「水の王子」通信(143) 2023年02月09日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」第三十六回 【青い木のある家で】 「どうしたんだ?」コトシロヌシは少し驚きながらそう言って、扉を大きく押し開けた。「まあ入って」 タカヒコネは元気ない足どりで入って来て、「泊めてくれるか?」といきな… [続きを読む]
『大才子・小津久足』感想(21) 2023年02月09日(木) 日記 【最初にお知らせ】 少し前ですが、この本に対する川平敏文氏の書評です。以前の飯倉洋一氏のと同様、私のようなちゃらんぽらんじゃなく、きっちりと要点を押さえた、格調高い批評なので、ぜひごらんになって下さい。3月末には読書会も… [続きを読む]
『大才子・小津久足』感想(20) 2023年02月08日(水) 日記 【失われた風景】 江戸時代の美化・理想化について、もう少し。 前にあげた、私の最初の本『江戸を歩く』の中には、当時カルチャーセンターで話した内容もいくつかある。一般向きの話だから手抜きをしたと思われたら心外だから念を押… [続きを読む]
昔の書き初め、昔の童話 2023年02月07日(火) 日記 上の家はあいかわらず散らかりまくっているのだが、いつもやりはじめた片づけを頓挫させるのが、叔父(板坂元)や叔母の子どものころの書き初めらしい、半ば手作りのぼろぼろの軸で、どう考えてもまともな人なら即処分するゴミでしかない… [続きを読む]
そろそろ春が 2023年02月06日(月) 日記 プーチンと岸田の言うことすることを見ていると、大いに問題のあることを問題にさせないために、新たな問題を作るという作戦に出ているんじゃないかとマジで思い始めてます。 まあ、その話はまたゆっくりと。 お金はないけど、せいぜ… [続きを読む]
「水の王子」通信(142) 2023年02月06日(月) ミーハー精神 「水の王子 山が」第三十五回 【息子と娘】 はじかれたようにふり向いた三人に、歯のない口で笑いかけて、スクナビコはよたよたと、かたわらの椅子に腰を下ろした。 「だってそりゃ、無理もないでしょう?」タカヒコネは言い返し… [続きを読む]
「水の王子」通信(141) 2023年02月05日(日) ミーハー精神 「水の王子 山が」第三十三回 【家族の事情】 オオクニヌシが目を見はったのも無理はない。緊張し、ほおをかすかに染めたスセリはいつにも増して若々しく、ほとんど少女のように見えたのだから。 「オオクニヌシ」と呼びかけたそ… [続きを読む]
『大才子・小津久足』感想(19) 2023年02月04日(土) 日記 【敵はいずこに】 渡辺京二氏『逝きし世の面影』は、幕末に日本を訪れた外国人の旅行記類から、当時の日本の人々の生活や文化を評価し賞賛している記事を紹介して、今では失われてしまったよき時代を回想しようとしているもので、江戸時… [続きを読む]
息が苦しくなる 2023年02月04日(土) 日記 こんなことを言わせておくのか。 何から何まで、最低だ。 LGBTQなど性的少数者や同性婚のあり方を巡り、経済産業省出身の荒井勝喜首相秘書官が3日夜、記者団の取材に「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」… [続きを読む]
『大才子・小津久足』感想(18) 2023年02月03日(金) 日記 【私には江戸時代はわからない】 まずは、江戸時代について。 この第五章の最後すなわちこの本のしめくくりに、菱岡君は私たちがどのように江戸時代と触れ合っていくかについて述べている。 現代の感覚を基準にして見るのではなく、… [続きを読む]
『大才子・小津久足』感想(17) 2023年02月02日(木) 日記 毒を食らわば皿までも いよいよ終章である。 本全体のキャッチコピーなどにもなっている、主として四つの名を使い分けた小津久足の、そのように名乗っていた理由を説明して、それがすなわち江戸時代を理解する大きなカギにもなるのだ… [続きを読む]
「水の王子」通信(140) 2023年02月02日(木) ミーハー精神 「水の王子 山が」第三十二回 【スセリの決心】 けものの、ぴんと立てた大きなふさふさのしっぽの毛が、あるかなきかの風にそよいだ。なぜか今日は、けものはうならなかった。タカヒコネの足の回りを、子細らしい、もったいぶった様… [続きを読む]
「水の王子」通信(139) 2023年02月01日(水) ミーハー精神 「水の王子 山が」第三十一回 【月が満ちる前に】 先ほどまでの、全身にはりつめていた力はもう失せて、すくみあがったように動けずにいるタカヒコネから、ツクヨミはふっと目をそらして顔を上げた。かすかに笑って彼は身体も起こし… [続きを読む]
「水の王子」通信(138) 2023年01月31日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」第三十回 【真実の悪を求めて】 いつの間にかうなだれているタカヒコネを見つめるツクヨミの目が、すごみを帯びて青く光った。 「聞け」彼は静かに言った。「せっかくおまえが大切な秘密を教えてくれたんだから… [続きを読む]
「水の王子」通信(137) 2023年01月31日(火) ミーハー精神 「水の王子 山が」第二十九回 【消された未来】 タカヒコネは顔色ひとつ変えなかった。黙って湖面を見つめていた。ただ舟べりを握った手に力がこもって、指の節が白くなった。 ツクヨミはそれを見ていた。「おやおや」と彼はから… [続きを読む]