第五章　夜の声 ハヤオの胸のむしゃくしゃは、それから何日たっても一向に治まらなかった。 　かりそめにも、どんなかたちででも、好きだと言ってもらったのだから、ちょっとぐらいはうれしくてもいいはずだと思うのに、なぜだかちっと…

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確定申告の準備やらクリーニング出しやら、目がくるくる回るほど忙しいんですが、その間に横目ならぬ横耳で聞いたテレビのニュースに、どうでもいいいちゃもんをつけたくなる。 最近大谷周平選手やその他のメジャーの日本人選手に、変に…

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第六章　村の子どもたち 季節は秋から冬に移り、村のあちこちに今度は深い紅色の花が咲き乱れた。乾かしてつぶして粉にして餅にしたらおいしいのだと、子どもたちは教えてくれた。彼らがヒルコとハヤオにつきまとうのは、屋敷の客だとい…

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私の住む福岡県宗像市の市議会には共産党の議員が三名いらしたが、病気で亡くなられたりして今は確か二名だ。いつも熱心にまじめに活躍しておられる。その一人しんどめさんは、いつも市議会のニュースや身辺の出来事をチラシのニュースで…

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いやもう、いくら何でも目に余るだろ。今度はスマホのマイナカードとの紐つけという、国民の反対が多いに決まってる、しかも重要法案を閣議決定で決めたらしい。この間から政府はこうやって、国会で数年かかって議論するべき法案をばさば…

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　　　　※ 　ヒルコが何をどう予想していたか知らないが、多分それよりずっと話はかんたんだった。屋敷の主人夫婦は今夜から二人がツマツの家に泊まることにしたと聞いて、残念がったが怒らなかったし、特に引きとめもしなかった。ツマ…

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　　　　　※ 　ヒルコが猛烈に怒っているのか、ただ単に面白がっているのかは判断つかなかったから、ハヤオはとりあえず、わら束をたばねる仕事に集中することにした。手を動かして単純作業をしていればいいから、いろいろ考えてみる時…

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愛猫キャラメルが白血病で亡くなってから、もう二十四年。毎年お供えをして、お墓をきれいにしていますが、記憶している限り、雨模様や曇っていたのは数日もなく、前後はかげっていても、彼の亡くなった時間になると、きっと、さんさんと…

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みなさん、おはようございます かいぬしは、けさは、くらいうちからおきて、 ぼくのだいせんぱい、「きゃらめる」さんのめいにちようの、 「かわはぎ」をなべでにて、うえのいえのぶつだんに、おそなえにいきました。 そのあとで、「…

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第四章　とってもかわいい女の子 翌朝もいい天気で、出してもらった朝食もおいしかった。薄紫の細かい花びらを散らしたような銀色がかったかゆが、とりわけ味がよく、ヒルコとハヤオがそう言ってほめると、主人夫婦は満足そうに、「君た…

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少し前に検査で甲状腺に腫瘍があると言われた。これはもうずっと前からしょっちゅう人間ドックで指摘されていたのだが、ここ数年定期検査をサボっていた。まあ大丈夫とは思ったが精密検査を受けて、その結果が月末にわかって、一応良性で…

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第三章　一番強いのは誰？ 「あら、そう？　あたしに言わせれば、二人はとても似ていると思うけど」と言って笑ったのは、ニニギの妻のコノハナサクヤだ。どこかはかない危うげな華やかさがあって、村一番の美女と評判が高い。その一方で…

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みなさん、こんばんわ うしろに、かいぬしの、あしがかたっぽうつってるけど、ごめんな。 「このかお、いいやん」と、かいぬしが、いうもんだからさ。 ぼくの、だいせんぱいの「きゃらめる」さんのめいにちが、ちかいです。 　かいぬ…

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年甲斐もなく、あちこち走り回りすぎて、なんか疲れがたまってる感じ。しばらくゆっくり寝て暮らそう、と思いながら、今日は久々に街にカットに行く。ひと月、行くのをさぼったので、けっこうもしゃもしゃになってたのを春らしくすっきり…

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第二章　これまでのこと  ヒルコとハヤオは、どちらも十歳か十一歳ぐらいの少年だ。空の上の世界タカマガハラから、イザナギとイザナミ男女二人の神が地上に下りて、この世界を作ったとき、最初と最後に生まれた子だ。 　ヒルコはまだ…

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