福岡教育大学物語49-公用車と研究室
今回、若干ハジケます(笑)。
現職の教職員や元教職員、学生、保護者、市民の皆さんなど、教育大の現状に関心を持っている方はさまざまですが、私があげたいろんな問題点の中でも、「許せない」と思っていることがらは、人によってさまざまです。
私の問いかけには答えておられませんが、公用車や研究室の使用について、非常に問題視し、怒りを持っておられる方々もいらっしゃいます。このことを中心に抗議をして行きたいと思っておられる方もいて、これはこれで正しいと思います。公私混同やダブルスタンダードは、公的立場にある人にとっては、一番その姿勢が問われることだし、その人の本質にも係る重要な要素だと思いますから。
私は公用車の不正使用については、大変よくないことですけど、現学長以上に鈍感なところがあるかもしれなくて、だから同じまちがいをする可能性は高いです。家族や友人や猫をのせるとか、やってしまいそう。
ただまあ、指摘されたら謝って、二度としませんけどね。「あれ、まずいっすよ」とおおごとになる前に誰かが言ってくれそうだし。そういう人がいてほしいし。(聞いた話ですが、櫻井先生のご家族は、最初に乗るときためらっておられて、運転手さんも、それはちょっと、と言われたらしい。でも、ご家族や運転手さんでは説得力がなかったのかもしれません。海外ドラマ「グッド・ワイフ」のイーライみたいな、厳しい選挙参謀がいて、やかましく注意するとか、そういう家老みたいな人がいなくちゃいけないんでしょうか。でも、安倍首相夫妻にも、そういう人はいないみたいだし、国がそれなんだから、教育大のトップにそれ求めるのはぜいたくってものかしらん。)
で、まちがいかもしれませんが、いや多分まちがいですが、私の中では公用車や研究室の不正使用って、「たかが車で、部屋じゃん。謝ってやめれば、すむことじゃん」みたいな、のどかな気持ちがあったのですね。ところが、詳しく聞いてみると、これって、すごく深刻なことになってたらしいのです。うっかり、「たかが」なんて言わないでよかった。今言っちゃったけど(笑)。
何しろ、その問題を指摘し抗議した先生方に、いろいろいきさつを聞いてみると、櫻井先生がご家族を常時公用車に乗せておられるらしいし、研究室も使わせているようだけど、それがどうもよくわからない。まともに聞いたら否定されるだろうから、ちゃんと確認しようと思っても、車の窓にフィルムだかスクリーンを貼ってしまわれたので中が見えない。
これで実は正門の守衛さんが大変困られたのだそうです。というのは、前学長の寺尾先生が、公用車で門を出入りするとき、守衛さんがあいさつをされないのを失礼だと非常に怒られたので、守衛さんは必ずあいさつするようにしていたのですが(まさか飛び出して来て敬礼もないでしょうから、詰め所のガラス越しに一礼するぐらいだと思いますが、正確な事は知りません)、フィルムが貼られてしまったので、学長がお乗りになっておられるかどうかわからず、ずいぶん悩ましかったようです。
それで、詳しいことは忘れましたが、先生方の数人は中庭で張り込んで、たしかにご家族をいつも乗せているということを目撃するまで何日もがんばったのだそうです。そのことは教授会でも報告されたようで、何人かの先生から、その時の様子を私も聞きました。
それから、学長になったら、それまで使っていた研究室は講座のものになって、講座がいろんな他の目的に使用するのが普通で、これが慣習だったか規則だったか、それは知りませんが、とにかく寺尾先生はそうなさったのですが、櫻井先生はずっとご自分が使っておられて、これも規則違反らしいのですが、鍵も替えてしまわれて、講座で管理ができなくなり、講座主任か担当の先生かどなたかが「明け渡して下さい」と、研究室のドアに張り紙をして、それがはがされ、また張って、ということがずっとくり返されたのだとか。
結局、部屋は明け渡されたのですが、そこでもまた、すったもんだがあったようで、結局もう私も疲れてちゃんと覚えてないのですが、講座ではなく、施設課かどこかの事務、つまり大学が直接管理するかたちになりそうになっており、それまで退職した先生の研究室が空いていたら、講座が自由にいろんなことに(図書室とか学生の自習室とか非常勤講師の控室とか)使えていたのに、事務局に許可をもらわなくてはならなくなっては大変だという状況が生まれかけているようで。
今も、そのことで、講座の希望や大学の要望が、いろいろぎくしゃくぶつかりあっているようなことをあちこちで耳にします。
