「水の王子」通信(138) 2023年01月31日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」第三十回 【真実の悪を求めて】 いつの間にかうなだれているタカヒコネを見つめるツクヨミの目が、すごみを帯びて青く光った。 「聞け」彼は静かに言った。「せっかくおまえが大切な秘密を教えてくれたんだから… [続きを読む]
「水の王子」通信(137) 2023年01月31日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十九回 【消された未来】 タカヒコネは顔色ひとつ変えなかった。黙って湖面を見つめていた。ただ舟べりを握った手に力がこもって、指の節が白くなった。 ツクヨミはそれを見ていた。「おやおや」と彼はから… [続きを読む]
「水の王子」通信(136) 2023年01月30日(月) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十八回 【魚の影】 「うまいじゃないか」からかうような声がかかって、コトシロヌシの祭りの日のことばを思い出してみていたタカヒコネは、はっとしてふりあおぎながら、とびきりの明るい笑顔を作った。 … [続きを読む]
はっちゃけようかどうしょうか 2023年01月30日(月) 日記 このブログで連載してる菱岡君の「大才子・小津久足」の感想が、あともうちょっとなのだけど、この終章がなかなか手ごわい。引用されてる本を読んでみたくてしょうがないのだが、そのヒマがなく、というかどーせ、このへんの本屋さんには… [続きを読む]
「水の王子」通信(135) 2023年01月30日(月) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十七回 【穏やかな日々】 湖を渡ってくる風がうすら寒い。タカヒコネは泥のついた手をちょっとこすり合わせて息を吐きかけると、かなりつるの伸びてきた野菜をよけながら、柵のこわれた部分をひもでしばり直… [続きを読む]
「水の王子」通信(134) 2023年01月30日(月) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十七回 【おかしな獣】 オオクニヌシが家に入って行ったとき、へやの中は何だかおかしな雰囲気だった。つぼやかごが、いくつかひっくり返り、ううふうう、ふううと、けんのんなうなり声がしている。スセリは… [続きを読む]
男に借りは作りたくない 2023年01月29日(日) 日記 雪が降ったり日が照ったり、庭も身体も対策のしように困る毎日だ。一応、玄関に避難させていたカーネーションと菜の花は庭に戻した。 写真は玄関に入れていた菜の花。今は庭で元気です。それにしても、水仙が好きだった母がいつも、「雪… [続きを読む]
『大才子・小津久足』感想(16) 2023年01月28日(土) 日記 どれもこれもが名作に見える 前回の話が著しく途中で終わったので、少しくり返すと、要するに、紀行を紹介する論文はなかなか面白く書くのが難しく、だから私は、一つの作品を紹介するのではなく、作者の全体像の一部として紹介するか、… [続きを読む]
『大才子・小津久足』感想(15) 2023年01月28日(土) 日記 事務連絡を少々 この本の著者の菱岡憲司氏の基調講演で、オンラインでの国際研究集会が行われます。ぜひご参加を。研究者の方はもちろんですが、郷土史家やさまざまなカルチャーセンターや読書会の関係者、参加者の皆さまにもどうか参加… [続きを読む]
ばっちしやん 2023年01月27日(金) 日記 雪は大したことはなかったけど、何しろものすごい寒さで三日間家にこもってました。買い物にも行かず洗濯物も干しっぱなし(これは忘れていたのですが)。今日やっと車を出して、スーパーであれこれ買いこんで、ついでによく行くお店でラ… [続きを読む]
「水の王子」通信(133) 2023年01月27日(金) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十七回 【深まった闇】 「行きも帰りも同じ道っていうのもつまらんだろ」雲ひとつない空の下を、まぶしく輝く海を見下ろして舟を飛ばせながらツクヨミが言った。 「そうだな。いいながめだ」オオクニヌシも… [続きを読む]
「水の王子」通信(132) 2023年01月26日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十六回 【殺された男】 「あのころ都の中では新しい動きがあった」スサノオは二人の前の湯のみに、新しい茶をついだ。「若者たちを中心に、次第に年かさの者たちにも広がって行った。危険なものではなさそうだ… [続きを読む]
「水の王子」通信(131) 2023年01月26日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十五回 【夜な夜な考えても】 「さっきオオクニヌシがいきなりタカヒコネのことを言い出したから、驚かれたかもしれないな。私にもとめるひまがなくってね」ツクヨミは笑った。「あなたもなぜだかおわかりにな… [続きを読む]
「水の王子」通信(130) 2023年01月25日(水) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十四回 【消える手がかり】 スサノオは小さく何度かうなずいた。そして粗末な木の湯のみに茶を注ぎ、それぞれの前においた。飲んでくれとすすめるように手を動かして、再び椅子に腰を下ろす。 「君は私とこ… [続きを読む]
「水の王子」通信(129) 2023年01月25日(水) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十三回 【スサノオの暮らし】 スサノオの家は、高い四角な石造りの建物の中にあった。その建物は斜面によりかかるように建てられていて、高い階の裏口は坂道の途中に直接続いていたが、通りからの正面の入り口… [続きを読む]