九条の会関係舞台裏の茶番劇(九条の会12月ちらし)

岩波書店が出している「図書」という雑誌で、作家の高村薫さんは、この夏の国会は「物語が今後どこへ向かうのか、まったく見えないまま幕を下ろされた」と書きます。そして、第二幕で事の次第を追求しなければ、とても納得できないと思っていても、幕はいっこうに上がらず、観客はため息まじりに去って行って客席は次第に閑散としている、と。

11月29日に九条の会も参加する「戦争法を廃止する市民集会」での津留雅昭弁護士の話は、その第二幕の恐ろしい予告編でした。
「今、マスコミは政治的なことをまったく書かず、しーんと静まり返っている。しかし、来年3月には戦争法は施行される。安倍政権はそのために自衛隊を大きく変えようとしているばかりか、国家全体のしくみをも変えようとしている」

このように指摘した津留氏は、以前のPKOとは状況がまったくちがう内戦状態の南スーダンに来年五月(参院選をにらんで十一月に延期するかも)に、積極的な武器使用を認めた新しい規定で自衛隊が送られようとしていること、これまでは日米安保を口実にアメリカと行うだけだった軍事共同訓練をさまざまな国と行えるようになり、さらに東南アジアの各国をはじめ世界に武器を売りつけようと世界規模での武器輸出がはじまっていること、パリの兵器ショーに去年初めて日本のブースができて企業や閣僚も出向いて売り込みをしたこと、テロ防止を口実にスパイ機関を充実させて、国民を監視しマスコミを萎縮させジャーナリズムを沈黙させようとしていること、自衛隊の「文民統制」を解体し、軍人と政府が直接関われるようにし、さらに自衛隊と米軍のトップが合体して密接な関係を持てるようにしていること、海上自衛隊の増強、佐賀空港のオスプレイ配備にはじまる九州から南西諸島ラインの防衛体制がもくろまれ、二年後には日本でも外国を攻撃する海兵隊が作られること、などの事実を伝えました。

何よりも問題なのは、こういった提案の多くが首相・官房長官・防衛相・外務相の四人だけの「国家安全保障会議」でなされ、メンバーの一人である首相に諮問するという、自作自演で成立していることです。
こんな茶番劇が舞台裏で進行し、その結果血に染まった第二幕を見せられることになれば、あまりにも残念としか言いようがありません。
宗像では集会を呼びかけるチラシを1000枚近く配った人、連日マイクで戦争反対を訴えている人もいます。福岡の天神では毎週若いお母さんたちが戦争法反対のプラカードをかかげて街頭に立っているそうです。

皆さん、客席にもどりましょう。そして、舞台に立ちましょう。どんなに不安で不十分でも、私たちの望む未来に向かって、それぞれが主役を演じましょう。

Twitter Facebook
カツジ猫