これが、学長や大学当局と、講座の先生方との敵意や軋轢がどのくらい作用しているのかは、私にはわかりませんが、車の件でも部屋の件でも、ものすごく和気あいあいとしたいい雰囲気の大学でなくても、普通の人間関係と信頼関係があったら、そして、「まずいですよ、学長、あれは」みたいなことを気楽にご注進できる古参兵みたいな教員層がいたら、すべてどうってことなくて、スムーズに片づいて行く話じゃないかって気持ちが私はぬぐえないのです。証明書の写真の件もそうですけど。ある意味、どうでもいい水準でさっさと処理してしまえることが、国際問題並みの重要さになり、ややこしい手続きや仕事をどんどん増やして、それがまた皆の神経をささくれだたせて行く。
たしかに、学長たちのお人柄もあると思います。しかし、そのくらいの個性なら、他の人でも私でもある。それがこんなにこじれるのは、やはりそういう関係を生んで行く制度や構造のせいもある。そういう意味では車や部屋の問題が、こういう風になってしまうのは、やはり本質的な状況につながることでもあるのでしょう。そこを見定めて、見通しながら、この問題にも取り組みたいと私は思っているのです。もちろん、真剣に「そんな学長の姿勢は絶対に許せない!」と怒り、抗議する人たちのパワーは、その取組みに欠かせないものでもあります。
それにしても、たしか夏の暑いときだったと思うのですが、交代で張り込んで学長の公用車を見張った先生も、研究室のドアに明け渡し要求の紙を何度も張ってははがされ、また張った先生も、とても立派な研究者で、教育者です。そんな方たちがそんなことをしなければならなくなっているという現状に、私は初めて聞いたとき、本当に救いのない、暗澹たる思いに沈みました。
それはほんとに、本当です。ただ、もう一人の私は心の底で確実にこう言っていました、「な、なんて面白いことをしてるんだ!」…すみませんっ!
多分、私と同じように、こういう話を聞いて限りなく滅入りつつ、その一方で、ひきつった笑いの発作にかられている人も少なくないのではないかと思います。教育大で今起こっていることの数々は、悲劇と同時に喜劇だし、悲惨であるとともに滑稽です。だからこそ、正気でいましょう。おたがいに。
あ、しつこいけど、念のために、問題点の一覧をまたあげておきますね。認知症の予防もかねて、この中のいくつを覚えているか、チェックしてみるのもいいかしれない。むはは。
○がついているのは、「これが許せない」と答えた人の数。●は私の選んだものです。おまけに、この連載?でとりあげた件については※印をつけておきますので。
学生の教員免許をとりにくくした。○○
避難地域にもなっていないぐらい危険で、他にもいろいろ問題のある学内の土地に、特別支援学校を作ろうとしている。○※
組合との団体交渉で、暴言や脅迫めいた発言をくり返す。※
公用車に長期間にわたって家族を乗せる。
家族に研究室の鍵を与えて、研究室を使用させる。
教員の研究費を2年連続で半額に減らした。
学長になったあと、明け渡して講座のものにする慣例の研究室をずっと使用していた。
とにかくもう、講座や教職員からの、いろんな質問や申し入れにいっさい答えない。会いに行っても会わない。とにかく黙殺する。ひたすら無視する。○※
昇任や採用の審査が不透明。●
給与や特別手当の基準が不透明。●
懲罰や処分の手続きが不透明。○●
組合の活動や、大学に対する裁判を起こした教員を、大学院の長や評議員や講座主任として認めず、承認しないし、相手にしない。※
組合へのいくつかの対応を「不当労働行為」(法律違反)と最高裁で判断されたことに対し、いっさいコメントしないし、反省も謝罪もしない。※
学長選挙でかなりの票差で負けたのに、学長になった。※
学長の任期が終わった翌日から副学長として、学長室の隣に新設した室で学内行政に関わった。※
学生や院生の論文を指導教員が共著扱いすることについて、明確な説明がない。
教員が起こした給与に関する裁判で、明確な反論がなく、それでも勝訴した。
学長のセクハラやパワハラに対応する体制は、あり得ないことだから、作っていない。○○○○※
身分証明書に必要な写真の撮影方法について、教職員の意見を無視する。※
学内の50メートルプールを25メートルに改修し、公式記録がとれなくなるなどの弊害を生じた。
英語の先生の意見も聞かないで、国際的に通用しない大学の英語名称を新しく作った。
教職員に説明のないまま、大学院の大幅な改組もしくは廃止を突然発表した。※