九条の会関係危険な内閣
安倍内閣は、とても危険な内閣です。憲法九条を変えようとしているからではありません。原発を再稼働させようとしているからではありません。秘密保護法を作り上げようとしているからではありません。
九条やTPPや原発や秘密保護法について、どんな意見を持っている相手でも、互いに自分の考えや信念を真剣に訴えて議論できるなら、妥協点や解決策を見つけられるでしょう。
ところが安倍内閣は首相をはじめとして、自分たちが最も望んでいることについて決して説明しようとしません。相手を説得しようともしません。これが大事と思うことほど徹底して議論をさけます。
それが最もよく示されたのが今回の強行採決でした。
「時間をかけて話し合えばきっとわかってもらえる」という自信が少しでもあれば、著名なジャーナリスト、芸術家や知識人をはじめとした、国民の8割近くが「もっと慎重な審議を」と望んだ法案を、こんなに急いで成立させようとはしないでしょう。
強行採決をやめてくれと求める国民のデモを石破幹事長はテロ呼ばわりしました。法案の内容や審議のあり方に懸念を示した国連の人権高等弁務官に城内外交部会長は激怒して謝罪を要求すべきと言いました。安倍首相は衆院の採決直前に一時退席しました。自分たちの考えや法案の必要性をわかってもらおうとする姿勢は、それらのどこにも、まったく見られませんでした。
選挙で多数の議席を得たことを彼らは最大限に利用しますが、本当に国民の大多数に支持されており、自分たちはそれに値すると思っている政治家は、こんな態度はとりません。
安倍内閣が最も危険なのは、彼らに自信がないことです。国民にも世界にもわかってもらえるという自信を持てないでいることです。自分たちの政策が正しいという自信もなく、誇りを持って訴えることもできないでいることです。
どんな時代でも、どんな場所でも、国民を信じられず、自分たちも信じられない、心の弱い指導者の集団は、どんどん臆病になり、凶暴になります。いずれ見抜かれる、そして見限られるという恐れしかない彼らは、これからますます、さまざまなことを隠し、それを知られないためにあらゆる手をつくすでしょう。
秘密保護法は一年以内に施行される予定です。多くの人が指摘するように、この法案は不完全で未完成で、とてもこのまま使えるしろものではありません。だからこそ、これから具体的な整備がなされて行く中で、私たちはしっかりとその過程を見守り、この法案の実態を見極め、決して悪用されないようにしなければなりません。
「むなかた九条の会」は、この法案が憲法や九条と深くかかわるものととらえており、早急にこの法案について勉強し、話し合う場を作りたいと思っています。どうか皆さんのご意見やアイディアをお寄せ下さい。
むなかた九条の会世話人代表 板坂耀子(福岡教育大学名誉教授)