昔のコラム逆流してくる力

説明してると長くなるから結論 だけ言ってしまうと、私は自衛隊 がイラクに行ったのに反対だし、 今回人質になった人たちがイラク に残って活動を続けたいと言った のは立派なことだと思っている。
ただ、それはそれとして感じて いることがある。
博多ではもうすぐ劇団四季の 「ジーザス・クライスト・スーパ ースター」が始まる。イエス・キ リストを悩める人間として描くミ ュージカルだが、そのクライマッ クスで、救いを求めてさしのべら れる人々の手に力を吸いとられ疲 れはてたイエスが、「自分で救え !」と叫んでしまう場面がある。
何回観てもあ~、わかる~、と 思う一方、かすかな違和感を感じ る。いろんな局面で人に何かをし てあげた時、私もたしかに疲れた し、確実に何かを奪われた。しか し、それを補って余りある力がい つも、与える私の手へ、うけとる 人の手から流れこんできた。その 力の逆流は身体全体でありありと 感じとれるほど、強くて豊かだっ た。キリストだってそうだったは ずだ。
ボランティアも復興支援も、行 う者がこそ救われる。「させて頂 き」「うけとって頂く」ものなの だ。そうやって、日本の人たちに 助けられ、救われてくれたイラク の人々に対するせめてものお礼は、 彼らを本当に苦しめている原因は 何なのかを見つめ、それと向き合 い、その消滅に力をつくすことで しかないのではないか。そんな気 がしてしかたがない。

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カツジ猫