福岡教育大学物語17-新学長の立場
組合の先生から聞いた話では、寺尾前学長は任期の最後のころ、つまり再選されてから二年目の終わりごろには、この任期を変えて、自分が更に再選できるようにしたいと考えておられたらしい。文部科学省にも交渉しておられたのではないかという。
それは認められなかったから、その結果いろいろ模索があって、結局ご自分の方針を最も継承する、櫻井先生を次の学長に指名したとのことだ。それまでは再選が二年まで認められていたのが、なくなって、四年で終わる任期になったのもこの時だが、何か関係あるかどうかはわからない。
もし、その話が本当だとすれば、本来はご自分が続けるはずだったのを、最も信頼して託せる櫻井先生に引き継いだものの、最初からの予定ではなかっただけに不安が残り、かなり乱暴な方法でも、ご自分が副学長として残ってサポートする方が、混乱が防げるとお考えになったのかもしれない。
だが私は、この決定は、前回に述べたように法律違反でなくてもルール無視の非常識すぎる禁じ手であるとか以上に、現実的に効率的に政治的に、非常にまずい方策ではなかったのかという思いが拭えない。
禁じ手だってルール違反だって民主主義の破壊だって、それに見合うだけの効果や成果が見込めれば、こっそり言ってしまえば私はあり得ると思うし、まあ禁じ手とはそうだからこそ使うものだろう。
しかし、学長側にも組合側にもまったく詳しい情報をもらってなくて、外部から見て判断する限りでも、この「前学長が副学長になって、新学長をサポートする」というやり方には、まるでいいところがなさすぎる。
以下はまた若干、私のくだまきめいた話になるかもしれないが…。そもそも、この体制で一番やりにくくって、お気の毒だと思うのは新学長の櫻井先生だと思うのだが、ちがうだろうか。
以下は更に推測を通り越した妄想が暴走するので、ひょっとしてお二人の学長はじめ、関係者の方がごらんになっていたら、どうか笑って読み流していただくことを伏してお願いする。
仮に準備不足の予想外で、櫻井先生が急遽新学長にならざるを得なくなったとして、自分だけでは心配だから寺尾先生にサポートしていただけるなら、というご意向があったとする。あるいは、そうでなかったら、引き受けられませんとおっしゃったとする。で、寺尾先生は気は進まないけれど、全面的なサポートをするから、あなたが学長になって引き継いで下さいとおっしゃったとする。
それは何だか、あり得るというか、流れ的にはそれしかないだろうと思う。
だけど、私の感覚として、ここで絶対わからないのは、どうしてそれを副学長になって、学長室の隣の新築の部屋で「院政」と呼ばれてしまうようなかたちでサポートしなくちゃならないのかってことだ。
組合の先生方は、まあ当然だが怒りのあまり寺尾さんと櫻井さんをいっしょにひっくくって、この件の悪者にしてるようだが、おかげで誰も櫻井先生の状況や心境を思いやっていないように見えるのだが、これ(このサポートのしかた)、私が櫻井先生だったら、すごく、すっごくいやですよね。そう思われませんか皆さん?
そもそも「僕の方針を引き継いでくれ」と言われて学長になってるんですよ。選挙で選ばれたわけじゃない。寺尾先生はまだ88票の支持があったのだけど、それさえない。もっとあるのかもしれないけど、それはわからない。
自信も持ちようがないし、皆に軽んじられることは明らかすぎるじゃないですか。おまけに寺尾先生といっしょくたにして敵視される。「もっとひどい」「またちがった意味で」というような言い方さえされず、ただの傀儡、使いっぱ、腰巾着とみなされてしまう。スタートからしてハンディが大きすぎるでしょ、どう見ても。
しかも、それを、ほとんど漫画チックに強調するかのように、学長室のお隣に、前学長がいるんですよ! 二世帯同居のお嫁さんじゃあるまいし、どうしろっていうんですか本当に。
ところで、このところつけてる、この変な写真、そろそろおしまいになりそうなんで説明しとくと、うちの家の、道路に面した擁壁のブロックに、私が面白半分、タイルやレンガのかけらを貼り付けたものです。もう何年にもなるけれど、けっこうしっかりくっついてて、でも知り合いに言わせると、アジアのどっかのお墓に似てるんですって。