映画感想あれこれ映画「エンジェルウォーズ」感想
──(1)──
そう言や、これも見たんだった…。
と言うぐらい、見てから時間がたってしまったんで、実はもういろいろ忘れかけていて、DVD出てからもう一回見て感想書くべきなんだろうけど、とりあえずメモがわりに。
DVDで見るほどのもんかと言う人もおいででしょうが、何よりこれ、うちの近くでは吹き替えしかやってなかったのよっ! だからどーしても字幕で一回見ときたいのです。
あのさ、私は絶対字幕派なんですが、吹き替えの良さも認めてはいるんで、けっこう両方見たりもするんだけど、でも字幕でちゃんとやってほしいんだよねー、一応は。
こういう一見アホな内容だから、字幕を読めない層が観客に多いとか思ったのかもしれないけど、内容いいかげん忘れたのをいいことに、自分の事情ばっかり書くと、まず私がこれを見たのは震災のわりと直後でした。そして、そのせいかどうかはわからないけど、何と観客が私ひとりでした、マジで。
まー、田舎のシネコンなんで、こういうこと時にはあるんですが、しかも吹き替えでしょうが、これが。どーゆーか、特に前半か三分の一あたりまでは、(以下ネタばれ)反抗的な少女が精神病院にほたくりこまれて、極限状況の中の妄想で同じ患者の少女たちと、パソコンゲームもどきの派手な戦闘くりひろげる、なんつう話で、やたら重苦しい暗い一昔前の時代らしい画面で、やたら安っぽい劇画風の場面の連続で、そりゃまあ、そこまで完ぺきにわざとらしく安っぽくやられて、しかも演技も構成も決して破綻はないからして、これじゃいくら私がバカでも、あー、この嘘っぽい安っぽさは計算されたわざとなんだなと、そこまではさすがにすぐ何となくわかるんですけどね、よりにもよってこんな時に、つまり「こころは誰にもみえないけれど」だの「こだまでしょうか」だの「ポポポポーン」だの子宮がんだのがテレビ画面にあふれ、新聞は番組欄がまん中に来てるみたいな非常時に、たった一人で電力むだに豪勢に使って大画面でこーーんなもの見てていいのか、って気分にひしひしとなっちゃうわけですよ。
これがまあその「アラビアのロレンス」とか「ラスト・エンペラー」とか「生きる」とか「戦場にかける橋」とか、いっそ「渚にて」とか見てるんならまだいいんだろうけど、よりによって、女の子たちの戦闘ゲームを、それもとことん型どおりのくだらないもいいとこの話を、これに比べりゃ「ワンピース」もまだ複雑じゃないかと思えるほどの内容のからっぽな話を見せられてると、ほんと、そわそわ落ちつかなくなった、さすがの私も。ひゃー、こんなことしてる場合だろうかと。
で、言いたいわけですが、せめてあれが字幕だったら、まだそこまではなかったと思うんだよなー。吹き替えで、それもまあ、あの筋書きで展開だったら、もうあの口調、あの声音しかないとは思うけど、これがもう、これでもかってほど、安っぽくて軽い。どんどん、「これだけ電気を消耗して、こんなくだらない映画見てていいのか」って思ってしまうわけですよ。
しかも私は誰もが知ってるようにアマノジャクだから、その後ろめたさに負けまいとして、いやでも無理でも、意味のあるふかーい映画と思ってしまう傾向がある。だからそれじゃいけないぞ、深読みは禁物だぞと自分に言い聞かせていたから、ますます、どう考えてもくだらないだろこれ、と思いつづけてしまった。
わ、嘘、字数オーバーした。わけます。
──(2)──
つづけまーす。
それで、見た人ならとっくにわかってるだろうけど、半分過ぎたあたりから、待て、この映画けっこう複雑な話やん、とわかってきて、古くはマトリックス、近くはインセプション、シャッター・アイランドみたいな脳内仮想世界のしくみが読めてきて、それでもやっぱり基本的には自由だの同志だの体制だの裏切りだのは極めて型どおりの、ほとんど社会主義小説、プロレタリア文学なみじゃんか、これならまだ見てないけど、「蟹工船」の映画もねらった方向なんじゃないのなどと思っていたら、まー、うすうすそんなことで引き下がる監督じゃあるめーな、こいつ、と思いはじめたそのとおり、最後は(ネタばれネタばれ)どーみてもこいつ、主役の顔じゃねーだろ、脇役ですぐなぶりごろしにされるのがえーとこの外見じゃんよと、意識下でそーとーイライラしてた(のが最後に自分でわかった)ヒロインが、そこはちゃんと一番意味があったことがわかり、はー、そういうことが言いたいつうか表わしたい話だったかこれはと気づいて、やられたと思う間もなく映画が終わったので、はたしてそれでいいのか、まだ何か見落としてるかさえわからん(笑)。
で、最低でももう一回は見たいのですが、私がこんなに前半この映画をバカにしてしまったとゆーのは、絶対、あの吹き替えのせいで、字幕だったらここまでアホな映画と最初から思いはしなかったろうと、やつあたりしたくなってるのです。まー、それが映画のねらいなら、あの安っぽい吹き替えは、まんまと私をハメたわけだけどさ。
俳優はスイートピーを演じたアビー・コーニッシュは「プロヴァンスの贈りもの」でも好きだったし、何よりスコット・グレンが元気にカッコよく活躍していてうれしかったので、別に文句はないんだけどさ。とにかく、震災と吹き替えで、これだけ動揺して鑑賞眼を曇らされるんでは、私もまだまだ修行が足らんて。