水の王子・「岬まで」1 2023年12月23日(土) ミーハー精神 だいぶお休みしましたが、ぼちぼちと書きためていたのを出して行きます。 前に連載していた「渚なら」に続きます。 まあ、前のこと知らないで、これだけで読んでも楽しめますけど、多分(笑)。 イラストも久しぶりに描いたら、何だ… [続きを読む]
好きな本、きらいな本、読んでほしい本 2023年11月27日(月) ミーハー精神 (授業で学生から「おすすめの本を教えて」という要望があった。 それでちょっと書いてみたら、あまりにも多すぎた。 一応書名を羅列しますが、おすすめの理由や感想など追加し、グループ分けをするなど、半永久的に更新しつづけます… [続きを読む]
新しいロゴ 2023年09月16日(土) ミーハー精神 使うかどうかわかりませんが、鳩時計文庫のロゴをもう一つ作ってみました。 紙本のページ数が少なくて、背表紙が狭くなった時のためのスリムバージョンです(笑)。 ボツにするかもしれないので、一応ご紹介しておきます。 次の続… [続きを読む]
「水の王子」紙本について 2023年09月13日(水) ミーハー精神 「水の王子」紙本を手にして下さったあなたへ 小さい時から小説を書いていた。と言っても断片で、誰にも見せずに書いてすぐ破棄していた。中学生のころ、授業中に教科書の両側の余白にせっせと小説を書いて、授… [続きを読む]
オオクニヌシの兄弟 2023年09月13日(水) ミーハー精神 「水の王子」の第五部を書き上げたときは、「これでやっと縁を切れる」と思っていたのがとんでもない、どんどん続編が生まれてしまって、話が展開しっぱなし。 思いがけないのは、四十年前最初に書いた第三部では、重要だけれど地味な脇… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」18 2023年09月02日(土) ミーハー精神 第十一話・渚なら その昔、この沼にはクマノクスビ、アマツヒコネ、イクツヒコネという名の三人の兄弟が住んでいたという。本当の兄弟だったか、ただの仲間だったのかはわからない。彼らは、かつて草原を荒していて、タカマガハラのスサ… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」17 2023年09月01日(金) ミーハー精神 第十話・溶けない氷(下) サルタヒコは首をかしげて、目をこらした。 「こりゃ何じゃ? ヌナカワヒメ」 「あなたはあちこち、遠くの港にも行くから、ひょっとして似たものでも見たことはない?」 「いや、ないな。何じゃこれ… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」16 2023年09月01日(金) ミーハー精神 第十話・溶けない氷(上) 「多分、これでもう大丈夫」ヌナカワヒメは、若い船乗りの足の副え木と包帯をたしかめ直して保障した。「ひと月とたたない内に、また船に戻れるようになりますよ」 まだ子どものような船乗りは目を輝かせた… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」15 2023年08月30日(水) ミーハー精神 第九話・兄たち(下) 昼すぎてもまだミズハは、タカヒコネの部屋にいた。寝台の横の床に座って、せっせと布で何かをみがいていた。 「それ何?」寝台の上からタカヒコネが聞いた。 「あれ、起きたの?」ミズハはふり向いた。「ご… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」14 2023年08月30日(水) ミーハー精神 第九話・兄たち(上) 「あなた、赤とんぼが飛んでるわ」湖を見下ろす縁側の手すりによりかかって、洗ったざるを乾かしていたスセリが声をあげた。「夏もそろそろ終わりなのですね」 「この冬の寒さがあまり厳しくないといいがな」火… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」13 2023年08月18日(金) ミーハー精神 第八話・困った人ね(下) 「それでおれ、何か落ちこんじゃってさ」タカヒコネは吐息をついた。 「何が? 何に?」 「あのミズハに、困った人ね、と言われたんだぞ。あの、村じゅうのやっかい者の、何も考えてないいたずら好きの… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」12 2023年08月18日(金) ミーハー精神 第八話・困った人ね(上) 「おじさんさ」ミズハが聞いた。「人をたくさん殺したの?」 「うん」タカヒコネはうなずいた。 「どのくらいたくさん?」 金色の髪の愛らしいミズハは、この村に来てまだ数ヶ月。元気いっぱいの十歳… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」11 2023年08月12日(土) ミーハー精神 第七話・夏の雲 今日も父は母をつれて、山登りに出かけた。 この住まいがすでに山の上だと言うのに。 弁当の包みと水を入れた竹筒を持って、嬉々として母とともに山を登って行く父の姿はほほえましい。 夕方まで帰らないだろう… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」10 2023年08月12日(土) ミーハー精神 第六話・千客万来 私は砂をしきつめた階段を上った。かつて数えきれないほど上り下りした、青い石をちりばめた、はばの広い階段だ。目の前に大きな茶色の船がある。船腹にあとからつけた白っぽい流木の扉がすぐ前にある。 何ヶ月ぶり… [続きを読む]
水の王子・短編集「渚なら」9 2023年08月11日(金) ミーハー精神 第五話・飛べない舟(下) オオクニヌシとスセリが、にぎりめしと果物を入れたかごを持ってやって来たとき、イナヒはつまらなそうに砂浜の上にねそべって、重ねた前足の上にあごをのせており、タカヒコネとミズハは夢中で砂の上に木の枝… [続きを読む]