「水の王子」通信(164) 2023年04月03日(月) ミーハー精神 「水の王子 空へ」第三回 【最初の戦闘】 「将軍によって運不運というようなものがありましてな」タケミカヅチは言った。「ワカヒコさまが乗船されて、まだ船の全部も見て回らない内、本当に数日後に、いきなり大きな戦いに我々はま… [続きを読む]
「水の王子」通信(163) 2023年04月01日(土) ミーハー精神 「水の王子 空へ」第二回 【最初の出会いは】 「何なんだ、いったい、こいつは」タケミカヅチは太い腕を台につき、厚い手のひらで顔をぐいっとなでた。「ええ、私はたくさんの将軍にお仕えしました。皆、偉大な方々でした。もちろん… [続きを読む]
「水の王子」通信(162) 2023年03月27日(月) ミーハー精神 「水の王子 空へ」第一回 「水の王子」の続編というか副編というかの「山が」に続く新シリーズは、タケミカヅチが語り手で、アメノワカヒコが主人公の「空へ」です。 ここにあげる挿絵は皆、「村に」の電子書籍の挿絵集で紹介した… [続きを読む]
「水の王子」通信(161) 2023年03月24日(金) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第三話「それぞれの愛」(5) 【タカヒコネの独白】 ニニギは鋭いほうじゃない。そこがいい。だから、つっこんで来なかった。それがわかって、おれも話した。 本当はオオクニヌシは、あのときのおれの嘘… [続きを読む]
「水の王子」通信(160) 2023年03月23日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第三話「それぞれの愛」(4) 【ニニギの独白】 タカヒコネがいつからオオクニヌシのことを「父さん」と呼ぶようになっていたのか、私たちの誰もが気づかなかったのは笑止だ。特に人前でそう呼ぶのをさけて… [続きを読む]
「水の王子」通信(159) 2023年03月23日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第三話「それぞれの愛」(3) 【岬への道】 「ま、人も夫婦も愛し方はそれぞれなんだろうからねえ」コトシロヌシは桃の最後の切れはしをタカヒコネにすすめながら言った。「これ、うまかったな」 「うん… [続きを読む]
「水の王子」通信(158) 2023年03月23日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第三話「それぞれの愛」(2) 【コトシロヌシの独白】 サルタヒコがどこかの港から珍しいかたちの寝台をもらって来た。しっかりしたいい作りだったが、いっしょに暮らしていたアメノウズメは、それでもまだ… [続きを読む]
「水の王子」通信(157) 2023年03月21日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第三話「それぞれの愛」(1) 【若者たちの悩み】 「もう、あれだけはやめてほしい」タカヒコネがぼやいた。 「まったくだ」深刻な顔でニニギがうなずく。 同感、というようにコトシロヌシが力なく… [続きを読む]
「水の王子」通信(156) 2023年03月14日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(5) 【タカヒコネの独白】 それからイナヒはときどき、おれのへやに寝に来るようになった。いったいどういう心境なのか、おれにもさっぱりわからない。 おれの身体のあちこちの傷は… [続きを読む]
「水の王子」通信(155) 2023年03月12日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(4) 【タカヒコネの独白】 皆がにぎやかに出かけて行ったあと、家の中は急にしんとなった。畑の作物の葉が風にゆれているのまで聞こえるようだった。 おれは台所の棚にあった餅を焼… [続きを読む]
「水の王子」通信(154) 2023年03月12日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(3) 【タカヒコネの独白】 それでもう、ことはすんだと、おれは思っていたのである。月がまた満ちるころ、ニニギが変に陽気に浮かれてコトシロヌシの家に来て、「なあなあ知ってるか?… [続きを読む]
「水の王子」通信(153) 2023年03月11日(土) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(2) 【タカヒコネの独白】 ツクヨミは実に油断がならない。 昨日浜辺で会ったら、ちょっとうまいものを作ってみたから店に来いと言われた。 こいつに誘われたら、ろくなことはな… [続きを読む]
「水の王子」通信(152) 2023年03月06日(月) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(1) 【タカヒコネの独白】 かけねなしに、本当に、イナヒはこのおれのことが嫌いらしい。ムカつくのは、スセリはもちろん、オオクニヌシともスクナビコとも、それなりにうまくやってい… [続きを読む]
「水の王子」通信(151) 2023年03月03日(金) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第一話「最高の友人」(4) 【オオクニヌシの独白】(続き) 「おれはいつだって、いつもこうして」長いことたってから、彼はやっと、小声で言った。「いつも一番ひどいことをした人に救われてしまう」 … [続きを読む]
「水の王子」通信(150) 2023年03月03日(金) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第一話「最高の友人」(3) 【オオクニヌシの独白】(続き) 「ククキは―それがその男の名前なんですけど」タカヒコネは続けた。「たしかに、いやなやつでした。許せないことを平気でやるやつでした。話せ… [続きを読む]