の一場面について。映画にはこの場面はありません。ただ戦後すぐにこの小説を読んだ人たちは、こういうことは常識として知っていたのだと思います。
「人間の条件」映画の予告編。古めかしいけど迫力あります。
あまりにも簡単な「太平記」のあらすじ。便利かもしれないので参考までに。
歌舞伎「高時」についての説明。
★授業予定(あくまで予定。変更あり)
第一日(五月十四日)
1 テキスト販売 連絡方法確認 掲示板確認 ペンネーム選択
「夕焼け」の詩朗読 吉野弘について
2 「花咲かじいさん」について(プレゼン1)
授業の目的確認
「さかなよ、さかな」朗読
第二日(十五日)
3 「花咲かじいさん」感想(プレゼン2)
「ロシアの家庭菜園」朗読
4 「ロシアの家庭菜園」続き
軍記物の系譜概略(板書にて説明)
第三日(二十一日)
5 軍記物の系譜(プリント使用)
平家物語について(プレゼン3)
6 「平家物語」あらすじ
第四日(二十二日)
7 「平家物語」あらすじ補足
「情けあるおのこ」朗読
8 敵の中の協力者(プレゼン4)
第五日(二十八日)
9 親切な番人について(補足)
「情けあるおのこ」朗読
村を出る心境について(プレゼン5)
10 太平記について
★変更更新しました。(28日)
第六日(二十九日)
11 「軍記物から江戸時代へ」朗読
「むぞうさに、したたかに」朗読
12 川っぷちの小屋(プレゼン6)
「花祭り行進曲」朗読
第七日(六月四日)
13 ヒーローたちの悩み(プレゼン7)
14 最終レポートプレゼン(第一回)
第八日(五日)
15 最終レポートプレゼン(第二回)
※ペンネーム選択
選択されたものは消しました。新たに受講する人は下記から選んで下さい。
ヘルシンキ、ハーグ、ニューヨーク、モスクワ、リスボン、マドリード、ムンバイ、オスロ、キーウ、アルジェ、ハバナ、シンガポール、ストックホルム、サンチャゴ、ハノイ、
以下の人のメールは到着を確認しました。以後はこのメールで連絡して下さい。
テヘラン、シカゴ、カイロ、ボストン、アテネ、アムステルダム、エルサレム、プラハ、ベルリン、ウィーン、パリ、ナポリ、コペンハーゲン、ロンドン、ローマ、ダマスカス、
「平家物語」の「一ノ谷の合戦」のイメージは、「華やかなものが一気に散る」で、それは芭蕉の紀行「笈の小文」の中で、一の谷あたりで芭蕉が描く幻の風景のような感じ、と説明しましたが、その文章が、これです。少し下の方です。
ワイルドの「獄中記」。文庫本です。比較的新しそう(刊行が)。
これは去年の掲示板ですが、「平家物語」関連の資料がほぼそろっています。「青葉の笛」(忠度の和歌の表記がまちがってるから注意! 「ならまじ」じゃなくて「ならまし」です)や「鹿も四足」の歌もちゃんと聞けます。特に「平家物語資料館」の映像は必見(笑)。ついでに私のエッセイも。
忠度の和歌についての江戸時代の川柳「山桜詠み人知らぬ人はなし」について。
「江戸文学史やわ」の教科書にも入ってますが、範頼についての私のエッセイ。
授業で話した「平家物語のあらすじ」を書いています。続きも読んで下さいね。授業でははしょったところとか、逆に授業でしか言わなかったことととか、細かいちがいはありますが、おおむね同じ内容なので、確認するときの参考に。
「渡辺競(わたなべ・きおう)」についての記事。面白いですよ。最後までぜひ読んで下さい。こちらも。(私は授業で競のことを「滝口」と言ったけど、これは「宮中を警護する『滝口の武士』の一人」で競滝口と呼ばれたりすることもあるのとごっちゃにしたので、正しくは「渡辺党」の一人。この一党の男性の名は「省(はぶく)」とか「授(さずく)」とか「唱(となう)」とか、漢字一文字なのが特徴。今の男性の一文字の名の発祥との説もある。
去年の同じ講義の最終レポートのいくつかを紹介しておきます。(1)(2)(3)です。同じテーマで書く場合は参考にして下さい。ひきつづきぼちぼち紹介して行きます。
「花咲かじいさん」の私の最新意見です。授業でも話しますが、よかったら読んでおいて下さい。
「平家物語」の系図 平家一族
源氏一族、こっちは簡単ですが、当面はこれで役にたつでしょう。
「花咲かじいさんの感想」メモ
いくつか出た問題点(各自の意見をごちゃまぜにしてまとめていますので、お許しを)
「花咲かじいさんはなぜ断らないのか。お人好しすぎるのか。弱みをにぎられているなどの事情があるのか」
「隣りのじいさんは前にもこんなことをしていたのか。していなかったとしても犬はともかく、臼のときは、もうどんな相手かわかっていたろうに、それでも貸すのか」
「花咲かじいさんは幸せになったと言えるか。宝や財宝を得ることは幸せか」
「お人好しすぎてはいけないという教訓もあるのではないか」
「隣りのじいさんにとっては犬も臼も財宝を得る手段でしかない。花咲かじいさんにとってはどちらも愛情の対象である。そこがちがう。だから、宝を得た順序が変わっても、最後に貧富が逆転しても、二人の性格は変わらないと思う。花咲かじいさんは他者を喜ばせ幸せにしたいと思って灰をまいたのだから、花が咲いた。だから隣りのじいさんに犬や臼を貸したのも、それで同じように財宝を得られるだろうから喜んで幸せになってほしいと思ったのだろう。他者を愛することが幸福につながるという教訓もあるのではないか」
