(52)満を持して。 2018年06月29日(金) 断捨離狂騒曲 イマンという名は、アフリカのどこかの、昔の女王の名前らしい。行きつけの雑貨屋が十年ほど前に、きれいな花模様のホーローの鍋や食器を取り扱っていて、そこのメーカーの名前の由来を、そのように説明してくれた。「この由来がまたいい… [続きを読む]
(51)天国が多すぎる 2018年06月19日(火) 断捨離狂騒曲 私が今住んでいる二軒の家の古い方は、かれこれ四十年近く前に、ここに仕事が決まって引っ越してきてから、しばらくして買ったものだ。それまで数か月は、近くの一軒家を借りていて、ここもなかなかいい家だった。すぐ近くなのに、道から… [続きを読む]
(50)夏よ来い 2018年06月17日(日) 断捨離狂騒曲 夏の飲み物でいつも困っていた。 梅雨から盛夏にかけては、けっこう微妙な天候が続く。真夏日かと思えば変にうすら寒かったりして。 むし暑い夜、何でもいいから冷たいスカッとしたものがほしいと思って、見つからないのはつらいものだ… [続きを読む]
(49)定規まみれ 2018年06月05日(火) 断捨離狂騒曲 江戸時代の古い文献を見に、各地の文庫や図書館を回っていると、欠かせないのが書物の大きさを測るものさしだ。メジャーでもいいのだろうが、本をいためることもありそうで、私は自分の先生たちに教えられた通り、古臭い木のものさしを使… [続きを読む]
(48)叔母のコイン 2018年06月04日(月) 断捨離狂騒曲 猫と犬の命日は忘れないのに、叔母の命日を忘れてしまった。 叔母は五月のとてもいい季節に亡くなった。三回忌や七回忌で、墓のある四国のお寺に従姉と二人で行くたびに、美しい新緑の中をタクシーで走りながら、二人で叔母に感謝する。… [続きを読む]
(47)目と耳 2018年05月27日(日) 断捨離狂騒曲 小学校の図書室は、玄関の横にあって教室ひとつ分もない狭さだったが、私はそこで、家にあった講談社世界文学全集には欠けていた「ロビン・フッドの冒険」とめぐりあった。中学校の図書室はそれよりだいぶ広くて二階にあり、窓が多くて明… [続きを読む]
(46)ランドセル 2018年05月26日(土) 断捨離狂騒曲 (小学校・ランドセル・裏切り) 六年間つきあった 現在の私は二軒の家で暮らしている。その古い方の家の二階は、建て増し分で一部屋しかない。ここ数年はそこをまるごとクローゼットにして、洋服をぎっしりかけている。 その一隅に、… [続きを読む]
(45)夜が好き 2018年05月25日(金) 断捨離狂騒曲 (地方選挙・明治女・井上靖) 当分死ねない 祖母は九十二歳で死んだ。一昨年、母が九十八歳で亡くなるまでは、私の知っている家族の中では最長不倒記録だった。 亡くなる十数年前に、夫である祖父が亡くなり、その翌年だったかに引き… [続きを読む]
(44)残された手帳 2018年05月25日(金) 断捨離狂騒曲 私が小学校高学年のころだったと思うが、家の横に離れを作った。二部屋のうちの一つを私の部屋にするというので喜んだが、できてみたら、奥の部屋が祖父の書斎で、私の部屋はその手前で、ガラスのはまった板戸で区切られているだけだった… [続きを読む]
(43)合わせ技 2018年05月24日(木) 断捨離狂騒曲 私の住む宗像市は、博多と小倉のほぼ中間にある。 聞く人が腹を立てるようなややこしい話をすると、JRの駅には宗像も福岡も北九州もない。かわりに、赤間と博多と小倉がある。地元では、宗像という名の駅がほしいとか、いろいろな声が… [続きを読む]
(42)祖父に来た賀状 2018年02月20日(火) 断捨離狂騒曲 この年になると、年に一度の人間ドックで、わりとあちこち「精密検査を受けて下さい」という項目が見つかる。数年前には首筋の血管が細くなってきていると言われて、何度か定期的にチェックした。それがどうやら大丈夫ということになった… [続きを読む]
(41)落ちてもいいもの 2018年02月20日(火) 断捨離狂騒曲 ひとつまちがうと、ひどいことになるかもしれないので、あまりお勧めはできないのだが、安くて簡単なインテリアとして、私がよくやるのは、きれいな小さめの紙袋を、そのまま画びょうで壁にとめて、それにフェイクの花や草、ドライフラワ… [続きを読む]
(40)自然にできた洗い桶 2018年02月11日(日) 断捨離狂騒曲 「うちには、ふきんというものがないのよ」と言った友人がいる。ガーデニング命の家事万能で、料理も好きで上手な人だ。 私は家事などまったくわからない人間なので、驚きもしないで、ふうんと聞いていた。 「食器などは皆、自然乾燥に… [続きを読む]
(39)かつこつ 2018年02月08日(木) 断捨離狂騒曲 私はふだんは我ながらびしばしと買い物をし、余計な感傷にはひたらない。しょうもないものを買う時でも、目標と基準ははっきりしているので迷わない。 ただ、一年に一度か二度は、何だかぽわんとした気分で買い物に行くことがある。去年… [続きを読む]
(38)海老と三宝 2018年02月05日(月) 断捨離狂騒曲 子どものときに大きいと思って見たものも、成長してから見ると案外小さかった、という話はよく聞いたり読んだりする。 だが、がらくたの中から出てきた木製の三宝は、私の記憶よりもむしろ大きかった。 私が育った田舎の家は、玄関を入… [続きを読む]