九条の会関係この夏が残したもの(九条の会10月チラシ)

(定例会資料と重なる部分もありますが、配布用のビラです。一部でも全部でも、どうぞご自由にお使い下さい。)

日に日に秋が深まっています。さまざまな夏の思い出の中に、国会前や全国で激しくくり返された戦争法案反対の抗議行動を刻んでいる方々もきっと多いでしょう。博多座での公演の合間にフェイスブックで「人々の声は届かないのか。日本が平和で民主主義の国でありますよう」と書いた歌手の石川さゆりさん、人々の声を無視して法案が通ったことを「空しい」と毎日新聞のエッセイで嘆いた脚本家の倉本聰さんのように、不安や無力感を抱いている人も少なくないと思います。

けれど、私は何よりも、これだけ多くの人をまきこんだ大きな反対運動が、どちらの側にも一人の死者も出さなかったことに驚き感動しています。採決直前の終盤の時期には国会前の警官隊の警備の厳重さは見ていて恐ろしいほどでした。福岡でもデモに向かって攻撃的な態度をとる人も、その頃には時にいました。もちろん抗議する人たちの怒りも、これ以上はないほど高まっていました。それにもかかわらず、若者たちはどこまでも冷静で警官隊へも温かい優しい目を失っていませんでした。高齢者やママさん、初めてのデモの参加者も決して我を忘れることなく、日常の延長のように自然に抗議の声をあげていました。

かつて60年安保闘争は、女子学生樺美智子さんの死という衝撃的な出来事から激しさを増し、最後は岸信介首相が右翼に刺される事件が起こりました。その後の基地をめぐる闘争では警官隊に死者も出ました。その時以上の政府の暴走と民主主義の破壊、それに対する全国の広範な人々の怒りの強さにもかかわらず、今回のこの戦いは、誰の血にも汚されることなく、死者や犠牲者によって盛り上がる悲しさを一度も持ちませんでした。
これこそが、戦後70年の平和が築いた私たちの社会の見せた底力でなくて何でしょう。だからこそ、この戦いにははかりしれない大きな未来があります。

ここ宗像でも、9条の会だけでなく、さまざまな政党や団体が初めて協力して2回の抗議集会を行い、毎回200から300人が参加しました。そのつながりは今も続き、11月29日には再び戦争法廃止に向けての学習会を企画しています。10月4日の9条の会の「つどい」にも、これらの新しい顔ぶれの方々が参加して、今後の国や私たちの方向について活発な討論が交わされました。
街の中でも、いろんな店や通りで思いがけない方々から、「何かしなくては」「どうしたらいいのか」などと話しかけられることが増えています。国全体でもこの街でも何かが大きく変わろうとしています。私たちは今、反対の立場の人や関心がないという人とも積極的に話し合い、この宗像で何ができるのかを皆さんとともに考え、行動していきたいと思います。

(2015.10.9.)
むなかた九条の会代表世話人 板坂耀子(福岡教育大学名誉教授)

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