水の王子・「川も」11 2024年03月07日(木) ミーハー精神 第六章 村の子どもたち 季節は秋から冬に移り、村のあちこちに今度は深い紅色の花が咲き乱れた。乾かしてつぶして粉にして餅にしたらおいしいのだと、子どもたちは教えてくれた。彼らがヒルコとハヤオにつきまとうのは、屋敷の客だとい… [続きを読む]
水の王子・「川も」8 2024年03月04日(月) ミーハー精神 ※ ヒルコが何をどう予想していたか知らないが、多分それよりずっと話はかんたんだった。屋敷の主人夫婦は今夜から二人がツマツの家に泊まることにしたと聞いて、残念がったが怒らなかったし、特に引きとめもしなかった。ツマ… [続きを読む]
水の王子・「川も」7 2024年03月02日(土) ミーハー精神 ※ ヒルコが猛烈に怒っているのか、ただ単に面白がっているのかは判断つかなかったから、ハヤオはとりあえず、わら束をたばねる仕事に集中することにした。手を動かして単純作業をしていればいいから、いろいろ考えてみる時… [続きを読む]
水の王子・「川も」6 2024年03月02日(土) ミーハー精神 第四章 とってもかわいい女の子 翌朝もいい天気で、出してもらった朝食もおいしかった。薄紫の細かい花びらを散らしたような銀色がかったかゆが、とりわけ味がよく、ヒルコとハヤオがそう言ってほめると、主人夫婦は満足そうに、「君た… [続きを読む]
水の王子・「川も」5 2024年03月01日(金) ミーハー精神 第三章 一番強いのは誰? 「あら、そう? あたしに言わせれば、二人はとても似ていると思うけど」と言って笑ったのは、ニニギの妻のコノハナサクヤだ。どこかはかない危うげな華やかさがあって、村一番の美女と評判が高い。その一方で… [続きを読む]
水の王子・「川も」4 2024年02月29日(木) ミーハー精神 第二章 これまでのこと ヒルコとハヤオは、どちらも十歳か十一歳ぐらいの少年だ。空の上の世界タカマガハラから、イザナギとイザナミ男女二人の神が地上に下りて、この世界を作ったとき、最初と最後に生まれた子だ。 ヒルコはまだ… [続きを読む]
水の王子・「川も」3 2024年02月28日(水) ミーハー精神 ※ ヒルコは「そうだね」と言って、またふとんの中にすべりこんだ。「あのね、キノマタが作ろうとした宮殿は結局しあがらなかったし、見たわけでもないけどさ、何だかこのお屋敷に似てると思わない?」 「見たことないも… [続きを読む]
水の王子・「川も」2 2024年02月28日(水) ミーハー精神 ※ 「めええええ」ハヤオはヒルコにからみつきながら、小声で山羊の鳴きまねをした。 ヒルコは笑って押し返しながら、ささやいた。「まあまあだったね」 「まあまあだって? 上々すぎるじゃないか。夕ごはんをごちそ… [続きを読む]
水の王子・「川も」1 2024年02月26日(月) ミーハー精神 第一章 今夜の宿は 峠の上でハヤオとヒルコはひと休みした。秋晴れのいい天気だった。背後には高く山がそびえ、眼下には色づいた木々が重なっていた。谷の底には村が見えた。昨日二人が旅立って来たと同じぐらいの小さな村だった。 … [続きを読む]
「湖よ」のネタばらし(水の王子覚書21) 2024年02月23日(金) ミーハー精神 というか、制作過程みたいなもん(笑)。 「村に」以後、ナカツクニの村を舞台にしたシリーズをいくつか書いていて、いつからか、この村の滅亡と登場人物たちの最期を書きたい誘惑にかられはじめて困りました。 何かもう、涙なしで… [続きを読む]
「水の王子」シリーズの出版予定(水の王子覚書20) 2024年02月22日(木) ミーハー精神 徒然なるままに、「水の王子」シリーズの今後の出版予定。 一応、「山が」以降は、このブログの「ミーハー精神」の項目にすべて連載していますが、今年中には電子書籍や紙本で出版することが目標です。金も時間も大丈夫なのかな私。ぶる… [続きを読む]
電子書籍発売(水の王子覚書19) 2024年02月19日(月) ミーハー精神 ちょっと遅れましたが、「山が」と「空へ」が合冊でAmazonの電子書籍として出版されました。 ご購入いただければ 大変うれしく存じます。 Amazonとブログに上げた説明文をあげておきますね。 いずれ紙本でも出しますが… [続きを読む]
怒りが書かせた(水の王子覚書18) 2024年02月19日(月) ミーハー精神 「沖と」をものすごい早さで書き上げてしまったのですが、あらためて少しつけ加えると。 そもそも「水の王子」は、「岬まで」でかなりすっきり終われたので、これでいいと思っていたのですが、急にエピローグみたいな感じで、けっこう長… [続きを読む]
水の王子・「湖よ」 2024年02月18日(日) ミーハー精神 (これは、時期的には「渚なら」と同じぐらいで、「岬まで」よりは、かなり前のお話。短いし、のんびりとお楽しみ下さい。) 第一章 とり残されて 深い緑の森の中に、大きな湖はしんと静まりかえっていた。小鳥の声がするだけで、人… [続きを読む]
元歌?のイメージ(水の王子覚書17) 2024年02月17日(土) ミーハー精神 「沖と」が完成しました。我ながらものすごい速さでした(笑)。最後に近いイラストの三人と一匹の姿は、そのまま今の私です。 冗談はさておき、この作品について語りたいことは、本編以上に山ほどあるのですが、しょうもないことから話… [続きを読む]