水の王子・「沖と」11 2024年02月16日(金) ミーハー精神 ※ たしかにまったく、安心するのはまだ早かった。 特に、クシマトがおおえなかった部分にいた人々にとっては。 ものすごい衝撃とともに灯台がゆれ、一瞬かしいで元に戻った。壁をとおして荒々しい水音がひびき、まる… [続きを読む]
水の王子・「沖と」10 2024年02月15日(木) ミーハー精神 第九章 イナヒ イナヒは村の中を走り回っていた。 どの家も、どの家も、がらんとしていて、誰もいない。 道にも畑にも、見渡す限り、人や生きものの姿はない。 いったい何が起こっているのか、イナヒにはさっぱりわからなかっ… [続きを読む]
あわただしくご紹介(水の王子覚書16) 2024年02月14日(水) ミーハー精神 じ、実は「沖と」はラストまでもう原稿の下書きはできてるんです。ただアップする暇がない。もしこの数日、私に何かあったら、パソコン横の机の上の手書きの原稿をどなたか清書して下さいませ(笑)。あっ、ラストの部分はあまりにも訂正… [続きを読む]
水の王子・「沖と」9 2024年02月14日(水) ミーハー精神 第八章 タカヒコ(続き) 頭の中が完全に空白になった。シナツヒコはまるで少年のようにあえいだ。 「そんな、そんなことって、聞いたことないぞ!」 「ごくたまにあるんでさ」古参兵士の一人が青ざめて告げた。「じいさまから聞… [続きを読む]
水の王子・「沖と」8 2024年02月14日(水) ミーハー精神 第八章 タカヒコ 洞窟の入り口がふさがったとき、他の大勢といっしょに外側の草地にころがり落ちたオオクニヌシは起き直るが早いか、兄のツドヘにかけよった。「兄上、大丈夫か?」 「何が起こったんだ?」ツドヘは見えない目を見張… [続きを読む]
水の王子・「沖と」7 2024年02月13日(火) ミーハー精神 第七章 ハヤアキツ 「はかどりませんねえ」ヌナカワヒメがため息をついた。 「こうも、どの薬もきかんとはな」スクナビコも珍しく、少しあせっているようで、声はきげんが悪かった。 「こうなってはひたすらもう、人手を使って木… [続きを読む]
水の王子・「沖と」6 2024年02月12日(月) ミーハー精神 第六章 コノハナサクヤ 多分、自分が年をとって、おばあさんになって死ぬまで、この日のことはずっと覚えているだろうと、小さいククリヒメは思った。朝まだ、ごはんも食べてない内に父と母からあわただしく起こされて、着替えさせられ… [続きを読む]
こんなこともある(水の王子覚書15) 2024年02月09日(金) ミーハー精神 今日は(昨日か)久しぶりに町に行って、レストランで数時間ねばって「沖と」の第六章を書き上げたのですが、なーんか気に食わず、結局全部ボツにしました。まあ、書き直しの構想は浮かんでいるので、多分うまく行くでしょう。 このホー… [続きを読む]
とにかく書けてしまうのよ(水の王子覚書14) 2024年02月07日(水) ミーハー精神 あのまた、大急ぎでお断りしておきますと皆さま、日本神話のどこにも、ツクヨミとイワナガヒメが夫婦になったなんて話は、もうかけらもありませんからっっっ! ただ、イワナガヒメは「永遠の命」を与える力を持ってることになってますか… [続きを読む]
水の王子・「沖と」5 2024年02月06日(火) ミーハー精神 第五章 ツクヨミ 木々の枝を押しわけながら、タカマガハラの船が地上に着き、かぐわしい花や草や水の香りが一気に濃く甲板を包んだ。下ろされたはしごを伝って最初に乗りこんできた村人は、もともとタカマガハラの戦士だったアメノサグ… [続きを読む]
水の王子・「沖と」4 2024年02月05日(月) ミーハー精神 第四章 シナツヒコ シナツヒコはタカマガハラの戦士として一応の訓練は受けていたし、中程度の船なら指揮官をつとめたこともあった。しかしここ何年かはヨモツクニとの戦いも終わり、地上も一応平穏だったから、船に乗り組むこともなく… [続きを読む]
とっとりあえずアメノヌボコは(水の王子覚書13) 2024年02月01日(木) ミーハー精神 「沖と」から読み始めた方もいらっしゃるかと思いますので、いくつかご案内を。というか弁解を。 日本神話特に古事記上巻をモチーフにしていますが、もはや奇想天外を通り越しているかもしれないファンタジーですので、ゆめゆめ本当の神… [続きを読む]
水の王子・「沖と」3 2024年02月01日(木) ミーハー精神 第三章 イザナミ イザナミは、まちがっていた。 クシマトは黒々と目の前にそびえ立つ波の壁を見て動きをとめたわけではない。 そんなものに彼らは恐怖も興味も特に感じはしなかった。めったに見ない、珍しいものがあると漠然と意… [続きを読む]
水の王子・「沖と」2 2024年01月29日(月) ミーハー精神 第二章 アマテラス ほとんど同時に三人は目をさましたらしかった。 空に届くかと思われるほど、高い山々が重なり合った崖の間の、こじんまりした神殿で、アマテラスが寝台に起き直って耳をすましていると、隣り合う父母の部屋から物… [続きを読む]
あー、びっくりした!(水の王子覚書12) 2024年01月29日(月) ミーハー精神 まったく、何ということだ。 今朝、ぼんやりと机の上を片づけていたら、いきなりもう、「沖と」の冒頭が書きたくてしかたがなくなった。ノートも紙もボールペンも、外出用のバッグに突っこんでいて、部屋の反対側にしかない。十歩も歩… [続きを読む]