九条の会関係戦争への扉と、新しい力(2015年1月配布予定のチラシ)
あけましておめでとうございます。
昨年暮れの総選挙の結果についての反応は、私の回りの人たちの中でもさまざまでした。
「自民党が大勝らしいと聞いて、もう戦争への道しかないと絶望していたが、結果を見れば自民党は議席を減らし、第三極の各党が後退して次世代の党は壊滅した。改憲に慎重な公明党と民主党が議席を増やし、憲法を守るという立場を明確にした共産党が大躍進、社民党も議席を維持して、心からほっとした。そして沖縄では自民党が全敗、基地反対の連帯が完全に勝利した。新しい時代が始まろうとしている」と心から喜んでいる人もたくさんいます。
しかし多くの新聞やラジオは、この明らかな議席数を無視して「自民の圧勝」と報道しました。そして安部首相は「国民から支持された」と言って、憲法を変え原発を再稼働し沖縄の基地を作ることを強行しようとしています。
その雰囲気にのまれたように、「自公が安定多数を維持して、何も変わりませんでしたねえ」と嘆く人もいます。
私は選挙期間中にテレビで何度か首相の政見放送を見ました。経済政策について「支持して下さい」とくりかえすだけで、憲法のケの字も原発のゲの字も基地のキの字も首相はまったく口にしませんでした。
増えてもいない議席で「大勝」と言い、訴えてもいない政策を「支持された」という、いつもながらの首相の手法を見逃さず、現実をしっかりと見て、危機感は抱いても無気力にはならないでいましょう。
日本が戦争に向かう扉はまだ開いています。しかし、それを拒む新しい力もまた生まれています。
映画「羊たちの沈黙」のヒロイン、FBI捜査官のクラリスは、幼い日に目撃した殺される子羊たちの悲鳴の記憶に苦しみつつ、弱い者をさいなむ犯人の追跡と捜査にうちこみます。沖縄で福島で世界各地で、そして身近で存在する人々の苦しみに目をむけ耳をかたむけるのは、楽なことではありません。しかし、日本の政治が、明らかにそれを無視して進んでいる今、私たちはどんなに微力でもそれを受けとめて苦しむことから、私たちの平和を築いて行きたいと思います。
本年もどうぞよろしくご支援とご協力をお願いいたします。
むなかた九条の会世話人代表 板坂耀子(福岡教育大学名誉教授)