「水の王子」通信(160) 2023年03月23日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第三話「それぞれの愛」(4) 【ニニギの独白】 タカヒコネがいつからオオクニヌシのことを「父さん」と呼ぶようになっていたのか、私たちの誰もが気づかなかったのは笑止だ。特に人前でそう呼ぶのをさけて… [続きを読む]
「水の王子」通信(159) 2023年03月23日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第三話「それぞれの愛」(3) 【岬への道】 「ま、人も夫婦も愛し方はそれぞれなんだろうからねえ」コトシロヌシは桃の最後の切れはしをタカヒコネにすすめながら言った。「これ、うまかったな」 「うん… [続きを読む]
「水の王子」通信(158) 2023年03月23日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第三話「それぞれの愛」(2) 【コトシロヌシの独白】 サルタヒコがどこかの港から珍しいかたちの寝台をもらって来た。しっかりしたいい作りだったが、いっしょに暮らしていたアメノウズメは、それでもまだ… [続きを読む]
「水の王子」通信(157) 2023年03月21日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第三話「それぞれの愛」(1) 【若者たちの悩み】 「もう、あれだけはやめてほしい」タカヒコネがぼやいた。 「まったくだ」深刻な顔でニニギがうなずく。 同感、というようにコトシロヌシが力なく… [続きを読む]
「水の王子」通信(156) 2023年03月14日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(5) 【タカヒコネの独白】 それからイナヒはときどき、おれのへやに寝に来るようになった。いったいどういう心境なのか、おれにもさっぱりわからない。 おれの身体のあちこちの傷は… [続きを読む]
「水の王子」通信(155) 2023年03月12日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(4) 【タカヒコネの独白】 皆がにぎやかに出かけて行ったあと、家の中は急にしんとなった。畑の作物の葉が風にゆれているのまで聞こえるようだった。 おれは台所の棚にあった餅を焼… [続きを読む]
「水の王子」通信(154) 2023年03月12日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(3) 【タカヒコネの独白】 それでもう、ことはすんだと、おれは思っていたのである。月がまた満ちるころ、ニニギが変に陽気に浮かれてコトシロヌシの家に来て、「なあなあ知ってるか?… [続きを読む]
「水の王子」通信(153) 2023年03月11日(土) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(2) 【タカヒコネの独白】 ツクヨミは実に油断がならない。 昨日浜辺で会ったら、ちょっとうまいものを作ってみたから店に来いと言われた。 こいつに誘われたら、ろくなことはな… [続きを読む]
「水の王子」通信(152) 2023年03月06日(月) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第二話「イナヒ鍋」(1) 【タカヒコネの独白】 かけねなしに、本当に、イナヒはこのおれのことが嫌いらしい。ムカつくのは、スセリはもちろん、オオクニヌシともスクナビコとも、それなりにうまくやってい… [続きを読む]
「水の王子」通信(151) 2023年03月03日(金) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第一話「最高の友人」(4) 【オオクニヌシの独白】(続き) 「おれはいつだって、いつもこうして」長いことたってから、彼はやっと、小声で言った。「いつも一番ひどいことをした人に救われてしまう」 … [続きを読む]
「水の王子」通信(150) 2023年03月03日(金) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第一話「最高の友人」(3) 【オオクニヌシの独白】(続き) 「ククキは―それがその男の名前なんですけど」タカヒコネは続けた。「たしかに、いやなやつでした。許せないことを平気でやるやつでした。話せ… [続きを読む]
「水の王子」通信(148) 2023年02月27日(月) ミーハー精神 ちょっとタイトルの番号が前後してますが…。 「村に」の紙本の試作品ができてきています。とてもきれいで、満足です。これを見ていたら、四十年書けなかった小説をとにかく完成させたのだから、私もっと喜んでもいいのかなあと、あらた… [続きを読む]
「水の王子」通信(149) 2023年02月27日(月) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第一話「最高の友人」(2) 【オオクニヌシの独白】 コトシロヌシから全部聞いたよ、と私が告げたとき、タカヒコネは、がっかりしたような、少し怒った顔になった。スセリとスクナビコにも私から話したよ、… [続きを読む]
「水の王子」通信(147) 2023年02月25日(土) ミーハー精神 「水の王子 山が」余談 第一話「最高の友人」(1) 【浜辺の父子】 空は真珠色とるり色に淡く輝いていた。もう冷たくなりかけているが、どこかまださわやかな秋の気配も残している夜明けの風が、浜辺を軽やかになでていた。 コ… [続きを読む]
「水の王子」通信(146) 2023年02月10日(金) ミーハー精神 「水の王子 山が」第三十九回 【村と世界の未来】 夜はすっかり更けている。窓の外では青く光る木が風にゆれて、部屋のなかがほのかに明るい。コトシロヌシが立ち上がって灯火の油をかきたてたので、さらにあたりは明るくなった。 … [続きを読む]