九条の会関係首相が口にできなかったこと

ご存じのように、7月1日安部首相は国会で議論することもないまま、閣議決定で憲法の解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認めました。
若い人たちも多く参加した数千人の抗議デモが首相官邸前を埋めつくしました。NHKはこれをまったく伝えませんでしたが、ネットの画像で全国にその様子は流れています。

毎日新聞は4日の夕刊で、この日を「憲法が死んだ日」と書きました。
怒り、不安、疑問、無力感、さまざまな感想を皆さんもお持ちでしょう。
しかし今回、秘密保護法に続いて、首相がこれだけ世論に耳をかたむけず強行したのは、国会で議論したり国民投票をしたりしたら、このような「改憲」は決してできないと知っていたからです。
いま、首相や自民党は、10年前のように「国民投票をしよう」と主張することができません。それは、この間、世論が徐々に変化し、各新聞のアンケートでも「憲法は変えなくてよい」という意見の方が多数になってきたからです。

話し合い、議論を深めるほど、憲法を変える理由は根拠を失って行きました。
「平和憲法では国際貢献ができない」という意見に対して、アフガニスタンで活動する中村哲さんをはじめ、世界各国で国際貢献をする人たちは声をそろえて「私たちは自衛隊ではなく、平和憲法に守られて活動してきた」と語ります。
「アメリカに押しつけられた憲法」という意見に対して、「基地もTPPもアメリカに押しつけられている政府にそんなこと言う資格はない」と多くの人が感じています。
だからこそ、首相は国民投票も国会審議もできず、閣議決定という乱暴な手法をとるしかなく、記者会見では「平和を守る」「戦争する国にはならない」と、自分が「平和憲法」をこわしてはいないかのような言い訳をくりかえすだけで、「強い国にする」とも「アメリカの盟友になる」とも一言も言えなかったのです。

追いつめられ、怯えているのは首相の方です。その強硬な手段は強さではなく弱さのあらわれです。だからこそ決して油断はできませんが、私たちはあせったり恐れたりするつもりはありません。これまでと同じように、さまざまな人たちと話し合いを続けます。目をそらさずに現実を見、考えることと、知ることをやめない勇気と元気を持ちつづけます。
27日には映画「標的の村」を上映する予定です。沖縄の美しい風景と、そこに住む人々の心を通してこの映画が語る事実を知ることは、日本と私たちのこれからを考えるのに、とても役に立つでしょう。どうぞ、お誘いあわせて河東コミセンへお越し下さい!

2014年7月4日
むなかた九条の会世話人代表 板坂耀子

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