昔のコラム私に似たひと

大学院生の頃だったか、連合赤軍 事件が起こり、首謀者とされた永田 洋子がマスコミから化け物のように 言われていた時「私も彼女のような とこある」と言って、友人たちにざ ざっと引かれて以来、野村サッチ― であれダイアナ妃であれ宮崎勤であ れ酒鬼薔薇聖斗であれ林真寿美であ れ、世間や周囲が攻撃批判する人を 見るたびに、「しかし私とそうちが わない」(「どこか似ているところ もあるんじゃないか」)と思ってし まう癖がある。
それといっしょにしてしまうのは とても失礼ではあるが、イラクで殺 された若者を「軽率だ」「何を考え て」と友人知人が言っているのを聞 くと、自分のことのようにつらい。
そう批判されてしかたのないとこ ろはある。だが少なくとも彼は、人 を殺しに行ったのではない。「この 目で何が起こっているか見たかった」 という思いも、大量破壊兵器がある あるとあれだけ言っておいて、なか ったと否定し、それをまたそのまま 伝えるだけの政治家やマスコミに、 うんざりを通り越して悲しくなって る私には、妙に納得できるのだ。
彼は何をさがしに行ったのだろう。 それはもうわからない。同じように 何かをさがしている若者は多い気が する。彼よりもっとうまくやっての けられる者もいるだろう。もっと慎 重で、彼のようになることを恐れて、 自分の世界に閉じこもってしまう者 もいるのだろう。
いずれにしても、彼が求めていた ものを、この国とそれを支える私の 世代は彼に与えることができなかっ た。そんなことを考えていると何と なく「すみません」とは私の方が彼 に言いたい。

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カツジ猫