「因果応報、勧善懲悪が描かれている。同じようなことができるわけがないのに、隣の芝生は青いという発想がある」
「犬を殺すという設定がいやで、童話のそのような生き物を殺す設定にいつも抵抗を感じる。特に小さい子どもに聞かせる場合、何とか処理や工夫ができないものか」
「あまりラストが幸せという流れが見えない。他者の不幸は蜜の味というように、隣りのじいさんの不幸を楽しむ要素もあるのではないか」
すみません。うまくまとめてないかもしれませんが、気になりすぎたらメールで訂正して下さい。
参考となるリンク。見ておいて下さい。
前の掲示板と同じものですが、再度紹介します。
米原万里については、こちら。
オスカー・ワイルドと恋人ダグラス卿については、こちら。
ショーロホフについては、ほんとに記事がない。雰囲気だけでもこちらで味わって下さい。
ワイルド「忠実な友だち」の感想は、こちらで。
笙野頼子「愛別外猫雑記」の記事は多いけど、とりあえずこちらを。
これは新しいかな。「食事の前には読めない本」。残酷な描写も多いので閲覧注意。読んでほしくはありますが。
花咲かじいさんの絵本について。下の方にあります。先輩たちの感想にはあまり影響されないでね。とか言いつつ、紹介します。
「出て来た宝を、隣にわけない花咲かじいさんは、優しいとは言えない」
「人の幸福でしか、自分の幸福を考えられない隣家のじいさんのような人は、今ではあまりいないのでは」
「隣のじいさんは、結果でしかものごとを見ない」
「臼が、犬の墓から生えた木=犬の化身ということを、隣のじいさんは知らなかったのでは。知っていてやったのなら信じられない」
「自分の幸せを考えないで、人の幸せと同じものを追い求める感覚はわからないが、こういう執念が生きるパワーを生むのかもしれない」
「教訓として伝えられた話と思うが、それだと、人の幸福をうらやむなという教訓で、主人公は隣のじいさんなのではないか。花咲かじいさんは、むしろ『験す神』なのではないか」
「先に宝を得た方がいい人になったので、順序というか前後の問題で、二人のじいさんはそうちがわないのではないか」
「隣のじいさんにとって、犬はただ宝を見つける道具にすぎなかった」
「隣の家は花さかじいさんの家より立派なのか、貧しいのか、同じぐらいなのか」
「なぜ花咲かじいさんは宝を得たのかの理由は、はっきりしていない」
「今は他人の基準に流されやすく、映画でも小説でも皆がいいと言うと、誰もがいっせいにそれを見たり読んだりして他のものに目を向けない。隣のおじいさんの幸福を求める基準もそうで、花さかじいさんと同じものしか考えられないのだろう」
先輩たちの最終レポートの紹介は、もうちょっと待って下さい。
授業の目標
基本は二つ
①古典文学と現代の関わりを実感しよう。
テーマ「他者のために自分をどれだけ犠牲にできるか」
具体的にはそれは、介護しなければならなくなった老親だったり、経済的に行きづまって援助を求めてきた親族だったり、相談に乗ってくれと毎晩電話をかけてくる友人だったり、PTAや地域の役員になってほしいという懇願だったり、飢えている遠い国の人々への寄付の依頼だったり、門口に捨てられていた子猫だったり、何かに抗議する署名だったり、恵まれない人を救うためにもっと税金を払えという通達だったり、更にもう、そんなはっきりわかるようなものでなくても、誰かからどこかから、自分の幸福や満足がうらやましそうに見られているのではないかという、ただもう漠然とした不快感や危機感だ。(テキストより)
②日本文学史の中の軍記物について学ぶ
専門分野をひとつでも極めることの効用
おまけの三つ
③「評価」ということについて、考える
④異なる意見を聞き、知る
⑤国語の授業の危険さを知る(私は教師が嫌いです)
レポート課題(自由選択)
「夕焼け」の詩をどう教えるか
「花咲かじいさん」の歴史
日本の知識人が社会主義革命をめざした理由
「さかなよ、さかな」の歴史
ヒーローたちの心理はどう描かれるか
(前回までの授業で出された先輩たちのレポートと内容が重ならないように。いずれ、この掲示板で紹介します。)
メインレポート課題(自由選択を選ばなかった場合) 人を助けて滅びた(または滅びなかった)人物(動物でもいい)を1例あげる。
テキストの「情けあるおのこ」の章の3つの例のどれにあてはまるかを検討。海外文学、現代文学、映画、ドラマ、コミックも可。ただし、日本古典文学、特に軍記物の場合は点数が高くなるかもしれない。
採点基準
いずれ詳しく示しますが、とりあえず一番重要な基準を言います。
○自分の意見と他者の意見が明確に区別されているかどうか。また他者の意見は引用した原典を必ず記すこと。(そのためには、今から調べる際に、参照した文献を必ずメモしておくこと。後で調べてもなかなか見つからないものだから。)