映画「アナと雪の女王」感想集映画「アナと雪の女王」感想-1

一度見たのですが、疲れてて少し寝たのもあって、今回は吹き替えでもう一度見て来ました。ひとつは、どうもあまり乗れなかったので、感想書くならワルクチになるだろうから、それならちゃんとしっかり見てからにしないとなーと思ったのもある。
それにしても、今や全国誰もがほめちぎってる、このものすごい人気映画の批判をするなんて、たいがい大勢の人を敵に回すんだろうなあ。ま、いつものことですが。

いやー、私そもそも、「雪の女王」のもとの話が好きなんですよ。子どものころ読んだ童話の中じゃ一番好きだったかもしれない。それも他の話にはない、え、いいの!?と思うような、ふしぎな貴重な喜びを与えてもらったのでした。
わかる人にはもうわかっちゃうだろうけど、あれって、女の子が男の子を救いに行く話なんですよ。そんな設定、あまたのおとぎ話の中で皆無だったから、ほんとに信じられなくて、だから私はあまりに大切で、「好き」とさえ大っぴらに言えなかった、あの話のことを。誰にも知られないように、そっとかくしておかなければ、見つかってずたずたにされてしまうかもしれないと思って。

何だかね、それが今回実現しちゃったような気がする。「よりによって、あの話をなー」「くっだらん話に作り替えやがって」というのが、とっさの本音。いやー、もう最初っから世間にけんか売ってるなー、我ながら(笑)。

でもほんとに、まあどうせ作り替えるなら、せめて原作を凌駕するような、私を深く満足させるような作品にせめてできなかったもんかねー。グチですが。せっかく、こんなに世の中変わって女性や男性のあり方に対する見方も変わってきてるっていうのに。みょーに、ちぐはぐで、中途半端で、つぎはぎ細工みたような、しかも技術だけはやたらにすばらしいのがまた何とも腹立たしい。細い骨にぶっとい筋肉がついてるような、質の悪い材木と土台に超豪華な窓枠や壁紙がくっついてるお屋敷みたいな。

時間もないので、私の感情移入できなかった主な点を、二つだけ言っておきます。
その1。これきっとすでに誰かが言ってると思うんですが、その割にネットで感想見ても見つからないんで、書きますが、いったいぜんたい、あの国はどうなってるんですか? 王と女王が死んだんでしょう? それから数年たったんでしょう? その間、王女の一人は自分の魔力をコントロールできなくて、へやに閉じこもってた? もう一人の王女は能天気に雪だるま作ろーよとか歌ってた? いくら何でもその間の政治や経済や商取引はどうなってたんですか? 宮殿の扉を開くって、もしやそれまで、鎖国してたとか? でもその方針を決めて決済の書類に玉璽かなんか押してたのは誰よ?
儀式や賓客の応対や、王女たちの看護や世話にあたってる家臣や侍女のような人が二三人いたけど、もしやあの人たちが宮殿の切り盛り、王女の教育、軍事、治安、予算、その他すべてを回してたとか言うんでしょうか。いくら何でも嘘でしょう。

あんまりみごとに、そのへんの説明も描写もすっぽかされるから、私はこれは確信犯で、そういうことは描かないようにしてる深い思惑があるんだろうと、たいがい理解しようとしてたんですが、そのすっぽかした意図、ねらった効果が、どう考えてもわからない。
架空の世界を作ろうとしたら、馬琴の読本でもハリー・ポッターでもSFでも、それを表に出そうが出すまいが、細かい設定をとことんリアルにやらなきゃならない。いわば、画面や紙面や舞台に登場しない他の日常や他の部分が、ありありと見る人に想像でき、それこそやおい文学がどさどさ書けるぐらいに。シェイクスピアでもガリバー旅行記でも進撃の巨人でも、そんなの皆同じでしょうに。

やばなこと言うなとか、ごちゃごちゃした説明はいらんとか、そういう問題じゃなくて、もう私にはいかに脳内補完とやらで想像しようとしても、あの姉妹の成長過程の日々や、あの国の日常が、何一つ想像できんのですわ。感情移入しようにも何も、紙人形みたいに薄っぺらく、悪い夢みたいに実感がない。自立するとかコンプレックスを解放するとかいうことも含めて、あの町の風景と同様、人の性格も、好かれそう、現代受けしそうなアイテムをちゃっちゃとひろいあげて、つなぎあわせて造型したようで、もう見ててだんだん、ひたすら、気持ちが悪くなった。

あ、白状すると、よくわかって好きだったのは、雪だるまだけ。冬にしか存在できないのに、夏にあこがれ、夏が大好きという、あの悲劇的な性格は、溶けながら好きな人につくす無防備さや大胆さとあいまって、泣けました。でもそれも、彼が相手が好きなだけじゃなく、好奇心旺盛で見知らぬものに突進するという性格が、そうさせるのがよくわかるから、いいんだよね。ただまあ、こういう端役はこれまでも、ちょこちょこディズニー映画には出るんですよね。そういう点では昔からの手堅い手法で、それは成功するんだよね。

えっと、いったん切って、続けます。

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カツジ猫