うぎゅ(水の王子覚書21) 2024年03月22日(金) ミーハー精神 「水の王子」の最終編「川も」を書き上げて、いよいよこのシリーズと手を切れるとのんびりしていて、気がついたら、くうう、紙本と電子書籍で出版する際の冒頭につける「登場人物紹介」を書かなきゃならないのを忘れてた! 新しいイラ… [続きを読む]
水の王子・「川も」18 2024年03月18日(月) ミーハー精神 第十章 春の訪れ 雪は次第にとけ始めていた。川もそろそろ新しい流れの場所をさがしているように、水が減ったり増えたりと、不穏な動きを見せ始めていた。人々の家の回りには、可憐な淡い水色の花が咲き出していた。 商人の宿にはま… [続きを読む]
水の王子・「川も」17 2024年03月18日(月) ミーハー精神 ※ 「そう言えばさ、こういうこともあったっけ」娘はそんなヒルコをながめながら、気持ちよさそうに、また酒をすすった。「子どものころから時々ね。あたし女の友だちから、よく言われることがあるのよ。今でもどうかすると… [続きを読む]
水の王子・「川も」16 2024年03月18日(月) ミーハー精神 第九章 殺された女 二人の少年は、多分、村ではお屋敷についで二番目に大きい、商人たちの宿になっているという家の入り口に立っていた。外見からでは目立たないが、家の中は入り口からすでに一段ごとに色のちがう石をしきつめた派手な… [続きを読む]
水の王子・「川も」15 2024年03月17日(日) ミーハー精神 ※ モモソはもらった針を喜び、小さな灯りの下で夜遅くまで、せっせとつくろいものをした。「あの口のうまい男のことは、そんなに悪くは思ってないのよ、私は」と、手を動かしながら彼女はツマツと二人の少年に話した。「あ… [続きを読む]
水の王子・「川も」14 2024年03月17日(日) ミーハー精神 第八章 商人の宿 それ以後、屋敷でヒルコとハヤオは、時々その若者としゃべるようになった。屋敷の空気はのんびりしていて、下働きの者たちもひまそうにしていることが多く、庭先で家具を修理していたり、廊下で床をみがいていたりする… [続きを読む]
水の王子・「川も」13 2024年03月16日(土) ミーハー精神 第七章 動く川 「よう、坊やたち!」 声をかけられてふり向くと、のんきな顔の若い男が川辺に腰を下ろして魚を釣っているのだった。ハヤオとヒルコは屋敷に夕食に行く途中で、まだ早かったから、ゆっくりと歩いていた。 男の顔に… [続きを読む]
水の王子・「川も」12 2024年03月09日(土) ミーハー精神 「ツマツの死んだお父さんは、備えておけ、って言うのが口ぐせだったらしいな」ハヤオは歩きつづけながら言った。「いつ誰が突然やってきても、すぐ迎えられるように、そして旅立てるように。でも、あの子たちの様子は何かそういう心がけ… [続きを読む]
水の王子・「川も」10 2024年03月07日(木) ミーハー精神 ※ その夜も遅くにふと目をさますと、ツマツとモモソが低い声で楽しそうに寝床の中で何かしゃべっており、ヒルコはハヤオのすぐ横で、世にも幸せそうにぐっすり眠りこけていた。 なぜかその夜は、ハヤオはとりわけ目がさ… [続きを読む]
水の王子・「川も」9 2024年03月07日(木) ミーハー精神 第五章 夜の声 ハヤオの胸のむしゃくしゃは、それから何日たっても一向に治まらなかった。 かりそめにも、どんなかたちででも、好きだと言ってもらったのだから、ちょっとぐらいはうれしくてもいいはずだと思うのに、なぜだかちっと… [続きを読む]
水の王子・「川も」11 2024年03月07日(木) ミーハー精神 第六章 村の子どもたち 季節は秋から冬に移り、村のあちこちに今度は深い紅色の花が咲き乱れた。乾かしてつぶして粉にして餅にしたらおいしいのだと、子どもたちは教えてくれた。彼らがヒルコとハヤオにつきまとうのは、屋敷の客だとい… [続きを読む]
水の王子・「川も」8 2024年03月04日(月) ミーハー精神 ※ ヒルコが何をどう予想していたか知らないが、多分それよりずっと話はかんたんだった。屋敷の主人夫婦は今夜から二人がツマツの家に泊まることにしたと聞いて、残念がったが怒らなかったし、特に引きとめもしなかった。ツマ… [続きを読む]
水の王子・「川も」7 2024年03月02日(土) ミーハー精神 ※ ヒルコが猛烈に怒っているのか、ただ単に面白がっているのかは判断つかなかったから、ハヤオはとりあえず、わら束をたばねる仕事に集中することにした。手を動かして単純作業をしていればいいから、いろいろ考えてみる時… [続きを読む]
水の王子・「川も」6 2024年03月02日(土) ミーハー精神 第四章 とってもかわいい女の子 翌朝もいい天気で、出してもらった朝食もおいしかった。薄紫の細かい花びらを散らしたような銀色がかったかゆが、とりわけ味がよく、ヒルコとハヤオがそう言ってほめると、主人夫婦は満足そうに、「君た… [続きを読む]
水の王子・「川も」5 2024年03月01日(金) ミーハー精神 第三章 一番強いのは誰? 「あら、そう? あたしに言わせれば、二人はとても似ていると思うけど」と言って笑ったのは、ニニギの妻のコノハナサクヤだ。どこかはかない危うげな華やかさがあって、村一番の美女と評判が高い。その一方で… [続きを読む]