「水の王子」通信(130) 2023年01月25日(水) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十四回 【消える手がかり】 スサノオは小さく何度かうなずいた。そして粗末な木の湯のみに茶を注ぎ、それぞれの前においた。飲んでくれとすすめるように手を動かして、再び椅子に腰を下ろす。 「君は私とこ… [続きを読む]
「水の王子」通信(129) 2023年01月25日(水) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十三回 【スサノオの暮らし】 スサノオの家は、高い四角な石造りの建物の中にあった。その建物は斜面によりかかるように建てられていて、高い階の裏口は坂道の途中に直接続いていたが、通りからの正面の入り口… [続きを読む]
「水の王子」通信(128) 2023年01月24日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十二回 【マガツミの弁舌】 「当然だ。そのどこがわるいんだね?」一本足のマガツミはいきなり、世にもさわやかな歯切れのいい口調で言い出した。「人間にとって都合のいい生き物? それは人間にとって都合の… [続きを読む]
「水の王子」通信(127) 2023年01月22日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十一回 【老女は語る】 「予想してないこともなかったが、この都じゃタカヒコネの人気は昔のスサノオ以上だな」フナドの妻と息子が野菜のかごを家の中に運び込んでいる門口で、ツクヨミがオオクニヌシにささや… [続きを読む]
「水の王子」通信(126) 2023年01月22日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十回 【若い王の思い出】(つづき) 「しかしさ、私もいろんな国を旅してきたが」ツクヨミが言った。「ヨモツクニのマガツミというのは、今この都で働いたり皆と暮らしたりしているマガツミみたいな、あんな姿… [続きを読む]
「水の王子」通信(125) 2023年01月18日(水) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十九回 【若い王の思い出】 フナドの家は都のはしの坂の上にあって、岩場の多い港を見下ろしていた。港というより船着き場程度の規模で、泊まっている舟も少なくて、小さい。家の前の庭では二ひきのマガツミを相… [続きを読む]
「水の王子」通信(124) 2023年01月17日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十八回 【ツクヨミの独白】 男が私たちを連れて行ったのは、小屋というよりかなり大きな建物で、明るく広く、さっぱりとしていて、飾り気のない同じような寝台がずらりと並んでいた。あちこちに食事をする大きな… [続きを読む]
「水の王子」通信(123) 2023年01月15日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十七回 【再び都へ】 オオクニヌシはネノクニの都の入口に立って、門のようになっている、積み上げた石をながめていた。 「何見てる?」かたわらからツクヨミが聞く。 「変わってないもんだなあと思って… [続きを読む]
「水の王子」通信(122) 2023年01月15日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十六回 【夜の岩山】 「タカヒコネのことだが」岩山の崖の、風よけになるくぼみで、ちろちろと火をたいた上に、射落とした鳥の肉をかざしてあぶりながらツクヨミは聞いた。「王の器じゃなかったのか? なぜ都か… [続きを読む]
「水の王子」通信(121) 2023年01月15日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十五回 【空の旅】 「空を飛ぶのって、初めてか?」ツクヨミが聞いた。 「ああ、まあな」オオクニヌシが答える。 「もしかして高いところは苦手なのか」ツクヨミは横目で見ながらくすくす笑った。「さっき… [続きを読む]
「水の王子」通信(120) 2023年01月14日(土) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十四回 【ツクヨミの見解】 「あいにくで悪いが、さっぱりわからんとしか答えようがない」ツクヨミは首をふった。「おれもイザナミも、マガツミは皆、ぬるぬるした、ただのごみとしか考えてなかったし、そういう… [続きを読む]
「水の王子」通信(119) 2023年01月14日(土) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十三回 【オオクニヌシの疑問】 ツクヨミは台によりかかって、面白そうにオオクニヌシを見た。 「つまりいつでもそうしてあんたは、村に住みつく旅人たちを観察し分析して、それなりの対応を考えてきていたん… [続きを読む]
「水の王子」通信(118) 2023年01月12日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十二回 【幼いマガツミ】 「幼いときの記憶を聞いたことがある」オオクニヌシは言った。「あまりぶしつけにマガツミでいたころのことを覚えているかと聞くのもあれだと思ったものだから。小さい時の一番初めの思… [続きを読む]
「水の王子」通信(117) 2023年01月11日(水) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十一回 【朝の酒場】 「珍しいお客だな」とびらを開けてのっそり入ってきたオオクニヌシを見て、ツクヨミは眉を上げた。「しかも、いやに早いじゃないか」 「夜はときどき飲みに来てるぞ」オオクニヌシはけだ… [続きを読む]
「水の王子」通信(116) 2023年01月10日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」第十回 【タカヒコネの独白】(つづき) 老人は天井を見た。「まあよく見ておけ」と彼は言った。「いずれはおまえもこういう死に方をするようになる」 そうかもしれない、とおれは思った。もっとひどいかもしれ… [続きを読む]