(94)がたがたの小引き出し 2019年08月12日(月) 断捨離狂騒曲 田舎の家は、もう売却してしまったのだが、買ってくれた友人が、敷地内の物置を私に使わせてくれているので、ときどき行って、書棚の本を読みながらソファで羽を伸ばしている。古い週刊誌や漫画、文学全集などがあって、けっこう楽しめる… [続きを読む]
(93)木馬のバスマット 2019年08月06日(火) 断捨離狂騒曲 絶対ものは増やすまいと思っていても、ついうかうかと、買ってしまうものがある。 この小さめのバスマットを、私はどこで買ったのかよく覚えていない。今はもうなくなった福岡の新天町のフランスの雑貨をおいている店か、博多駅のアミュ… [続きを読む]
(90)どこかに仲間がいるんだね 2019年08月06日(火) 断捨離狂騒曲 以前、母がまだ田舎の家で一人暮らしをしていたころ、ヘルパーさんのお世話になっていた。大変ありがたかったのだが、ちょっとお洒落で風変わりなものがあると、たとえば床においてモップなどを立てておく、白い金属のスタンドを、なぜか… [続きを読む]
(89)猫部屋の風景 2019年08月02日(金) 断捨離狂騒曲 現在わが家にいる猫は、長毛種っぽいアメショー柄のカツジと、ロシアンブルー風の灰色猫のグレイスと、大柄でどこやら洋猫風の白黒猫マキの三匹だ。カツジは牡でそろそろ十歳、あとの二匹は雌でともに十八歳になる。おばあさん猫たちは去… [続きを読む]
(92)羊と豚と猫たちと 2019年08月01日(木) 断捨離狂騒曲 断捨離をする人にとって、欠かせないのはバザーやフリーマーケットだろう。私もたびたび利用して、いろんなものをわんさか出した。出したもののほとんどは覚えていないが、多分外国製らしい、かなり大きな陶器のオルゴールは記憶に残って… [続きを読む]
(91)板坂文書 2019年08月01日(木) 断捨離狂騒曲 十数年の年月をかけて、叔母のマンションと田舎の家、最終的にそこからわが家に集まってきた荷物の片づけに忙殺されていて、それでも、食器、洋服、雑貨などなど、ようやくある程度はトンネルの出口が見えてきて(まだそこかい)、井戸に… [続きを読む]
(88)あらゆるものには歴史がある 2019年07月31日(水) 断捨離狂騒曲 田舎の家に、たくさんの座布団があって、一度それでふとんでも作ろうかと思ったのだが、何度かこれまで、ふとんの打ち直しなどを頼んだ、近くの寝具店の人は、「座布団の綿はあまりよくないので、同じ座布団ならいいが、ふとんにはしない… [続きを読む]
(87)どこで拾って来たんだよ 2019年07月31日(水) 断捨離狂騒曲 専門の研究が江戸時代の紀行文学なのに、私はあまり旅をしない。嫌いではないが、時間がない。でも、本当に旅が好きならそんなのは何とかするはずで、やはりどちらかと言うと旅よりも家にいる方が好きなのだろう。幼い時に本を読んで空想… [続きを読む]
(86)カトラリー集団 2019年07月31日(水) 断捨離狂騒曲 高三のころ、受験勉強の虚しさに頭に来て、週刊朝日の読書欄にヤケ半分の投書をした。そうしたら、多分百通にあまる、さまざまな方からのお手紙をいただき、その中の何人かとは、それからもかなり長い間の文通をした。 当時の私は、その… [続きを読む]
(85)作者は誰? 2019年07月20日(土) 断捨離狂騒曲 母の死後しばらくたってからだったと思うが、従姉が私の家に来て、二人で荷物を片づけていたとき、古びた画用紙に描かれた数枚の絵が出てきた。ユリの花や小屋のような建物、野菜やつぼなどの静物などいろいろで、はしっこには、母の数年… [続きを読む]
(84)ほれなおして、さようなら 2019年07月15日(月) 断捨離狂騒曲 十五年以上にわたる片づけ生活の中で、人にさしあげたものもたくさんある。 基本的に私は自分の手を離れた段階で、そのものへの感情移入をなくし、どうなったって気にはしないことにしている。 だから、ここに書くこともないのだが、こ… [続きを読む]
(83)ミルクの思い出 2019年07月08日(月) 断捨離狂騒曲 ヘタレな私 マンションで猫二匹を飼っている若い同僚が、ほとんど使ってないか未使用だったかの、猫のトイレをいりませんかと聞いてきたことがある。何でも、ダンボールを使用するか何かの画期的なトイレ処理方法を発見したらしかった。… [続きを読む]
(82)トイレの日金山 2019年07月05日(金) 断捨離狂騒曲 昔のトイレ 子どものころの田舎の家のトイレは、当然ながら汲み取り式で、入っていると、下の汲み取り口が開いて光がさし、祖母ががたごとと長いひしゃくを突っこんで、大小便をさらって桶に汲みながら、「ようこちゃん?」と声をかけた… [続きを読む]
(81)テレビが見つかる 2019年06月25日(火) 断捨離狂騒曲 東日本大震災のニュースを初めて聞いたのは、白内障の手術をした母を連れて病院から帰るタクシーの中のカーラジオだった。まだその時は、被害のニュースが入っていなくて、私は運転手さんと「そんな大きな地震だったのに、死者が出ないの… [続きを読む]
(80)誰かとめてよ 2019年04月13日(土) 断捨離狂騒曲 卒論指導を担当する学生たちの集まる、いわゆる「ゼミ」を、私のいた大学では「ルーム」と呼ぶ。各先生の専門分野や人柄によって、それぞれのルームの雰囲気には特徴があった。ある年かさの温厚な先生と私のルームは、どちらも人数が多く… [続きを読む]